これがおすすめ! “手だけで運転”の「ネオステア」:いつかハンドルの主流になる!?【ジャパンモビリティショー2023】

2023.10.27 これがおすすめ! 関 顕也
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!
トヨタが提案する新開発のステアリングシステム「NEO Steer(ネオステア)」。
トヨタが提案する新開発のステアリングシステム「NEO Steer(ネオステア)」。拡大

さまざまなモビリティーが会場を彩るジャパンモビリティショーだが、個々のテクノロジーにも見逃せないものがある。webCGスタッフの関が驚かされたのは、トヨタのこのシステムだ。

「ネオステア」の開発に使われた車両は、2023年冬季の発売が予定されている「ランドクルーザー“250”」。ネオステアのややゴツい形状は同車と無関係ではなく、“似合う形状”としてデザインされた。
「ネオステア」の開発に使われた車両は、2023年冬季の発売が予定されている「ランドクルーザー“250”」。ネオステアのややゴツい形状は同車と無関係ではなく、“似合う形状”としてデザインされた。拡大
サイド(左側)から見た「ネオステア」。グリップの奥(写真で左)に見えるのはブレーキレバーだ。
サイド(左側)から見た「ネオステア」。グリップの奥(写真で左)に見えるのはブレーキレバーだ。拡大
アクセル操作のためのパドルは、右手側のみに設けられている。運転時は右手親指で押し込むことにより加速。パドルには反力があるため、入力を緩めればクルマは減速する。
アクセル操作のためのパドルは、右手側のみに設けられている。運転時は右手親指で押し込むことにより加速。パドルには反力があるため、入力を緩めればクルマは減速する。拡大
正面から見た「ネオステア」。ご覧のとおりかなりどっしりとしたデザインで、左右グリップの下端に広がるベース部分にこぶしを乗せる感覚で操作することにより、安楽な運転が可能となる。
正面から見た「ネオステア」。ご覧のとおりかなりどっしりとしたデザインで、左右グリップの下端に広がるベース部分にこぶしを乗せる感覚で操作することにより、安楽な運転が可能となる。拡大
ジャパンモビリティショー2023のトヨタブース。手前に見えるスペースに「ネオステア」のシミュレーターが並んでいた。
ジャパンモビリティショー2023のトヨタブース。手前に見えるスペースに「ネオステア」のシミュレーターが並んでいた。拡大
実車での試乗こそないものの、リアルなシミュレーターで体感できる「ネオステア」。その操作感覚に「これならアリ」と思われる方も多いはず。
実車での試乗こそないものの、リアルなシミュレーターで体感できる「ネオステア」。その操作感覚に「これならアリ」と思われる方も多いはず。拡大

考え抜かれた操作デバイス

ジャパンモビリティショー2023に出展されたトヨタ/レクサスのコンセプトカーは、多くが(ステアリングホイールならぬ)操縦かんタイプのハンドルを装備している。

クルマに詳しい方ならご存じのとおり、これは電気信号を介して操舵するステアバイワイヤによるもので、ぐるぐる回さないからリムが円形である必要がなく、メーター(ディスプレイ)の役割が重要になるので視界をさえぎる上半分はトル、という必然のカタチである。

そんな“操縦かん”のなかでも今回注目いただきたいのが、トヨタが新たに提案する「NEO Steer(ネオステア)」だ。

ショーのトヨタブースではシミュレーターを使った体験コーナーがあるものの、ゲーム用アイテムではない。ネオステアは主に、下半身に障がいがあるなど、ペダル操作で運転できない方のための「アクセル&ブレーキレバー統合ハンドル」なのだ。

ドライバーは、左右のグリップを保持し、右手親指付近のアクセル用パドルを押し込むことでクルマを進める。ブレーキ用レバーは左右グリップの奥。右手・左手どちらでも操作できるのは、空調スイッチやセンターディスプレイの操作などでドライバーの片手がふさがる状況が想定されるから。しかし、同じ安全上の観点で、アクセル用スイッチは片側(右手側)だけとなっている。

開発にはパラアルペンスキーヤーの森井大輝選手も参画したというこの新デバイス、開発に際して参考にしたのはやはりゲームかと思いきや、自動二輪車(バイク)の操作系だという。ただ「ひねる動作」が困難な障がいも想定し、アクセルにはグリップではなくパドルが採用されている。

見るからに完成度の高いつくりに「いずれクルマはペダルレスになって、“手だけ”の操縦が主流になりそう」と筆者がもらすと、開発者も「十分あり得ますね」と笑顔。実際、超リアルなテレビゲームが当たり前になり、運転免許取得者の7割がAT限定という時代である。障がい者に限らず「こっちがいい」という流れは、あり得ないことではない。

実際の操作感覚はどのようなものか?  本当に使えそうか? それは、前述のシミュレーターで体感できる。会場に足を運んだなら、ぜひトライしてみてください。「おおっ!」と未来を感じてしまうこと請け合いだから。

(文と写真=関 顕也)

関連キーワード:
ジャパンモビリティショー2023, これがおすすめ!, トヨタ