ルノー・キャプチャー エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH(FF/4AT+2AT)
そこはかとなくアルピーヌ 2025.08.02 試乗記 マイナーチェンジした「ルノー・キャプチャー」は、大胆な変貌を遂げたフロントデザインとスポーティーで上質なデザインを特徴とする新グレード「エスプリ アルピーヌ」の登場がセリングポイント。「フルハイブリッドE-TECH」に試乗し、その進化と仕上がりを確かめた。別人級の新しいフロントマスク
この2025年6月にマイナーチェンジ版が日本に上陸したばかりのルノー・キャプチャーを生で見るのは今回が初めてだが、フェイスリフト前の面影が全然ないくらい、大胆な変貌を遂げたフロントマスクに驚いた。
デザインを詳しく語ることはあまり得意ではないので、そのあたりは他のリポートをご覧いただくとして、これまでのキャプチャーが親しみやすい雰囲気のマスクだったのに対して新型はわりとクールな印象にまとめられている。
さらに、“ロザンジュ”と呼ばれるルノーのロゴがやや控えめになったこともあって、遠目にはルノーというより、少し前のプジョーをイメージさせるが、それもそのはずで、現在、ルノーのデザインを統括するジル・ヴィダル氏は、ルノーに移籍するまではプジョーのデザインを指揮していたのだ。
細く幅広いフロントグリルに加えて、ヘッドランプ下のデイタイムランニングランプも、キャプチャーのフロントマスクをより個性的なものにしている。デイタイムランニングランプのデザインは、くだんのロザンジュから発想を得たものとされ、その配置やディテールも興味深い。マイナーチェンジといいながら、がらりと変わったフロントマスクからは、ヨーロッパで高い人気を誇るこのコンパクトSUVに対するルノーの強い意気込みが伝わってくる。
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殺し文句はエスプリ アルピーヌ
マイナーチェンジということで、コンパクトで塊感のある基本フォルムに変更はないキャプチャーだが、フロントマスク以外にも注目したいところがある。フロントフェンダーに誇らしげに光るアルピーヌのロゴと「esprit ALPINE」の文字だ。
ご存じのとおり、アルピーヌは、ルノーのモータースポーツとスポーツモデルを担うプレミアムブランドで、そのエッセンスが、「エスプリ アルピーヌ」として、最新のキャプチャーに息づいているというのだ。
とはいっても、身構えて乗り込むような気難しさはなく、どちらかといえばアルピーヌのスポーティーな雰囲気を楽しむための演出という意味合いが強い。メルセデス・ベンツの「AMGライン」やBMWの「Mスポーツ」のような位置づけといえば理解しやすいだろう。
これがキャプチャーのインテリアをスポーティーに彩る。実際、印象的なブルーのアクセントがシートやステアリングホイールをはじめ、シートベルト、センターコンソール、ダッシュパネルなどに施され、しかもそれらがスポーツ一辺倒ではなく、スタイリッシュでこれまで以上に洗練された雰囲気に仕上がっているのは実に魅力的だ。まさにフランスのエスプリというところである。
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ストロングハイブリッドらしい力強い加速
エスプリ アルピーヌの採用以外では、7インチから10.4インチに拡大されたダッシュボード中央の縦型液晶パネルが新しい。これに伴いダイヤル式だった空調コントローラーは、一列に並ぶトグルスイッチに形を変え、液晶パネル下に配置。すっきりとした印象になった。ナビゲーションシステムは用意されないものの、ワイヤレス接続できる「Apple CarPlay」「Android Auto」が搭載され、スマートフォンのナビアプリを利用すれば表示画面も大きいので道案内で困ることはない。
さて、新しいキャプチャーには2種類のパワートレイン、すなわちストロングハイブリッドのフルハイブリッドE-TECHと、1.3リッター直4ガソリンターボに補助モーターとバッテリーを組み合わせた「マイルドハイブリッド」が用意される。今回試乗したのは前者だ。
フルハイブリッドE-TECHは、自然吸気の1.6リッター直4ガソリンエンジンにメインの「Eモーター」とスタータージェネレーターの「HSG」のふたつを組み合わせ、これらを電子制御のドグクラッチマルチモードATで連携させるという、ルノー独自のストロングハイブリッドシステムだ。
その中身は複雑で、今回はその説明は省くが、もちろん運転するうえで難しいところはない。クルマを始動し、シフトレバーでDレンジを選択。ブレーキペダルから足を離せば、キャプチャーはモーターの力だけでゆっくりと動き出す。軽くアクセルペダルを踏む状態では発進から50km/hあたりまで、いわゆるEV走行で事足りてしまう。
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ショックのいなしがうまい
スピードが上がると、エンジンとモーターが協調してキャプチャーを走らせるが、その加速はとても力強く、コンパクトSUVのキャプチャーにはぜいたくと思えるほど。さらに、状況に応じてエンジンだけ、モーターだけと動力源を切り替える。そのあたりの動きも実にスムーズで、これが「F1由来のテクノロジー」と聞かされると、妙にありがたく思えるのは私だけではないだろう。
マイナーチェンジを機に、フルハイブリッドE-TECHに装着されるタイヤ/ホイールが1インチアップの19インチになった。インチアップはグリップ性能やハンドリング、さらにスポーティーな見た目という点でメリットがある一方、乗り心地が悪化するのではないかと心配していた。
ところが実際に走らせてみると、タイヤ/ホイールの重さが感じられることがあるものの、目地段差を越えたときのショックのいなし方はむしろ最新型のほうがうまい。乗り心地は以前よりも硬めとはいえ、十分快適なレベルに収まっている。
コーナーでのロールはよく抑えられていて、ハンドリングは実に軽快。サスペンションの動きもしなやかだ。見た目の演出とともに、アルピーヌのエッセンスはこのキャプチャーの走りにも効いているようだ。
背の高いSUVスタイルとあって、スライド機構が備わる後席は大人でも十分な広さが確保され、荷室も見た目から想像する以上に広い。この内容と454万9000円という価格を考えると、今後、日本の路上で見る機会が一気に増えるようになるのではないかと期待が膨らむ一台である。
(文=生方 聡/写真=佐藤靖彦/編集=櫻井健一/車両協力=ルノー・ジャポン)
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テスト車のデータ
ルノー・キャプチャー エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4240×1795×1590mm
ホイールベース:2640mm
車重:1420kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:4段AT(エンジン用)+2段AT(モーター用)
エンジン最高出力:94PS(69kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:148N・m(15.1kgf・m)/3600rpm
メインモーター最高出力:49PS(36kW)/1677-6000rpm
メインモーター最大トルク:205N・m(20.9kgf・m)/200-1677rpm
サブモーター最高出力:20PS(15kW)/2865-1万rpm
サブモーター最大トルク:50N・m(5.1kgf・m)/200-2865rpm
タイヤ:(前)225/45R19 92V/(後)225/45R19 92V(ミシュランeプライマシー2)
燃費:23.3km/リッター(WLTCモード)
価格:454万9000円/テスト車=463万4690円
オプション装備:なし ※以下、販売店オプション フロアマットプレミアム<ブラックステッチ>(2万9040円)/ETC1.0<ディスチャージレジスター含む>(2万3650円)/エマージェンシーキット(3万3000円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:4906km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(6)/山岳路(1)
テスト距離:200.7km
使用燃料:14.0リッター(プレミアムガソリン)
参考燃費:14.3km/リッター(満タン法)/16.9km/リッター(車載燃費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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