第842回:スバルのドライブアプリ「SUBAROAD」で赤城のニュルブルクリンクを体感する
2025.08.05 エディターから一言 拡大 |
ドライブアプリ「SUBAROAD(スバロード)」をご存じだろうか。そのネーミングからも想像できるように、スバルがスバル車オーナー向けにリリースするスマホアプリである。今回は、2025年7月31日に公開された“赤城のニュル”を舞台とするSTI監修・特別コースの体験イベントに参加。同アプリを使用したドライブの印象をリポートする。
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新しい発見を提供するアプリ
そもそもスバロードとは、いったいどんなアプリなのか。何ができ、その特徴とは? という素朴な疑問の答えは、スバロードのオフィシャルサイトにあった。
オフィシャルサイトのFAQを開くと、「スバロードは、スマートフォン上で動作する、スバルオーナー専用のドライブアプリです。おすすめのドライブコースをもとに、事前にプランを作成し、出かけましょう。走行中は、クルマの位置情報と連動した音声ARシステムを用いて、地域の歴史や物語を教えてくれる音声ガイド、車窓から見える景色にピッタリのBGMなどをお楽しみいただけます」との説明が表示された。
つまりスバロードは、選択したコースのナビゲーションに加え、GPSに連動した音声ガイドや音楽で移動そのものを楽しく演出するエンタメ系のドライブアプリといえる。「効率を最優先して目的地へ移動する従来のカーナビゲーションでは必ずしも案内されなかったワインディングロードや、海や山など自然の景観を楽しめる道、地域の魅力を感じられる名所などを案内する」とされ、使用料は無料(アプリの使用中に発生する通信料は別)。Google PlayまたはApp Storeからインストールできる。
ただし、アプリを利用するにはスバルIDの登録が必要になる。とはいえスバルIDは誰でも登録できるので、スバルオーナー専用のドライブアプリをうたうスバロードだが、意外と使用のハードルは低い。
2021年12月に3コースでスタートしたスバロードは、2025年7月末現在、北海道が2コース、東北が2コース、関東が7コース、東海が6コース、北信越が3コース、近畿が4コース、中国/四国が2コース、九州/沖縄が2コースの計28コースをラインナップに数える。
今回は前述のとおり、最新コースとしてリリースされた「STIの真髄はこの道から! “赤城のニュル”を駆けろ!」(以下、“赤城のニュル”)のコースを体験することができた。こちらはその名称からもわかるように、STIとコラボしたこだわり抜いたコースとの触れ込みだ。
スタート地点は「道の駅川場田園プラザ」
“赤城のニュル”の舞台となる群馬・赤城は、いわばスバルのお膝元でもある。ならばコース設定に力も入ろうというものだ。そう考えれば、間違いのない、つまり確実に走って楽しいコースであろうと想像できる。
期待を胸に臨んだ開催当日、体験試乗車両として引き当てたのは「レヴォーグSTIスポーツR EX」である。レヴォーグの最上級グレードというだけでもテンションは上がるのに、今回はなんと第53回ニュルブルクリンク24時間レース(以下、NBR24)で「WRX S4」のステアリングを握った現役NBR24ドライバーの久保凛太郎選手が同乗。希望があればドライバーも務めてくれるのだという。
まずは、スバルの群馬製作所本工場からスバロードが設定する“赤城のニュル”のスタート地点「道の駅川場田園プラザ」までの移動である。ぜいたくにも、久保選手にドライバーをお願いした。NBR24ドライバーの運転でフツーのドライブを体験できる機会など、そうあるものではない。
道中はスバロードそっちのけで、この6月に行われたNBR24の様子をあれこれ尋ね、24時間レースがクルマにもドライバーにも、そしてチームメンバーにもタフなことを生の声からうかがい知る。ちなみに今回、久保選手が乗った88号車「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2025」は、参加台数136台中総合76位、SP4Tクラス2位で見事フィニッシュした。
プロドライバーと差しで(正しくは並んで)クルマに乗れたのをいいことに、富士スピードウェイのダンロップコーナーからパナソニックオートモーティブコーナー(最終コーナー)までの攻略法を聞いているうちに、レヴォーグはスタート地点へと到着。いよいよ、“赤城のニュル”を体験する。
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ラジオDJのように軽快な掛け合い
スマホを接続しスバロードのアプリを起動させた後は、車両のセンターディスプレイで多くの操作を行えるので、スマホはつないだままにしておくだけでいい。道の駅川場田園プラザから車両をスタートさせると、レヴォーグのセンターディスプレイにルートと、次の経由地やビューポイントが表示される。ルートガイドはわかりやすく明確だ。
音楽ストリーミングサービス「AWA」による軽快なBGMとともにナビゲーターを務めるのは、SUPER GTで「SUBARU BRZ GT300」を駆る井口卓人選手と山内英輝選手である。GPSに連動しているので、井口選手と山内選手が紹介するコースや車窓からの風景は、ほぼタイムリー。まるでクルマの走行位置をどこかで見ているかのように説明が入る。実にハイテクである。
井口選手と山内選手の掛け合いは、ラジオDJのように軽快で、掛け値なしに面白い。レヴォーグのステアリングを握りながら、そのしゃべりを聞く久保選手も時折笑顔を見せる。コンマ1秒を削り合うレーシングドライバーという仕事だけに、どこか無口で侍のような人物像を勝手につくり上げていたが、「いや、みんなよくしゃべりますし、すごく面白い人が多いですよ」と久保選手。利根沼田望郷ラインを通り、「貝野瀬ビューポイント」を過ぎた2つ目の経由地が「奥利根ワイナリー」ということもあって、井口選手と山内選手の話にはワインも登場する。そのくだりは、かなり楽しい。
ちなみに、長きにわたりスバルで走りに関する開発や評価を行ってきた腕利きの車両評価ドライバー“ミスタースバル”こと辰己英治(たつみ ひではる)氏も、バイクでしばしば利根沼田望郷ラインを走っているという。(辰己氏の連載『ミスター・スバル 辰己英治の目利き』もぜひご覧ください)
奥利根ワイナリー周辺は左右が開けたところが多いほか、道沿いに大きな木が立ち並ぶポイントも通過する。「まるでドイツの郊外で目にするような風景ですね」と久保選手。規模はいささか小さいものの、確かにドイツの道を走っている気分にもなれる。ランチをはさみ、「松の木ビューポイント」と「道の駅ぐりーんふらわー牧場・大胡」を過ぎれば、いよいよSTIが“赤城のニュル”と呼ぶ“からっ風街道”に入る。
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スバル愛が高まっていく
“からっ風街道”は赤城山の麓に沿うように走る道の別名で、大小のアップダウンがあって、退屈させることのないルートだ。その距離は二十数kmとさほど長くはないものの、峠道とも観光道路とも違う趣がある。しかも信号が少なく、道幅も十分で走りやすい。
DX企画推進を行うスバルのビジネスイノベーション部でスバロードの開発に携わる藤原嵩之氏は「信号の少ないルートの選出にはこだわっています。まずは気持ちよく走れるルートをと考えています」と語る。スバロードのコースは、スバルとスバルの地元ディーラー、そしてパートナー企業が協力し合いながら開発が進められている。
「その土地を好きになる。好きな日本が増えていく」を掲げ、スバルが提供する新たなドライブ体験がスバロードのテーマ。STIとのコラボ企画というだけあって、“赤城のニュル”は確かに満足度が高かった。コースを完走すると「からっ風街道」と「STI(akagi)」のリワードが獲得できる。リワードはスバルのグリルと同じ六角形のデザインと芸が細かい。
藤原氏は「スバロードを体験したユーザーのうち、これからもスバル車に乗りたいという気持ちが高まったという人が61%を占めた」と説明する。なるほどこのアプリからは、スバル車そのものが楽しいだけでなく、カーライフを特別なものにしたいというスバルとスバルに従事する人のクルマ愛を感じずにはいられない。アルファ・ロメオの愛好家を「アルフィスタ」、フェラーリの愛好家を「フェラリスタ」と呼ぶが、さすが日本の自動車メーカーでおそらく唯一愛好家に名称がつくブランドだけあると納得する。
例えば世界に14座ある8000m峰をすべて登頂した登山家に与えられる称号「14サミッター」に倣い、スバロードの全28コース完走者を何か特別な称号で……と、スバロードはこれからも増えていくだろうから、単純にスバロード28サミッターと呼ぶわけにもいかないか。
(文=櫻井健一/写真=スバル/編集=櫻井健一)
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櫻井 健一
webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。
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