【F1 2023】第13戦ベルギーGP続報:フェルスタッペンとレッドブル、圧勝でシーズン前半戦を締めくくる
2023.07.31 自動車ニュース![]() |
2023年7月30日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われたF1世界選手権第13戦ベルギーGP。夏休み前の最後のレースウイーク、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが“いつもどおりの圧勝”で前半戦を締めくくった。
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予選最速のフェルスタッペンが降格、ポールはルクレール
例年より1カ月早い開催となったベルギーGPは、今年3回目のスプリントウイーク。金曜日の1時間のプラクティスの後にレースに向けた予選、さらに土曜日はスプリント・シュートアウトとスプリント、そして日曜日にレースという多忙な週末の始まりは、しの突く雨に見舞われ、赤旗中断もあって、唯一のプラクティスでは十分な走り込みができない状況となった。
予選になると天気は回復し、当初ウエットだった路面もセッションが進むにつれ走行ラインが乾くというトリッキーなコンディション。各車ドライタイヤでアタックしたなかで最速だったのはマックス・フェルスタッペンだった。プラクティスでは一度もタイム計測しなかったレッドブルのエースは、後続に0.820秒という大差をつけたのだが、5基目のギアボックス投入で5グリッド降格となり6番グリッドに下がった。
代わってポールポジションからスタートするのは、フェラーリのシャルル・ルクレール。第4戦アゼルバイジャンGPに次ぐ今季2回目、自身通算20回目のポールだ。レッドブルのセルジオ・ペレスが第5戦マイアミGP以来となるフロントローの2位。メルセデスのルイス・ハミルトンが3位、フェラーリのカルロス・サインツJr.が4位につけた。
好調マクラーレンを率いたのはルーキーのオスカー・ピアストリで5位。ランド・ノリスはセッション中にコースアウトしてフロアを破損し、フェルスタッペンの後ろの7位となった。メルセデスのもう1台、ジョージ・ラッセルが8位。その後ろにはアストンマーティン勢が並び、フェルナンド・アロンソ9位、ランス・ストロールは10位からレースに臨むこととなった。
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フェルスタッペンがスプリントV、ピアストリ健闘の2位、ガスリー歓喜の3位
スプリントのグリッド順を決めるスプリント・シュートアウトは、ぬれた路面状況の改善を待って35分遅れで開始。トップ10グリッドを決めるSQ3ではソフトタイヤでのアタックとなり、1位フェルスタッペン、0.011秒という僅差で2位ピアストリ、3位サインツJr.、4位ルクレール、5位ノリス、6位にアルピーヌのピエール・ガスリー、7位ハミルトン、8位ペレス、9位にアルピーヌのエステバン・オコン、10位はラッセルだった。
直前になって雨が降り出しスタートは遅延。一周7kmのコースを15周する短期決戦はセーフティーカー先導で始まることとなり、全車ウエットタイヤ装着が義務づけられた。
残り11周となった時点で正式なローリングスタートが切られるも、始まるやいなやピアストリやハミルトンら10台がウエットタイヤからインターミディエイトに交換。ピレリが用意した大雨用のウエットタイヤは評判が悪く、インターミディエイトが最適解だったのだ。翌周にトップのフェルスタッペンらが同じようにタイヤを交換すると、先頭はピアストリ、2位フェルスタッペン、3位ガスリー、4位ペレス、5位ハミルトン、6位サインツJr.、7位ルクレール、8位ノリスとなった。
3周目、この日42歳の誕生日を迎えた名手アロンソがめずらしくスピン。マシンをグラベルに止めるとセーフティーカーが出動した。マクラーレンをドライブする新人と、孤高のポイントリーダーによるトップ争いは、6周目の再開後、ストレートでフェルスタッペンがやすやすと首位を奪還し決着。ここまででレッドブルは、今季の全レースと全スプリントを制したことになる。
健闘したピアストリは6.6秒差で2位。またガスリーも3位を守り切り、今季不調のアルピーヌに久々のポイントをもたらした。
スプリントを4番手でゴールしたハミルトンだったが、ペレスと接触したことによる5秒加算ペナルティーにより7位に降格。ペレスはサイドポッドにダメージを負いリタイアせざるを得なかった。繰り上がってサインツJr.が4位、ルクレール5位、ノリス6位、そしてラッセルが8位でフィニッシュし、ここまでがポイントを手にした。
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レッドブルが早々に1-2
気まぐれなスパ・ウェザーに翻弄(ほんろう)された週末、レースはドライで始まり、乾いた路面でのドライタイヤでのロングランがほとんどなかった各陣営は、手探り状態でレースに臨むこととなった。
44周レースのスタート、ターン1をトップで通過したのはルクレール。しかしその後のストレートでペレスが首位に立ち、ルクレールは2位、ハミルトン3位、そしてフェルスタッペンが4位に上がっていた。その真後ろでは、ピアストリとサインツJr.が接触。ピアストリは早々にリタイアを喫し、またサインツJr.もレース半ばに手負いのマシンを降りてしまった。
6周目、フェルスタッペンがハミルトンをかわし3位へと駒を進めると、瞬く間にルクレールとのギャップを縮めて9周目に2位へ。今季全勝中のレッドブルが1-2となるまでに、さほど時間は必要なかった。
上位陣で最初にピットに飛び込んだのは4位ハミルトンで、13周目のことだった。次のラップでは1位ペレス、2位ルクレールが、15周目にはフェルスタッペンもタイヤを交換し、トップはペレス、2.2秒差で2位フェルスタッペン、3位ルクレール、4位ハミルトンというオーダーのまま第2スティントに突入した。
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フェルスタッペン8連勝、レッドブルは年間最多連勝記録更新
これまで7連勝中だったフェルスタッペンが、長く2位に甘んじるはずもなかった。首位ペレスとフェルスタッペンの間にあった2秒のギャップはあっという間に縮まり、17周目のストレートでフェルスタッペンがトップに躍り出ると、次の周には同じマシンのペレスより2秒も速いタイムで突き放しにかかった。
そんな折、サーキットに雨が落ちてきた。首位独走のフェルスタッペンも、名物コーナー「オールージュ」で一瞬挙動を乱すなどヒヤリとする場面もあったものの、インターミディエイトに履き替えるほどではなく、各車しばし我慢の走行の末、雨雲はサーキットの上から消えていった。
2ストップが大勢を占めた今回、トップランナーにもその機会が訪れ、28周目にハミルトン、翌周にはルクレール、30周目にペレス、そして次のラップではフェルスタッペンがピットストップを完了。トップランナーの顔ぶれは変わらず、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位ハミルトンで、結局このままチェッカードフラッグが振られることとなった。
フェルスタッペンはペレスに22秒もの差をつけて圧勝。5月からまるまる3カ月間負けなしの8連勝を飾り、次も勝てばセバスチャン・ベッテルが2013年に打ち立てた最多連勝記録に肩を並べることとなる。またレッドブルは、1988年にマクラーレンが記録した年間最多連勝を上回る、同一シーズンでの12連勝を達成。ペレスが2位に入ったことで今季5度目の1-2フィニッシュを遂げたチームは、残る10戦でも勝ち続けそうな勢いで前半戦を締めくくった。
夏休みを挟んでの次戦は、フェルスタッペンの母国での開催。オランダGP決勝は、8月27日に行われる。
(文=bg)