ポルシェ911カレラGTS(後編)

2025.07.10 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 これまで「ポルシェ911」に敬意を抱いてきた車両開発者・多田哲哉さんは、ハイブリッドの911にどんなことを思ったか? 試乗してわかったプロダクトの本質について、存分に語ってもらった。
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「変えないこと」へのこだわり

911初のハイブリッド車を前に「あのリアヘビーな重配(=前後重量配分)をどう変えてくるのかに興味があった」と語った多田さんだが、実は今回の試乗を前にして、知己のポルシェのエンジニアに話を聞いたのだそうだ。

「私としてはハイブリッド部品を使って重配を変えるのは大前提で、本当に興味があったのは『どのくらいの比率に落とし込んでいるのか?』でした。バランスを改善するといっても、ミドシップの『ケイマン』と同じくらいにしたら、つまらないわけですから……」

多田さんは今回の試乗前に、すでに自身の疑問をポルシェの中の人にぶつけていたわけだ。

「その答えは『それはまったく違う。今回は逆に重配をいかに変えないかで苦労した』でした。さらには、ハイブリッド化に合わせてエンジン搭載位置を下げる方法が見つかったので、重心は下がっているとのことでした。そして最後には『911の重配を変えたら、ケイマンと一緒になっちゃうじゃないか』と言われました」

このクルマではハイブリッド用リチウムイオン電池はフロント側に搭載されるが、それも「今までの補機バッテリーと置き換えることで、重くなったリアとの重配が変わらないようにしているのでしょう」と多田さん。

「エンジニアから話を直接聞いてからの試乗でしたので、ポルシェの言わんとしていることもすぐにわかりました。この走りは、まさに私がよく知っている911そのものです」

 
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