アナタもレーサーになれる!? マツダが取り組む新時代の「モータースポーツのすゝめ」
2025.04.18 デイリーコラム 拡大 |
eスポーツを楽しんでいる人に、リアルなクルマ体験の機会を提供し、最終的には「スーパー耐久シリーズ」のドライバーまでステップアップ可能とする。それが「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING(マツダ・スピリット・レーシング)チャレンジプログラム2025」だ。2025年で3年目を迎える活動のメディア向け説明会が実施されたので、さっそく内容をリポートしよう。
拡大 |
拡大 |
マツダがモータースポーツで目指すもの
マツダのモータースポーツへの取り組みは、遠く1960年代にまでさかのぼる。最初の目的はブランドや商品のアピールであり、まずは日本や東南アジアでのツーリングカーレースに参戦。やがて、世界ラリー選手権(WRC)やルマン24時間レースなどといった、世界的なモータースポーツイベントにも挑戦することになる。
しかし2000年ごろから、マツダはワークスでの競技参戦からグラスルーツのモータースポーツ活動へと、路線を変更する。「ZOOM-ZOOM」のブランド戦略の一貫として、モータースポーツへの参加の機会をユーザーに提供するスタイルをとったのだ。そこで生まれたのが、モータースポーツ用の「ロードスターNR-A」であり、世界各地でのロードスターのワンメイクレースであった。
そうした取り組みについて、「クルマって楽しいよね。出かけるっていいよね。そんな皆さまの前向きな気持ちを、どんどん広げていきたい。走る喜び、生きる喜び、その輪を広げていき、すてきな時間を、体験を通して、もっとつくり出していきたいと考えている」と語るのは、マツダのブランド体験推進本部ブランド体験ビジネス企画部主幹の後藤憲吾氏だ。
いっぽうで、現在のマツダは、カスタマー主体のモータースポーツという大方針は維持・強化しつつも、徐々にマツダ本体によるファクトリーモータースポーツも再開している。それがスーパー耐久などへの参加だ。その狙いは、カーボンニュートラル燃料などの技術開発や、人材育成にあるという。
この「参加型モータースポーツ」と「ファクトリーモータースポーツ」という両輪の活動を行うため、マツダは2021年にマツダ・スピリット・レーシングというサブブランドを立ち上げている。「共に挑む」というスローガンのもと、カスタマーやメーカーの垣根を越えてモータースポーツを盛り上げるためだ。その試みのひとつが、スーパー耐久シリーズのST-Qクラス参戦であり、ガソリンや軽油を代替するカーボンニュートラル燃料を用いて、レースを戦っている。
プログラムを構成する4段階のメニュー
そんなマツダが、現在設けているモータースポーツのメニューは4種類だ。頂点となるのがスーパー耐久シリーズ、その下にあるのがロードスターのパーティーレース、そして3番目になるのが「マツダファン・サーキットトライアル」や「マツダファン・エンデュランス」だ。パーティーレースはJAF公式戦となるワンメイクレースで、現在はジャパンツアーシリーズ、北日本/東日本/西日本シリーズと、計4つのシリーズ戦がある。マツダファン・サーキットトライアルはJAFのBライセンスが必要なタイムアタック。マツダファン・エンデュランスは、ライセンス不要のチームで楽しむ150分耐久レースで、通称「マツ耐」とも呼ばれる。そして、ここまでがリアルなサーキットで楽しむモータースポーツとなる。
そしてマツダは、この下にさらにもうひとつモータースポーツのメニューを持っている。それがeスポーツだ。具体的には「プレイステーション4/5」で遊べるドライビングシミュレーションゲーム『グランツーリスモ』において、マツダ独自のオンライン大会「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」を2022年より開催しているのだ。
興味深いのは、このeスポーツからリアルなモータースポーツへのステップアップもマツダがサポートしている点で、これがすなわち、倶楽部MAZDA SPIRIT RACINGチャレンジプログラムなのだ。マツダ車のオーナーでなくても参加可能で、しかも車両などの費用のほとんどをマツダが負担するという、なんとも太っ腹なプログラムである。
実際にスーパー耐久に挑戦した人も
プログラムの流れを説明すると、まずは先述したオンライン大会、MAZDA SPIRIT RACING GT CUPを開催し、その上位入賞者に、筑波サーキットでの1泊2日のサーキット走行体験を提供する。初回である2023年は18人、2024年は27人が参加し、2025年も27人の招待を予定しているという。そして、そのなかから選ばれた一部のメンバーが(2023年は9名、2024年は6名、2025年は4~8名)、マツ耐にドライバーとして参加できるのだ。ちなみに、MAZDA SPIRIT RACING GT CUPの参加者は、2022年が約6000名、2023年が約7500名、2024年が約9000名と、年々増加の一途をたどっている。厳しい競争を勝ち抜いたごく少数が、リアルなドライバーに昇格できる。
2025年は、2024年に開催されたMAZDA SPIRIT RACING GT CUPの上位者に対して、4月22日・23日にサーキット体験会を実施。そのなかから選抜されたドライバーが、シミュレーター練習とジムカーナ勉強会などを経て、7月26日の筑波サーキット、10月5日の富士スピードウェイ、11月23日の岡山サーキットのマツ耐に参戦するという。
またマツダは、それ以外にも「スーパー耐久シリーズへの道」と称して、ロードスター・パーティーレースの成績優秀者に対して、スーパー耐久マシンのシートを提供するプログラムも用意しており、2025年は6人のドライバーがエントリーしている。新しく加わったドライバーのなかには、MAZDA SPIRIT RACING GT CUPへの参加や、自費でのパーティーレース参戦を経て、スーパー耐久シリーズのドライバーとなった人物もいるという。まさにチャレンジプログラムのメニューを頂点まで駆け上がった例といえるだろう。
2026年のプログラムに向けた2025年のオンライン大会「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 」は、9月下旬ごろから11月ごろの開催予定だ。気になる人はしっかりと練習を重ねて、エントリーしてみよう。
(文=鈴木ケンイチ/写真=マツダ、鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
-
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する 2026.10.16 年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。
-
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する 2026.10.15 光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。
-
「BYDラッコ」「スズキeスカイ」登場で卍どもえに 軽乗用BEVの覇権はどこが握る? 2026.10.14 これまで「日産サクラ/三菱eKクロスEV」と「ホンダN-ONE e:」のみだったところに「BYDラッコ」と「スズキeスカイ」が加わり、軽BEV市場がにわかに盛り上がりを見せている。どれもほぼ同じ床面積を持つBEVだが、比べてみるとその中身は結構違う。今後の覇権を握るのはどの陣営か。
-
電動化された新型「A110」の登場はいつ? 来日したアルピーヌのクリエフCEOに未来戦略を聞く 2026.10.12 アルピーヌのフィリップ・クリエフCEOが来日し、現在推進している戦略を報道関係者に説明した。なかでも気になったのは電動化された新型「A110」と、「A110Rウルティム」に相当する特別な超高性能モデルの存在だ。その内容とは?
-
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く 2026.10.9 パナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。





































