ボルボEX40ウルトラ ツインモーター(4WD)
独立しました! 2025.01.29 試乗記 「XC40リチャージ」から「EX40」へと名称の変更が行われたボルボの電動コンパクトSUVが上陸。内外装の改良ポイントと走りの進化を確かめるため、前後にモーターを積む4WDの最上級モデル「EX40ウルトラ ツインモーター」を郊外に連れ出した。BEVだとすぐにわかる名前に
ボルボEX40という名前を聞いて、「そんなモデル、あった?」と思う人は少なくないだろう。それもそのはず、EX40が日本に登場したのはつい最近のことで、私自身、EX40を目の当たりにするのは今回が初めてである。
とはいってもその外観は見慣れたもので、紛れもなくこれまでXC40リチャージと呼ばれていたコンパクトSUVスタイルの電気自動車(BEV)だ。グリルレスのフロントマスクなど、特徴的なエクステリアをほぼそのまま維持する一方、よく見るとテールゲートにあるモデル名を表すバッジが「XC40」から「EX40」に変更され、また、「RECHARGE」のバッジが消えていた。
その理由は……。ご存じのとおり直近のXC40には、マイルドハイブリッドシステムを搭載したガソリンエンジン車のXC40と、BEVのXC40リチャージが用意されていた。このうちBEVが“独立”して名前をEX40に変更し、日本でも2024年9月からオンラインでの販売がスタートしたのだ。
これにより、「EX30」や日本未導入の「EX90」「EM90」と同じくBEVであることが、名前からすぐにわかるようになった。一方、エンジン車のほうはXC40の名前のまま、これまでどおり販売が継続される。なお、コンパクトSUVクーペの「C40リチャージ」も、ヨーロッパではすでに「EC40」に改名されている。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
2モーター4WD仕様が復活
EX40の発売を機に、ラインナップやグレード名の変更が行われたことにも触れておこう。最新版では1モーターの後輪駆動仕様として「EX40プラス シングルモーター」と「EX40ウルトラ シングルモーター」が用意されることに加えて、一時、日本のラインナップから消えていた2モーター4WDのEX40ウルトラ ツインモーターが復活している。グレード名の“ウルトラ”は“プラス”の上級グレードに位置づけられる。
そのなかから、今回は最上位グレードのEX40ウルトラ ツインモーターに試乗することにした。この2モーター4WD仕様、日本に再上陸するにあたり、パワートレインが変更になっているのも見どころのひとつだ。従来は前後ともに204PSの永久磁石同期式電動モーターを搭載していたのに対して、このEX40ではフロントに新開発の150PSの誘導式モーターを、リアには258PSにパワーアップした永久磁石同期式電動モーターを採用。バッテリー容量は78kWhで変わらないが、一充電走行距離は484kmから560kmに延びている。
XC40リチャージではモデル途中で1モーター仕様が前輪駆動から後輪駆動に変更されたのが話題になったが、進化の手を緩めないボルボの姿勢には頭が下がる。
さっそくEX40のドアを開け、室内をのぞき込むと、「テイラードウールブレンド」と呼ばれる明るく品のいいファブリックシートがドライバーの到着を待ち構えていた。このシートはウルトラグレードにオプションで用意される。“レザーフリー”に取り組むボルボらしいアイテムで、上質な雰囲気に仕上がっている。運転席に座ると、エンジン車と同じ位置にメーターパネルが配置され、多くの人が違和感なくドライブに出かけられるのではないだろうか。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
洗練されたマナー
従来どおりEX40にはパワートレインのスタートスイッチはなく、運転席に座り、ブレーキを踏んでシフトレバーを操作すると、これで運転の準備が整う。オレフォス社製のクリスタルシフトノブでDレンジを選び、まずは軽くアクセルペダルを踏むと、EX40ウルトラ ツインモーターはスムーズな加速を始める。アクセルペダルを穏やかに操作するぶんには実にジェントルで、それでいて、余裕たっぷりのトルクを発生するのがなんとも頼もしい。
一方、ここぞという場面でアクセルペダルを踏み込めば、シートに背中が押しつけられるような鋭い加速が楽しめるのが、2モーター4WDの醍醐味(だいごみ)だ。しかも4WDだけに、前235/45R20、後ろ255/40R20の「ピレリPゼロELECT」タイヤがしっかりと大トルクを受け止め、姿勢を乱すことなくぐいぐい速度を上げていく様子は痛快そのものだ。
アクセルペダルから足を離したり右足の力を緩めたりしたときには、回生ブレーキを利かせることが可能だ。EX40の場合、アクセルペダルだけで加速と減速、さらには車両を停止させることができるワンペダルドライブモードが用意され、これを「ON」にすると比較的強めの回生ブレーキが利用できる。XC40リチャージの時代は2モーター仕様ではやや強すぎる傾向があったが、最新のEX40では回生ブレーキの利きが多少弱められ、扱いやすくなったのがうれしいところだ。ちなみにワンペダルドライブを「オフ」に設定すると、アクセルペダルから足を離しても回生ブレーキは利かなくなる。また、停止した状態でブレーキを離すと、ゆっくり動く“クリープ”が利用でき、車庫入れなどの場面ではこのほうが便利だ。
さらに2024年モデルのXC40リチャージからは「AUTO」が追加され、先行車との距離を監視しながら自動的に回生ブレーキの強さを調節してくれるようになった。ただAUTOでは先行車がいないと回生ブレーキは利かず、そういった状況では赤信号で停車したくてもアクセルペダルから足を離しても減速しないので注意する必要がある。一般道ではON、高速ではAUTOという使い方が便利だと思う。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ファミリーで使うには打ってつけ
2モーター4WD仕様のXC40リチャージは、ハイパワーを受け止めるため乗り心地が硬い印象だった。その流れを受け継ぐEX40ウルトラ ツインモーターでもそんなスポーティーな味つけを覚悟していたが、実際は乗り心地の硬さが和らぎ、快適性が向上したのは意外だった。それでいて走行時の挙動は落ち着いており、高速道路ではフラットライドを実現。パワートレインとともにさらに扱いやすいクルマに進化したのは見逃せないところだ。
ところで、ボルボにはコンパクトSUVスタイルのBEVとして、このEX40のほかにひとまわり小さなEX30がある。一時、私もEX30をサブスクリプションで愛用していて、デザインや走行性能についてはとても満足していた。一方、コンパクトなサイズゆえに、大人が過ごすには後席がやや窮屈。幸い私の場合は後席に人を乗せる機会がほとんどなかったからEX30でもよかったが、ひんぱんに後席を使う人やファミリーからは不満の声が上がるかもしれない。
その点、EX40は後席が広く足元にも余裕があるので、ファミリーで使うには打ってつけ。もしも、EX30とEX40のどちらを選ぶか迷っているのなら、後席やラゲッジルームのチェックもお忘れなく!
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一/車両協力=ボルボ・カー・ジャパン)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ボルボEX40ウルトラ ツインモーター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4440×1875×1650mm
ホイールベース:2700mm
車重:2160kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:誘導電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:150PS(110kW)/4200-8000rpm
フロントモーター最大トルク:252N・m(25.7kgf・m)/1000rpm
リアモーター最高出力:258PS(190kW)/4400-6000rpm
リアモーター最大トルク:420N・m(42.8kgf・m)/1000rpm
タイヤ:(前)235/45R20 100V XL/(後)255/40R20 101V XL(ピレリPゼロELECT)
一充電走行距離:560km(WLTCモード)
交流電力量消費率:161Wh/km
価格:789万円/テスト車=821万3600円
オプション装備:テイラードウールブレンドシート&オレフォス社製クリスタルシフトノブ(13万円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダーアドバンス(19万3600円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:1845km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(6)/山岳路(1)
テスト距離:313.6km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:23.4kWh/100km<約4.3km/kWh>(車載電費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
BMW iX M70 xDrive(4WD)【試乗記】 2026.3.23 BMWが擁するSUVタイプの電気自動車「iX」。そのハイパフォーマンスモデルが「iX M70 xDrive」へと進化を遂げた。かつて、BMWの志向する次世代モビリティーの体現者として登場した一台は、今どのようなクルマとなっているのか? その実力に触れた。
-
BMW i5 eDrive35LエクスクルーシブMスポーツ(RWD)【試乗記】 2026.3.21 BMWの「5シリーズ ロング」は知る人ぞ知る(地味な)モデルだが、実はエンジン車のほかに電気自動車(BEV)版の「i5 eDrive35L」も用意されている。まさに隙間産業的にラインナップを補完する、なんともニッチな大型セダンの仕上がりをリポートする。
-
日産リーフB7 G(FWD)【試乗記】 2026.3.20 民生用電気自動車のパイオニアである「日産リーフ」が3代目へとフルモデルチェンジ。シャシーや電池、モーターなどすべての要素を刷新し、もはやスペック上は何の不安もない水準にまで進化している。360km余りのドライブで実際のところを確かめた。
-
モト・グッツィV7スポルト(6MT)【レビュー】 2026.3.18 イタリアの名門、モト・グッツィのマシンのなかでも、特に歴史を感じさせるのがロードスポーツの「V7」だ。ファンに支持される味わい深さはそのままに、よりスポーティーにも楽しめるようになった最新型の実力を、上級グレード「V7スポルト」に試乗して確かめた。
-
トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)/RAV4アドベンチャー(4WD/CVT)【試乗記】 2026.3.17 「トヨタRAV4」が6代目へと進化。パワートレインやシャシーの進化を図ったほか、新たな開発環境を採用してクルマづくりのあり方から変えようとした意欲作である。ハイブリッドの「Z」と「アドベンチャー」を試す。
-
NEW
今やジャパニーズBEVもよりどりみどり 国産6ブランドのBEV&PHEVにまとめて乗った
2026.3.25デイリーコラム「ニッポンのBEVはまだまだ」のイメージをぬぐうべく、国産6ブランドがタッグを組んで計8モデル(一部はPHEV)を集めたメディア向け試乗会を実施。各社が目指す未来を学ぶとともに、最新モデルの仕上がりをチェックした。 -
NEW
第106回:さよならワグナー(前編) ―メルセデス・ベンツのデザインを変えた傑物の去就―
2026.3.25カーデザイン曼荼羅長年にわたりメルセデス・ベンツのデザインを指揮してきたゴードン・ワグナー氏が、ついに退任! 彼はドイツが誇る高級車ブランドになにをもたらしたのか? カーデザインの識者とともに、希代の傑物の足跡とメルセデスデザインの今昔を振り返る。 -
NEW
スズキGSX-8T(6MT)【レビュー】
2026.3.25試乗記昨今のネオクラシックブームに乗り、いよいよスズキからも新型車「GSX-8T」が登場。しかし実車に触れてみると、既存のライバルとはちょっと趣の異なるマシンとなっていた。スタイリッシュないでたちとスズキらしい実直さが融合した、独創の一台を報告する。 -
「空力性能」を追求すると、最終的にどのクルマも同じ形になってしまうのか?
2026.3.24あの多田哲哉のクルマQ&Aスポーティーな車種に限らず、空力性能の向上は多くのクルマの重要課題。しかし、それを突き詰めれば、どれも同じような形になってしまうのではないか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんはこう考える。 -
日産セレナe-POWERハイウェイスターV(FF)【試乗記】
2026.3.24試乗記販売台数ではトヨタ勢に差をつけられながらも、日産の屋台骨として奮闘する「セレナ」。現行型の登場から3年、マイナーチェンジで磨きがかかった最新の「e-POWERハイウェイスターV」に試乗すると、人の感性に寄り添う開発陣のこだわりと良心が見えてきた。 -
第56回:走行16万kmでも電池の劣化なし! -20℃でもエアコンが効く! 新型「日産リーフ」のスゴイところを聞く
2026.3.23小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ航続距離が伸びたり走りの質がよくなったりで話題の3代目「日産リーフ」だが、本当に見るべき点はそこにあらず。小沢コージが開発エンジニアを直撃し、ジミだけど大きな進化や、言われなかったら気づかないような改良点などを聞いてきました。















































