レンジローバー・スポーツSVエディションツー(4WD/8AT)/スポーツ オートバイオグラフィーD300(4WD/8AT)
納得の全能感 2025.03.24 試乗記 最高出力635PSの4.4リッターV8ターボを搭載した「レンジローバー・スポーツ」の高性能モデル「SVエディションツー」と、3リッター直6ディーゼルモデル「D300」にサーキットで試乗。アップデートされたブリティッシュプレミアムSUVの走りを確かめた。SUVでサーキット走行!?
日本車では「スズキ・ジムニー」や「トヨタ・ランドクルーザー」、輸入車では「ジープ・ラングラー」や「メルセデス・ベンツGクラス」など、本格派のクロスカントリー車が根強い人気を誇っているが、SUVの主力といえばやはりオンロード走行を重視したモデルであり、なかにはスポーツカー顔負けのパフォーマンスを誇るものも少なくない。
とはいえ、webCGの取材担当から「富士スピードウェイのショートサーキットでレンジローバー・スポーツの試乗会があるのでご一緒しませんか?」と誘われたときには「えっ?」と驚いた。スポーティーさがウリのレンジローバー・スポーツであっても、富士のショートコースを気持ち良く走らせるのは厳しいのではないかと思ったからだ。
でも、SUVをサーキットで走らせる機会なんてこの先あるかどうかわからないし、自分のSUVをサーキットどころか、オフロードコースにさえ持ち込みたくないと思うくらいだから、このチャンスを逃す手はないと富士行きを決めた私だった。
そこで、試乗会に行く前に、今回試乗するレンジローバー・スポーツSVエディションツーを予習したわけだが、その正体を知れば知るほど、「このクルマならサーキット試乗はありかも!?」と思えてきた。
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速いだけじゃない
レンジローバー・スポーツSVは、レンジローバーファミリー史上最もパワフルなエンジンを積むモデルとして2023年5月に発表され、第1弾の「エディションワン」が、ごく限られた顧客に販売されている。その第2弾であるエディションツーが2025年モデル限定として2024年8月に注文受け付けが開始され、ついに試乗できることになったというわけだ。
搭載されるエンジンはツインスクロールターボを備える4.4リッターV8ガソリンエンジンで、その排気量などからお察しのとおり、BMWが手がけたもの。最高出力625PS、最大トルク750N・mを発生し、0-100km/h加速はたった3.8秒という俊足の持ち主である。
それ以上に注目したいのが、「6Dダイナミクスサスペンションシステム」と呼ばれる新しい足まわり。アンチロールバー(スタビライザー)を用いるかわりに、油圧回路で連結したダンパーと、エアスプリングを制御することで、走行中のロールやピッチングを低減したセミアクティブサスペンションなのだ。
装着タイヤは前:285/40R23、後ろ:305/35R23サイズの「ミシュラン・パイロットスポーツ オールシーズン4」である。レンジローバー・スポーツSVエディションツーでは、量産車初となる23インチの軽量カーボンホイールと、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキをオプションで用意し、これを選ぶとホイールで計36kg、ブレーキで計34kgの軽量化が図られるというから、このクルマを買うならオーダーせずにはいられないだろう。
こうしたこだわりが詰まったレンジローバー・スポーツSVエディションツーが、富士スピードウェイのショートサーキットでどんな走りを見せてくれるのだろうか?
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サーキット走行で音を上げたのは?
試乗車は前述のカーボンホイールとカーボンセラミックブレーキがチョイスされた仕様。まずは慣熟走行を兼ねて通常モードでコースを走り始めると、タイトなコーナーが続く富士のショートコースでもロールが少ないことに驚く。2周を終えたところで、ステアリングホイールの「SV」ボタンを押す。これにより「SV」モードが起動し、車高を15mm下げるとともに、スロットルレスポンスやAT、サスペンションの特性をスポーツ走行向けに最適化し、さらにダイナミックな走りを実現するという。
エキゾーストノートが高まったところで、さっそくコーナーに向けてステアリングを切ると、ほとんどロールを感じさせないまま、面白いくらいクルマが向きを変えていく。そしてコーナーの途中からアクセルペダルを踏み込めば、リアが振り出される感じをともないながらコーナーを脱出する。実にエキサイティングだ。S字でステアリングを切り返す場面で揺り返しが少ないのも、6Dダイナミクスサスペンションシステムの成せるワザなのだろう。
ためしに同じコースをSVじゃない「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーD300」で走行してみると、よく抑えられているとはいえコーナーでのロールや、フロント外側が沈み込むような動きが気になり、コーナーからの脱出も、SVに比べて力強さやスムーズさが足りないと思えるほどだ。
デジタルのタコメーターには7300rpmあたりからレッドゾーンが刻まれるが、アクセルを全開にすると、6000rpmを超えたあたりからさらに勢いを増し、一気にレブリミットまで吹け上がる加速に圧倒される。ストレートエンドでブレーキペダルを強く踏み込むと、ブレンボのカーボンセラミックブレーキが2.5t超えのボディーをしっかりと減速させ、周回を重ねてもフェードの兆候を見せなかった。かわりに音を上げたのは私である。
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オフロードでも絶大な安心感
こんな仕事をしているにもかかわらず、クルマ酔いしやすい私は、ごくたまに自分の運転でクルマ酔いすることがある。今回は15分×2回の走行で赤旗ならぬ白旗を上げ、早々にピットに戻るという残念な状況になってしまったのだ。
その後しばらく休憩し、体調が戻ったところで、今度はレンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーD300で、富士スピードウェイ内のオフロードコースを体験する。レンジローバー・スポーツにはオンロードに加えて、オフロードに適した走行モードが用意されている。シーンに合わせ、通常は「泥・わだち」、凸凹の大きなモーグルで「岩場」を選択すればパワートレインが最適化され、あとは落ち着いてアクセルやステアリングを操作するだけで、クルマがぐいぐいと前進していく。3リッター直6ディーゼルターボエンジンが、ごく低回転から大トルクを発生してくれるのも頼もしいかぎりだ。
足元が目視できない状況で頼りになるのが「3Dサラウンドカメラ」だ。ホイール横の岩がモニターを通じて見えたり、シースルーボンネット機能により車両の真下が映し出されたりするのはとても心強い。レンジローバー・スポーツを購入して本格的なオフロードを楽しみたいという人はさほど多くないと思うが、なんらかの事情で行く手を阻まれてしまったときでも周囲の状況を確認しながら脱出できるという安心感は、あるに越したことはないはずだ。
とびきりラグジュアリーでスポーティーな性能に加えて、サーキットやオフロードでの非日常まで体験できるレンジローバー・スポーツ。いまやレンジローバーブランドの主力であるこのモデルに人気が集まるのも納得がいく。
(文=生方 聡/写真=神村 聖/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
レンジローバー・スポーツSVエディションツー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4970×2025×1815mm
ホイールベース:3000mm
車重:2570kg
駆動方式:4WD
エンジン:4.4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:635PS(467kW)/6000-7000rpm
最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1800-5855rpm
タイヤ:(前)HL285/40R23 111Y XL/(後)HL305/35R23 114Y XL(ミシュラン・パイロットスポーツ オールシーズン4)
燃費:--km/リッター
価格:2474万円/テスト車=2846万6000円
オプション装備:ボディーカラー<マールグレイ[グロスフィニッシュ]>(0円)/パーフォレイテッドウィンザーレザーシート(0円)/コンビニエンスパック(7万1000円)/カーボンセラミックブレーキシステム(141万8000円)/SVカーボンセラミックブレーキキャリパー<カーボンブロンズ>(0円)/4ゾーンクライメートコントロール (24万円)/空気清浄システムプロ(7万円)/Wi-Fi接続<データプラン付き>(3万6000円)/SVビスポーク フルエクステンデッドレザーアップグレード(0円)/SVステアリングホイール<レザー>(0円)/23インチ“スタイル5132”ホイール<カーボンファイバーグロスダークティント>(108万7000円)/スライディングパノラミックルーフ(33万2000円)/フロントセンターコンソール急速クーラーボックス(11万4000円)/家庭用電源ソケット(2万1000円)/コールドクライメートパック(5万7000円)/SVカーボンファイバーエクステリアパック<グロスツイルカーボン>(0円)/SVカーボンファイバーフィニッシャー(0円)/ボンネット<グロス、エクスポーズドカーボンファイバー>(28万円)/SVカーボンファイバーシートバック(0円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:717km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーD300
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4960×2005×1820mm
ホイールベース:2995mm
車重:2490kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:300PS(221kW)/4000rpm
最大トルク:650N・m(66.3kgf・m)/1500-2500rpm
タイヤ:(前)285/40R23 111Y XL M+S/(後)285/40R23 111Y XL M+S(ピレリ・スコーピオンゼロ オールシーズン)
燃費:11.6km/リッター(WLTCモード)
価格:1533万円/テスト車=1917万5443円
オプション装備:ボディーカラー<ジオラグリーン>(9万6000円)/パーフォレイテッドUltrafabricsシート(0円)/空気清浄システムプロ(7万円)/MERIDIANシグネチャーサウンドシステム(73万5000円)/Wi-Fi接続<データプラン付き>(3万6000円)/23インチフルサイズスペアホイール(11万3000円)/23インチ“スタイル5135”ホイール<グロスブラックフィニッシュ>(14万8000円)/フルノンレザーアップグレード(26万1000円)/ブラックエクステリアパック(34万8000円)/ステアリングホイール<ノンレザー>(9万6000円)/ウインドスクリーン<ヒーター付き>(3万4000円)/ヒーテッドウオッシャーノズル(2万3000円)/ツインスピードトランスファーギアボックス<ハイ&ローレンジ>(6万円)/フロントセンターコンソール急速クーラーボックス (11万4000円)/ラミネートフロント&リアサイドガラス(14万2000円)/SVビスポーク フィニッシャー<サテンカーボン、鍛造>(25万5000円)/アダプティブオフロードクルーズコントロール(4万5000円)/マニュアルリアサイドウィンドウサンブラインド (4万円)/11.4インチリアシートエンターテインメント(43万3000円)/コンフィギュラブルプログラム(4万5000円)/SVビスポーク デュオトーンヘッドライニング<エボニー/ライトクラウド、スエードクロス>(0円) ※以下、販売店オプション ドライブレコーダー(5万9180円)/ディプロイアブルサイドステップ一式(69万2263円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:8819km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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