ハーレーダビッドソンCVOストリートグライド3リミテッド(6MT)
考えるな、感じろ 2026.06.22 試乗記 ハーレーダビッドソンのユニークな三輪モデル「トライク」シリーズが大幅に進化。お値段800万円超(!)の最上級モデル「CVOストリートグライド3リミテッド」の試乗を通し、新しくなった乗り味と、受け継がれる独創のファン・トゥ・ライドをリポートする。見ても乗っても衝撃的
初めてハーレーダビッドソンのトライクに乗ったときは、強烈なインパクトがあった。
大きさとか目立ち具合はぶっ飛んでいるし、ハンドリングだって独特。なにしろバイクとしてデザインされた乗り物を三輪にして、バーハンドルを切って曲がるんだから、動きが独特になるのも当然だ。1対1のステアリングなのでレスポンスは予想を超えてシャープ。ツーリングモデルの外観なのに、ハンドルに力を入れればスポーツカーのごとき勢いでギュインと曲がる。しかも、速度が上がるとハンドルが重くなってアンダーが出る。後付けでつくっているから未完成なところがあるのだけれど、そこが面白かった。夜の街を走りまわり、友達や女の子を後ろに乗せて、キャーキャー騒ぎながら走ったものである。
ただ、このときに気になったのがリアまわりの動き。スイングアーム式のサスペンションにリジッドアクスルだから、左右のリアタイヤが別々にギャップに乗ると左右に揺さぶられる。そして最近の日本のストリートはけっこうギャップが多い。ベースとなったツーリングモデルの乗り心地のよさは、高速道路のようなフラットな路面でないと感じられなかったのである。
新しいトライクは、この点が大きく改良された。といってもリアの足まわりが左右独立となったわけではないのだが、スイングアームやサスペンションの構造を見直して、リアが左右にねじれることを許容する設計となったのである。
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そうはいっても“3輪”ですから……
さっそく街を走ってみると、確かにずいぶんよくなっている。左右に揺さぶられるのは変わらないが、その度合いは明らかに減少した。リアショックもとてもソフトな設定で、加減速でもそれなりにピッチングモーションがあるから、乗り心地にはかなり気を配っているのだろう。
「こりゃあいいぞ」と思って試乗場所に設置された波状路に片輪だけ乗せて走ってみると、メチャクチャに頭が振られてしまった。これはバイクのせいではなく波状路が悪い。そもそもトライクは四輪車のように車体が大きくないことに加えて、フロントが1輪だから左右に傾きやすい。対策するにしても限界があるのだ。この構造では、いくら進化したといっても片輪波状路はハードルが高すぎる。それに一般道で波状路なんてないし……。
そんなこんなで、一通りリアサスまわりのことを確認してから、あらためて街を走ってみた。そうするとやっぱり面白い。排気量1977ccのV型2気筒エンジン「ミルウォーキーエイト121」のトルクには、力不足なんてみじんも感じない。スロットルを開けた瞬間にVツインの排気音を響かせながら車体が押し出されていくフィーリングは、サイコーに気分がいい。それに、なんといっても3輪のハンドリングがいい。どっしりと安定しているのに機敏に動いてくれる感じがメッチャ楽しい。
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積極的に操縦すればなお楽しい
ただし、新型のハーレートライクに乗るのなら覚えておいたほうがいいこともある。勢いよく曲がると(三輪の場合、やりすぎは厳禁)、新しいリアサスシステムの影響で車体が若干アウト側に傾いて曲がっていくものだから、だらけた状態でハンドルを切ると上体が外側に持っていかれるのだ。
ちなみにゴトー、ATVを2台所有していて、冬はスノーモービルにも乗っているから、こういう乗り物のコントロールは大得意。曲がる方向に上体を入れて遠心力とバランスさせるようにすればいいのである。まあのんびり走るのだったら、普通にハンドルを切ればいいのだが、キビキビ走りたいのであれば積極的、かつトライクの動きに先行して上体を使うようにすると、より楽しくなるということだ。
トライクは普通自動車免許で乗ることができるし、低速で走ってもふらつかず、止まったときも重い車体を支える必要がない……なんて理由で購入されることもあるのだけれど、走らせてみればとても面白い乗り物だ。理屈じゃなくて体感でテンションが上がる。これはひとつ、webCG読者諸氏にもぜひ一度乗ってみていただきたい。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2685×1455×--mm
ホイールベース:1720mm
シート高:735mm
重量:582kg
エンジン:1977cc 空水冷4ストロークV型2気筒OHV 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:115HP(86kW)/5020rpm
最大トルク:182N・m(18.6kgf・m)/3500rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:7.1リッター/100km(約14.1km/リッター、EU134/2014)
価格:800万5800円

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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