ホンダがSUVタイプの燃料電池車「CR-V e:FCEV」の販売をスタート
2024.07.18 自動車ニュース![]() |
本田技研工業は2024年7月18日、新型燃料電池車(FCEV)「CR-V e:FCEV」を同年7月19日に発売すると発表した。自治体や企業、一般のユーザーを対象に、リース形式での販売となる。
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より使いやすい一台を目指して
ホンダCR-V e:FCEVは、日本の自動車メーカーが販売するモデルとしては初となる、外部から充電可能なプラグイン機能を持つ燃料電池車。開発のベースは、北米や中国で販売されている6代目「CR-V」で、FCEVならではの長い航続距離と短い燃料(水素)補給時間を実現しながら、家庭や外出先での充電機能を加えることで利便性をさらに高めたとうたわれる。
ホンダはこれまでもFCEV「クラリティ フューエルセル」の販売実績があるが、CR-V e:FCEVではコアとなる燃料電池(FC)スタックを刷新し、補機類の合理化や低消費電力化を徹底追求。先達のものに対してコストを3分の1に抑えるとともに、耐食材料の適用や劣化抑制制御により耐久性を2倍に高めた。耐低温性も大幅に向上しているという。
FCスタックを核とするFCシステムは、ホンダとゼネラルモーターズの共同開発によるもの。モーターやギアボックス、PCU(パワーコントロールユニット)を一体化した駆動ユニットと組み合わせ、車体前方のボンネット下に収納される。
2本の水素タンクは、荷室下(容量56リッター)と後席下(同53リッター)に横置きで搭載。ガソリンエンジン車に対して車体後部の荷室は大きく浸食されるが、水素タンクを棚状の平らな面で覆い、その上面から荷室の後端まで収納スペースを広げるフレキシブルボードを設定するなど利便性に配慮した。
IPU(インテリジェントパワーユニット)は、車体中央、前席のフロア下に搭載。この低重心レイアウトにより、重厚で上質な乗り味とリニアなハンドリングを実現したとアピールされる。また足まわりには、入力に応じて減衰力を変化させ、操縦安定性と乗り心地を高い次元で両立する振幅感応型ダンパーを採用。細かな振動を吸収して快適な乗り心地を提供するとともに、コーナリングでは進入から立ち上がりまでコントロールしやすい優れた接地性を発揮するという。なおモーターの最高出力は177PS、最大トルクは310N・mである。
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充電・給電の機能も多彩
CR-V e:FCEVの一充填(じゅうてん)走行距離は、水素満充填・バッテリー満充電時で約621km。WLTCモードでの一充電走行距離は約61kmと公表される。水素の充填口は車体後部左側に設けられており、充填時間は約3分とされる。
充電/給電のコネクターはフロントフェンダー部にレイアウトされており、日本と米国における普通充電規格に対応する。空の状態から満充電までに要する時間は、出力6.4kWの普通充電で約2.5時間。AC200V電源に加え、AC100V電源での充電も可能だ。
充電量の上限を80%~100%の間で設定しバッテリーの劣化を抑える機能や、バッテリーの充電時間帯を曜日単位で設定する(ケーブルを車両につないでいても指定時間までは待機状態になる)機能、設定時間に合わせて車内を快適な温度に整え、バッテリーも満充電の状態で出発できるようにする「お出かけ前タイマー設定」など、利便性も高められている。
外部給電については、普通充電口に差し込んでAC100V電力が取り出せるAC車外給電用コネクター「Honda Power Supply Connector(パワーサプライコネクター)」を標準装備。1500Wまでの消費電力に対応し、アウトドアなどのレジャーや停電時の電源として活用できる。さらに、荷室内に設置されたCHAdeMO方式のDC給電コネクターに可搬型外部給電機を接続することで、災害時などには、一般家庭の約4日分の電力供給することも可能となる。
衝突安全については、グローバルモデルとしての基本性能が追求されたCR-Vの骨格をベースに、水素や高圧電気に対する安全性も高い水準で確保。ホンダ独自の安全運転支援システム「Honda SENSING」は標準装備とし、渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)については、加減速や電動パワーステアリング設定など、FCEVの特性に合わせた制御の最適化を行ったという。
CR-V e:FCEVの価格は809万4900円。ボディーカラーは、「プラチナホワイト・パール」「メテオロイドグレー・メタリック」の2色がラインナップされる。
(webCG)