ダイハツついに首位陥落 これから軽自動車市場はどう変わる?
2024.04.15 デイリーコラム結局は何も変わらない?
全軽自協の発表によれば、2023年度(2023年4月~2024年3月)の統計データにおいて、ダイハツ工業が軽自動車の国内シェアで18年ぶりに首位から陥落した。そりゃまぁそうだろう。2023年4月、5月、12月と認証不正が発覚して、2024年に入ってからは工場出荷がほぼ止まっていたんだから。
ただ、すでに生産は再開しつつあり、販売台数も今後徐々に戻っていくでしょう。
4月8日には、ダイハツ側から再発防止と今後の事業方針についての発表があった。「登録車の開発・生産から撤退か!?」ともいわれていたが、それについては親会社のトヨタ自動車が開発から認証まで責任を持つことで、継続されることになった(関連記事)。つまり、ユーザーにすれば、以前とほとんど何も変わらない。軽自動車に関してはなおさらだ。
過去にもこういった不正問題はあった。記憶に新しいのは、2016年に発覚した三菱自動車の軽自動車燃費偽装だ。国交省に提出した燃費試験データを、実際よりも良く見せるため不正な操作を行っていたもので、国交省だけでなく、ユーザーもだます悪質なものだった。
三菱自動車は過去にも2度リコール隠しが発覚しており、そのたびに袋だたきにされてきた。「三菱はもうおしまいだ」なんて言われたりしたが、そのたびに不死鳥のごとく(?)よみがえってきた。
もちろん不正が発覚するたびに業績は大打撃を受けたが、関連各社の支援もあり、思ったよりも短期間で立ち直っている。それを見ると、長い歴史を持つ自動車メーカーに対するユーザーの信頼感は、そう簡単には揺るがないんだなぁと痛感する。ある意味日本のユーザーは甘いのかもしれない。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
期待できる“進歩”はひとつある
三菱の軽自動車燃費偽装事件に比べると、今回のダイハツの不正は、ユーザーの受けた損害的なものはほぼゼロ。私はダイハツ車のユーザーだが、何のマイナスも感じていない。逆に「社員のみなさん、お仕事大変だったんですね、ご苦労さま」と、ねぎらいの言葉すらかけたい気分だ。ダイハツのユーザーになると、ダイハツが家族みたいに思えてきて、ついかばいたくなるのですよ。これはストックホルム症候群でしょうか? やっぱり日本のユーザーは甘いッス!
生産が再開されれば、販売台数は比較的短期間で以前のペースに戻るんじゃないだろうか。認証不正の影響で、今後新型車の開発ペースが落ち、遅れが生じる可能性は高いけれど、軽自動車の場合、それによる影響はあまり大きくはない。軽ユーザーは新型車が出たから飛びつくわけではなく、非常に地に足のついた買い方をするからだ。
つまり、今後軽市場は、ダイハツの生産復帰により正常に戻り、以前のような安定した、変わり映えのしない状態が戻ってくると推測される。
変化があるとすれば、ダイハツの開発速度の低下により、スズキとの開発競争が鈍化することくらいだろう。スズキとダイハツは、どちらかがヒット商品を出すと、短期間で対抗商品を出すことが繰り返されてきた。「ワゴンR」に対する「ムーヴ」、「タント」に対する「パレット」、「ハスラー」に対する「タフト」等々。ほとんどマネっ子合戦ともいえるもので、開いた口がふさがらなかったが、今後はソレが鈍化するかもしれない。ユーザーにとっていいのか悪いのか微妙だ……。
しかしまぁ、それによってダイハツだけでなく、スズキやホンダや三菱や日産の社員のみなさんも、以前よりもゆったりと開発に臨めるようになるならば、日本人のトータル幸福量はアップするはず。マネっ子合戦が鈍化することで、オリジナリティーが尊重されるようになって、より個性的で魅力的な商品をじっくり開発しようという流れになるかもしれない。そうなることを期待しましょう!
(文=清水草一/写真=ダイハツ工業、清水草一、webCG/編集=関 顕也)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
あのクルマはなぜ売れている? 自販連のデータから“日本車の今”を読むNEW 2026.9.25 ここ数年の自販連のデータからは、国内市場におけるトヨタのゆるぎない強さが見てとれる。ではその実績から、人々にどんなクルマが求められているといえるのか? 統計や数字の裏にある消費者マインドを探ってみよう。
-
トヨタもスバルもマツダも いまなぜ2.5リッターエンジンなのか? 2026.9.24 トヨタもスバル、マツダも最新のパワートレインに2.5リッター直4エンジンを採用している。ユーザー感覚では「2リッターを超えると自動車税が高くなるのに」と、疑問に思えるが、そこにはメーカーもユーザーも納得の理由がある?
-
新型「パジェロ」はこれから生産するのに!? 国産自動車メーカーのタイ離れが進んでいる深刻な理由 2026.9.23 国内にも多くのモデルが導入されている国内ブランドのタイ生産車だが、近い将来は事情が大きく変わっている可能性がある。というのも、各社がタイに注力していたのは少し前の話で、実はその生産規模は少しずつ縮小傾向にあるのだ。その背景を解説する。
-
新型「三菱パジェロ」の走りを支えるテクノロジー 「スーパーセレクト4WD-II」って何だ? 2026.9.21 2026年10月末の国内正式発表が待たれる新型「三菱パジェロ」。その価値の多くを占める「悪路走破性」は、どんな技術に支えられているのか? 「SS4-II」「S-AWC」といったキーテクノロジーについて深堀りしてみよう。
-
「レースの技術を生かしています」は本当か? スバルのモータースポーツ関係者に問う 2026.9.18 スポーツカーの広告などで目にする「レースで鍛えられた~」という文句。あれはいったい、どこまでホントなの? スーパー耐久や全日本ラリーに参戦するスバルの関係者に、市販モデルの開発とモータースポーツの関係について語ってもらった。
-
NEW
あのクルマはなぜ売れている? 自販連のデータから“日本車の今”を読む
2026.9.25デイリーコラムここ数年の自販連のデータからは、国内市場におけるトヨタのゆるぎない強さが見てとれる。ではその実績から、人々にどんなクルマが求められているといえるのか? 統計や数字の裏にある消費者マインドを探ってみよう。 -
第293回: スイフトが主役の映画? いや、監督がスイフトなんです! 『藁にもすがる獣たち』
2026.9.24読んでますカー、観てますカー曽根圭介の小説を原作にした2度目の映画化。韓国版では「ヒョンデ・ソナタ」が殺人カーだったが、今回は「トヨタ86」に。もっと活躍するのはチャンピオンイエローがまぶしい“スイスポ”。スズキファン必見のアクションエンターテインメント! -
マツダCX-5 L(前編)
2026.9.24あの多田哲哉の自動車放談マツダの基幹モデル「CX-5」がフルモデルチェンジ。世の注目を集める新型は、期待に応えられる出来なのか? 元トヨタの車両開発者である多田哲哉さんが、ワインディングロードで試乗して確かめた。 -
トヨタもスバルもマツダも いまなぜ2.5リッターエンジンなのか?
2026.9.24デイリーコラムトヨタもスバル、マツダも最新のパワートレインに2.5リッター直4エンジンを採用している。ユーザー感覚では「2リッターを超えると自動車税が高くなるのに」と、疑問に思えるが、そこにはメーカーもユーザーも納得の理由がある? -
新型「パジェロ」はこれから生産するのに!? 国産自動車メーカーのタイ離れが進んでいる深刻な理由
2026.9.23デイリーコラム国内にも多くのモデルが導入されている国内ブランドのタイ生産車だが、近い将来は事情が大きく変わっている可能性がある。というのも、各社がタイに注力していたのは少し前の話で、実はその生産規模は少しずつ縮小傾向にあるのだ。その背景を解説する。 -
第129回:日本のカーデザインに足りないもの・欠けているもの(後編) ―プロポーションの進化と「駄作」の消失に見る、日本車の現在地―
2026.9.23カーデザイン曼荼羅今や欧州と立場が逆転? 世界的に見ても高い水準にあるという日本のカーデザインだが、そこには本当に足りないものはないのか? 今後、さらなる発展を望むうえで必要なものとはなにか? カーデザインの識者と、日本の自動車デザインの“今”を考えた。




