第333回:毛が生えようが、ハゲようが
2026.04.13 カーマニア人間国宝への道例のステランティスのマイルドハイブリッド
「今度首都高で、『ジープ・アベンジャー』のハイブリッドモデル、『アベンジャー4xeハイブリッド アップランド』にお乗りになりますか」
担当サクライ君からのメールに、「久しぶりだなー」と思った。サクライ君と首都高を走るのは、えーと、昨年暮れの「日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション」以来か(参照)。実に約3カ月ぶりである。
当日夜。いつものように20時過ぎ、サクライ君はやってきた。
オレ:これってもともとBEVだけだったジープだね?
サクライ:そうです。今回、ハイブリッドが追加されました。
パワートレインは、ステランティスの各車に共通する1.2リッター直3ターボのマイルドハイブリッドだ。またか、という気がしないでもない。このハイブリッドに乗るの、いったい何車種目だろ。プジョー、シトロエン、フィアット、アルファ・ロメオ、そんで今回のジープだから5車種目か。
走りだすと、いかにも例のステランティスのマイルドハイブリッドだった。ブランドごとに微妙な乗り味の違いはあるが、ミクロの差。ほとんど変わりない。安心といえば安心だが、退屈といえば退屈だ。お買いになる方には関係ない話ですが。
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クルマの運転ができないのは大問題
オレ:そういえば、前回サクライ君とルークスでドライブした時、毛生えグスリの話をしたよね。
サクライ:はい。AGA(男性型脱毛症)の飲み薬をゲットしたとおっしゃってました。効きました?
オレ:……実はさ、めちゃめちゃ効いてきたんだよ!
サクライ:えっ! ホントですか!?
オレ:飲み始めてまだ3カ月だけど、なんか額のあたり毛深くないかオレ? と思って頭頂部の写真撮ったら、地肌がぜんぜん見えなくなってたんだよ!
サクライ:マジで!?
オレ:額も狭くなっちゃってさ。ボーボー生えてきちゃったよ!
サクライ:それはよかったですね。
オレ:いや、よくないんだ。オレ、肩の神経痛だって言ったじゃない。
サクライ:はい。それで最近、運転がつらいとか。
オレ:そう。実はそれって毛生えグスリと関係あるみたいでさ。血管拡張作用があって、神経痛を悪化させたらしい。んで3日前から飲むのやめたら、明らかに緩和されたんだよ!
サクライ:副作用だったんですね。
オレ:毛生えグスリで毛が生えてきたのはちょっとうれしかったけど、いまさら毛が生えようがハゲようが、どうってことないじゃない、オレたち。
サクライ:そうですよね
オレ:それよりクルマの運転ができないのは大問題でしょ。だから髪の毛はきっぱり諦めて、運転を取ることにしたよ!
サクライ:それは男らしい決断ですね。
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スポーツカーは毛生えグスリ
サクライ:で、毛生えグスリはもう飲まないんですか?
オレ:うん。きっぱりやめた。
サクライ:やめるとまたハゲるんですか。
オレ:ゆっくり元に戻るらしい。
サクライ:元に戻るだけならぜんぜんオッケーですね。
オレ:ぜんぜんオッケーだよ!
そんなことを話しているうちに、アベンジャーはずんずん首都高を走って辰巳PAに到着した。辰巳はいつにも増してスポーツカーが多数参集しており、ちょうどランボルギーニが車庫入れに手こずっているところだった。
オレ:うわー、あのランボ、毛生えグスリ感すごいなぁ。
サクライ:胸毛までボーボー生えちゃったイメージですね。
考えてみれば、男にとってスポーツカーは、毛生えグスリに近い存在だ。もっと強くなりたい! もっと武装したい! という思いは、まったく共通している。
しかし私はもう、そういうのはいい。神経痛に悩まされずに、ただ穏やかに走れればそれでいい。髪の毛なんかなくていい。普通に運転さえできれば!
辰巳PAのスポーツカー軍団にまぎれたアベンジャーは、まったくもってそこらの通りすがりのクルマ感満点。趣味性のカケラも感じられない。しかし、そんなこともどうでもいい。
オレ:そういえば、お台場に巨大噴水ができたんだよね?
サクライ:そうらしいですね。
オレ:今度、ドライブ中に見ようよ。時間を合わせてさ。
サクライ:そうしましょう。楽しみですね。
うおおおお、薄毛のカーマニア同士で見る、7色の巨大噴水最高!
(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一/車両協力=ステランティス ジャパン)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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