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トヨタ・アクアGRスポーツ(FF/CVT)

核心は目に見えない 2026.11.02 試乗記 生方 聡 「アクア」のビッグマイナーチェンジに遅れること10カ月。“最新のトヨタ顔”に変身したスポーツコンバージョンモデル「アクアGRスポーツ」が登場した。さっそくワインディングロードに連れ出し、専用チューニングが施されたボディーや足まわりの仕上がりを確かめた。
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“ちょっとスポーティー”がちょうどいい!?

2025年9月のマイナーチェンジから10カ月、アクアに待望のGRスポーツが追加された。

トヨタのGRスポーツは、いつものクルマにちょっとスポーティーなスパイスを加えたグレード。本格的なスポーツモデルである「GR」とは異なり、基本的にエンジンのパワーアップは行わず、精悍なエクステリアや走る気分を盛り上げるインテリア、さらに足まわりのチューニングなどによって、見た目も走りもスポーティーに仕立てているのが特徴である。

そのルーツは、2010年に登場した「G's」にさかのぼる。2017年にトヨタがスポーツモデルの体系を見直した際、現在のGRスポーツへと生まれ変わったが、エンジンのパワーアップに頼らず、クルマを操る楽しさを高めるという基本的な考え方は変わっていない。

こうしたグレード展開は、ドイツ車などではおなじみの手法だ。メルセデス・ベンツの「AMGライン」、BMWの「Mスポーツ」、アウディの「Sライン」がこれに近い存在で、それぞれ本格的な高性能モデルの「AMG」「M」「RS」の雰囲気を身近に楽しめる仕様として、カタログモデルのなかでも人気を集めている。私自身、過去にアウディのSラインを乗り継いだ経験があるだけに、アクアGRスポーツには興味津々である。

「トヨタ・アクア」のビッグマイナーチェンジから10カ月遅れとなる2026年7月6日に登場した「アクアGRスポーツ」の改良モデル。今回は有償色「プラチナホワイトパールマイカ」のボディーカラーをまとった車両に試乗した。
「トヨタ・アクア」のビッグマイナーチェンジから10カ月遅れとなる2026年7月6日に登場した「アクアGRスポーツ」の改良モデル。今回は有償色「プラチナホワイトパールマイカ」のボディーカラーをまとった車両に試乗した。拡大
「アクアGRスポーツ」は、GRならではのデザインや走りを強化する装備の採用などがセリングポイントとされる。車両本体価格は328万8400円。
「アクアGRスポーツ」は、GRならではのデザインや走りを強化する装備の採用などがセリングポイントとされる。車両本体価格は328万8400円。拡大
フロントバンパーとロアグリル、フロントサイドスポイラーは「アクアGRスポーツ」の専用アイテム。いずれもボディーカラーにかかわらずブラック仕上げとなる。
フロントバンパーとロアグリル、フロントサイドスポイラーは「アクアGRスポーツ」の専用アイテム。いずれもボディーカラーにかかわらずブラック仕上げとなる。拡大
スポーティーな印象をもたらす「アクアGRスポーツ」のリアビュー。専用のリアバンパーやロアカバー、ロッカーモールディングでドレスアップされる。
スポーティーな印象をもたらす「アクアGRスポーツ」のリアビュー。専用のリアバンパーやロアカバー、ロッカーモールディングでドレスアップされる。拡大
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精悍さに磨きをかけたスタイル

マイナーチェンジでアクアは、「プリウス」などですっかりおなじみの「ハンマーヘッド」デザインを採用した。これだけでも十分にシャープで精悍な顔つきといえるのだが、GRスポーツからはさらに勇ましい印象を受ける。

とくに目を引くのが、専用にデザインされたバンパーだ。ハニカムメッシュのロアグリルに加えて、ブラックのリップスポイラーやフロントサイドスポイラーにより、スポーティーさだけでなく、空力性能にもこだわっていることが伝わってくる。やはりブラックになったサイドスカートやリアバンパーも、そんな印象を強めている。

標準モデルが15インチのタイヤとホイールを装着するのに対して、GRスポーツでは一気に2インチアップの17インチになるのも見どころのひとつ。レッドに塗られ、「GR」のロゴがあしらわれたブレーキキャリパーも、心憎いアクセントになっている。

一方、室内は黒を基調とした落ち着いた雰囲気にまとめられている。さらに、「GR」ロゴ入りの専用スポーティーシートや本革巻きステアリングホイール、アルミ製ペダルなどが採用されており、コックピットに収まるだけで、気分が高まるのがうれしいところだ。

ボディーサイズは全長×全幅×全高=4100×1695×1485、ホイールベースは2600mm。全長は標準モデルよりも20mm長い設定だ。
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4100×1695×1485、ホイールベースは2600mm。全長は標準モデルよりも20mm長い設定だ。拡大
専用のリアバンパーには、フロントグリルと対になる「G」をモチーフとした六角形のメッシュ形状デザインが採用されている。
専用のリアバンパーには、フロントグリルと対になる「G」をモチーフとした六角形のメッシュ形状デザインが採用されている。拡大
ダーククリア切削光輝+ブラック塗装の17インチホイールを標準で装備。今回の試乗車は205/45R17サイズの「ブリヂストン・エコピアEP150」タイヤを組み合わせていた。
ダーククリア切削光輝+ブラック塗装の17インチホイールを標準で装備。今回の試乗車は205/45R17サイズの「ブリヂストン・エコピアEP150」タイヤを組み合わせていた。拡大
ガンメタリック加飾と「GR」のロゴが備わる、ディンプル付き本革巻き3本スポークステアリングホイールが目を引くコックピット。インパネやドアトリムにもガンメタリックの加飾が採用されている。
ガンメタリック加飾と「GR」のロゴが備わる、ディンプル付き本革巻き3本スポークステアリングホイールが目を引くコックピット。インパネやドアトリムにもガンメタリックの加飾が採用されている。拡大

見えないところにもこだわりが

しかし、GRスポーツのこだわりは、むしろ見えない部分にあるのかもしれない。床下に2本のトンネルブレースを追加するとともに、専用のリアバンパーのリインンフォースによりボディーを強化。さらに、サスペンションも見直し、コイルスプリングやショックアブソーバーだけでなく、ブッシュなどにも手を加えているのだ。

走り始めてまず感じるのは、足まわりの硬さだ。路面の細かな凹凸を拾いやすく、荒れた舗装ではとくにその傾向が強い。さらにタイヤのインチアップもあって、乗り心地という点では、標準モデルよりも少々がまんを強いられる場面がありそうだ。

ところが、スピードを上げていくと、そんな印象が次第に薄れてくる。足まわりの動きが落ち着き、路面をしっかり捉えている感覚が増してくるのだ。コーナーではボディーのロールが小さく抑えられ、ステアリング操作に対する反応も軽快だ。

さらに感心したのが、高速道路での走りっぷりだ。直進安定性は高く、路面のうねりに対してもボディーが大きく揺さぶられることはない。上下動がよく抑えられたフラットな乗り味で、実に気持ちよくクルージングできる。街なかでは少々硬く感じられた足まわりが、高速域ではむしろ頼もしさにつながっている。

標準車から2インチアップとなる足まわりは路面の細かな凹凸を拾いやすく、荒れた舗装では少々硬さを感じる。しかし、スピードを上げていくと動きが落ち着き、路面をしっかり捉えている感覚が増してくる。
標準車から2インチアップとなる足まわりは路面の細かな凹凸を拾いやすく、荒れた舗装では少々硬さを感じる。しかし、スピードを上げていくと動きが落ち着き、路面をしっかり捉えている感覚が増してくる。拡大
シフトセレクターの横に「ドライブモードセレクトスイッチ」を配置。走行モードは「ノーマル」「パワー+」「エコドライブ」の3種類から任意で選択できる。
シフトセレクターの横に「ドライブモードセレクトスイッチ」を配置。走行モードは「ノーマル」「パワー+」「エコドライブ」の3種類から任意で選択できる。拡大
ディンプル付きのアルミペダルを標準で装備。2万7500円の「GRフロアマット」は販売店が取り扱うオプションアイテムだ。
ディンプル付きのアルミペダルを標準で装備。2万7500円の「GRフロアマット」は販売店が取り扱うオプションアイテムだ。拡大
後席使用時の荷室容量は291リッター。リアシートの背もたれを前方に倒せば、容量を704リッターに拡大できる。床面の高さを2段階で調整可能なアジャスタブルデッキボードが販売店オプションとして用意されている。
後席使用時の荷室容量は291リッター。リアシートの背もたれを前方に倒せば、容量を704リッターに拡大できる。床面の高さを2段階で調整可能なアジャスタブルデッキボードが販売店オプションとして用意されている。拡大

この価格差なら納得できる

こうした走りを支えているのが、しっかりとしたボディーだ。足まわりだけを硬くしたクルマとは違い、クルマ全体に一体感があり、ドライバーの操作に対して素直に反応してくれる。低速での乗り心地については好みが分かれる部分もあるだろうが、操縦安定性や高速走行時の快適さという点では、コンパクトカーの枠を超えた、ワンランク上の走りが楽しめる。

一方、パワートレインは標準モデルとも共通で、最高出力91PSを発生する1.5リッター直3エンジンと同80PSの電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載する。いかにも速そうな見た目とは裏腹に、加速性能はいつものアクアと変わらない。ただ、スポーティーな走りを楽しみながら、燃費のよさも諦めずに済むことに魅力を感じる人は、意外に多いのではないだろうか。

欲をいえば、標準装着される低燃費志向のタイヤを、ワンランク上のプレミアムコンフォート系に交換したいところで、それによりさらに気持ちのいい走りが味わえると思う。もっとも、そのあたりは購入後にオーナーが自分好みに仕立てていく楽しみとして残しておくのも悪くない。

ちなみに、アクアの最上級グレード「Z」のFFモデルと比較すると、GRスポーツの価格は38万600円高の323万8400円となる。専用の内外装に加え、ボディーや足まわりに施された数々の改良を考えれば、十分に納得できる価格差だと思う。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一/車両協力=トヨタ自動車)

最高出力91PSを発生する1.5リッター直3エンジンと同80PSの電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。このパワートレインは標準モデルとも同一となる。
最高出力91PSを発生する1.5リッター直3エンジンと同80PSの電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。このパワートレインは標準モデルとも同一となる。拡大
ヘッドレストに「GR」のロゴが入るスポーティーシートを標準で装備。シート表皮は「AIRNUBUCK+合成皮革」で、体が滑りにくくなっている。
ヘッドレストに「GR」のロゴが入るスポーティーシートを標準で装備。シート表皮は「AIRNUBUCK+合成皮革」で、体が滑りにくくなっている。拡大
フロントと同じく「AIRNUBUCK+合成皮革」で仕立てられたリアシート。背もたれには60:40の分割可倒機構が組み込まれている。
フロントと同じく「AIRNUBUCK+合成皮革」で仕立てられたリアシート。背もたれには60:40の分割可倒機構が組み込まれている。拡大
床下ブレースやリアバンパーリインフォース、専用チューニングサスペンションでシャシーを強化。コーナーではボディーのロールが小さく抑えられ、ステアリング操作に対する軽快な反応が味わえる。
床下ブレースやリアバンパーリインフォース、専用チューニングサスペンションでシャシーを強化。コーナーではボディーのロールが小さく抑えられ、ステアリング操作に対する軽快な反応が味わえる。拡大

テスト車のデータ

トヨタ・アクアGRスポーツ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4100×1695×1485mm
ホイールベース:2600mm
車重:1160kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 12バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:91PS(67kW)/5500rpm
エンジン最大トルク:120N・m(12.2kgf・m)/3800-4800rpm
モーター最高出力:80PS(59kW)
モーター最大トルク:141N・m(14.4kgf・m)
タイヤ:(前)205/45R17 84W/(後)205/45R17 84W(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:30.7km/リッター(WLTCモード)
価格:323万8400円/テスト車=332万6400円
オプション装備:ボディーカラー<プラチナホワイトパールマイカ>(3万3000円)/LEDリアフォグランプ(1万1000円)/寒冷地仕様<ウインドシールドデアイサー、リアヒーターダクト、PTCヒーターなど>(1万6500円) ※以下、販売店オプション GRフロアマット(2万7500円)

テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:2537km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:422.0km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:24.2km/リッター(車載燃費計計測値)

トヨタ・アクアGRスポーツ
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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