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【スペック】全長×全幅×全高=4445×1850×1715mm/ホイールベース=2690mm/車重=1670kg/駆動方式=4WD/2.5リッター直5DOHC20バルブターボ(200ps/6000rpm、32.6kgm/1600-4000rpm)/価格=378万円(テスト車=同じ)

フォード・クーガ タイタニアム(4WD/5AT)【ブリーフテスト】

フォード・クーガ タイタニアム(4WD/5AT) 2010.12.15 試乗記 笹目 二朗 ……378万円
総合評価……★★★★

アメリカ生まれの兄弟達とは、見た目からして大きく異なる欧州フォード製SUV「クーガ」。その走りと乗り心地は、どのようなものなのか?
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味、長持ち

フォード車は概して、スタイリングも性格もスッキリさっぱりしていて、わかりやすい。老舗といわれるメーカーにありがちな嫌味やアクの強さとは無縁で、“無印良品”とも形容できる。パッと見て「イイな」と思ってもすぐ飽きてしまうようなクルマとは真逆の、最初はすーっと素通りしてしまいがちだが、接する時間が長くなるほど新たな発見や味わいが出てくるクルマだ。

贅(ぜい)を尽くした豪華さのようなものとは無縁だから、見た目でアピ−ルするのは不利。しかし、その内容はよく考えられたもので、プロ集団が長く豊富な経験を生かして造る、高度な製品である。価格が比較的低いため軽く見られがちだが、見てくれよりも、基本設計の数値やチューニングなどに時間がかけられており、しっかりしたメーカーの価値観が導き出されている。

外観は、コンパクトに見える。実際にハンドルもよく切れて(回転半径は5.8m)、取りまわしもいい。動力性能も活発だ。それでいて室内に入ると広く使える。おおらかさというか、懐の深さも「ク−ガ」の魅力だ。
最近は、壊れずとも飽きからクルマを早期に買い替える人も多い。その点、「フォード・ク−ガ」は飽きずに長く付き合える1台だ。


フォード・クーガ タイタニアム(4WD/5AT)【ブリーフテスト】の画像 拡大
今回のテスト車「タイタニアム」には、写真の特大ガラスサンルーフや本革シートが標準で備わる。
今回のテスト車「タイタニアム」には、写真の特大ガラスサンルーフや本革シートが標準で備わる。 拡大
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【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
「フォード・クーガ」は、欧州フォード製のSUVモデル。「エモーショナルなデザインと、フォード伝統のオフロード走破性、SUVの概念を超えるドライビングダイナミクスを高次元で融合させたクルマ」として、2008年5月に欧州で発売。2010年10月5日には、日本でも販売がスタートした。
全長×全幅×全高=4445×1850×1715mmのボディサイズは、「エクスプローラー」などアメリカン・フォードに比べコンパクトなもので、フォルクスワーゲンのSUV「ティグアン」らがライバルとされる。
機関は、200ps、32.6kgmを発生する直5ターボにトルコン式5段ATの組み合わせ。「インテリジェントAWD」と呼ばれる電子制御式4WDシステムをもち、前後輪へのトルク配分を可能とする。そのほか、タイヤ空転時など過大なトルクが伝わっている車輪にブレーキをかけ、左右のトルクを効率的に再配分する「BLD(ブレーキ・ロック・デファレンシャル)」など、今風の制御システムが備わる。

(グレード概要)
日本で扱われる「クーガ」のラインナップは、ベーシックグレード「トレンド」(335万円)と、今回のテスト車でもある上級グレード「タイタニアム」(378万円)の2種類。
後者はシート地が本革になり、1085×785mmの特大ガラスサンルーフのほか、雨滴感知式ワイパー、クルーズコントロール、シートヒーターなどの快適装備も加わる。 ホイールのサイズも、両グレードで異なる(トレンド:17インチ、タイタニアム:18インチ)。


フォード・クーガ タイタニアム(4WD/5AT)【ブリーフテスト】の画像 拡大

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Aピラーの付け根に備わるモニターには、死角となる車体左側の様子が写し出される。そのほか、ESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)やARM(アンチロールオーバーミティゲーション)、6点式エアバッグなどの安全装備は、グレードを問わず備わる。
Aピラーの付け根に備わるモニターには、死角となる車体左側の様子が写し出される。そのほか、ESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)やARM(アンチロールオーバーミティゲーション)、6点式エアバッグなどの安全装備は、グレードを問わず備わる。 拡大

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
シンプルにして明快。各所の操作方法がわかりやすく表示は見やすい。コンパクトにまとまってはいるが狭苦しさとは無縁。計器部分と操作パネルの、インストゥルメントパネル全体に占める割合というか、レイアウトに無理がない。
豪華なものや新奇なものを求める人には向かないだろうが、ビジネスライクな仕事場、モダンなオフィスの雰囲気をたたえる。エンジンスタートボタンとハザードスイッチが、正面真ん中の一番見やすい位置にあるのもさえている。

(前席)……★★★★
シートがいい。一見するとまったく普通のシートで、特に豪華でもなければ特殊な形状で作られているわけでもない。ところが、一度座るとずーっとそのままで居られ、座り直す必要がない。サイドの盛り上がりに横方向のサポートを委ねるわけではなく、自重で沈み込んだ部分が腰全体にフィットして接触面積を稼ぎ、重さを分散しつつホールドしてくれる。アメリカ車に多いハンモックタイプだ。よって、座り方を強制されない自由さがある。表皮よりもクッション材の硬さ配分やストロークの採り方にこだわる、プロの仕事ぶりがうかがえる。

(後席)……★★★★
外寸のコンパクトさもあり、乗り込んだ直後はさほど広い空間とも思えないが、座ってみるとゆったりとくつろげて、狭苦しい感じなど皆無だ。これは、比較的アップライトに膝下を曲げずに座れて、正しい姿勢が保てること、かつ前席同様に、座面クッションの配分が良いおかげで腰がうまく沈み込み前に逃げないことによる。さらに、背もたれの傾斜角が適切で、上体を後ろに預けられること、ルーフまでの空間も十分確保されていること、走行感覚がフラットで無駄な動きをしないこと、静粛なことなども奏功している。

(荷室)……★★★
特別広いわけではないが、狭くもない。ゲートは2ウェイのリフト機構を備え、上部のガラスハッチのみでの開閉も可能。小さな荷物の扱いであるとか、車体後方にあまりスペースの無い場所での積み下ろしに便利だ。電動スイッチなど自動的な開閉装置はもたないが、その操作は比較的軽く、取っ手もむき出しではないから手を汚すことはない。
トランクシルの高さは、758mmと低め。トノカバー下までのすり切りで通常360リッター、後席を倒せば1355リッターの容量が得られる。なお、後席はヘッドレストを外さずとも倒せる。


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写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます
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【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
5気筒ターボのエンジンは200psの最高出力と32.6mkgの最大トルクを発生する。5段ATはトルクコンバーターを介するが、ロックアップ機構が付いて燃費を稼ぐ。マニュアルモ−ドは、シフトレバーを前に倒せばマイナスとなるフォード流。感覚的にはコレが正解だ。1670kgとこのクラスとしては軽めの車重のおかげもあり、動力性能としては活発だ。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は、アメリカ流。姿勢を常にフラットに保つことに執着せず、おおらかに上下動を繰り返しながら変位を減衰していくものの、ピッチングにならないところが妙味である。足まわりはブワブワとだらしなく動くのではなく、減衰時間を1サイクルだけ長く取り、Gをなだめながら収める作戦だ。突き上げ感とも無縁である。
ステアリングのギア比は比較的クイックだが、足元がすくわれる感覚はない。長めのホイールベースと短いオーバーハングによる、ヨー慣性の少ない、操作に遅れのない、スッキリした動きに終始する。

(写真=峰昌宏)

【テストデータ】

報告者:笹目二朗
テスト日:2010年10月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年型
テスト車の走行距離:2496km
タイヤ:(前)235/50R18(後)同じ(いずれも、グッドイヤー Excellence)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:144km
使用燃料:17.33リッター
参考燃費:8.31km/リッター

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