第408回:ファン感涙!? これだけで買ってもいいじゃない!
レガシィはなぜ安全日本一に輝けたのか?
2010.05.12
小沢コージの勢いまかせ!
第408回:ファン感涙!? これだけで買ってもいいじゃない! レガシィはなぜ安全日本一に輝けたのか?
日本から離れたレガシィが日本一に
ここ数年「努力したことが報われない国」と言われて久しい日本だけど、久々、正しく報われたなぁという感じですよ。先日発表されたJNCAP(公的機関による衝突安全テスト)で『自動車アセスメントグランプリ'09/'10年』に輝いた車両、つまり“今年一番安全なクルマ”となった「スバル・レガシィ」のハナシ。
主催する独立行政法人のNASVA(自動車事故対策機構)は、年間5億円の運営資金を理由に、最近話題の間引き、じゃなかった事業仕分けの対象になってるけど、これに限っては「やってくれたな!」と、素直に評価したい。
だってさ、こうやって名指しでグランプリを決めるって、いいことじゃない? 衝突安全はクルマの性能の中で、特に重要な部分だし、これに影響されてクルマを買う人も多いはず。
特にレガシィは今回の5代目で、明らかにデカく、個人の好みもあるがスタイルが日本向けではなくなった。ある意味、国内におけるレガシィの2大存在意義、すなわち「ジャストサイズ」で「端正なデザイン」を失ったとも言えるわけで、それは非常につらい。
もちろん改変のの理由はどれも仕方がないものばかり。この時代、クルマを国内専用で作るのは難しく、グローバルに向け室内が大きくなったのは仕方ないことだ。なおかつ外寸の拡大を抑えようと、無駄なデザインの膨らみや、オーバーハングを抑えた結果、デザインがやや無骨になったのも仕方ない。
つまり、スバルという小さくも個性的なメーカーが生き延びるためにはどれも仕方のない決断だったわけだ。そんな折に獲得した「安全日本一」の称号! 素晴らしいではあ〜りませんか!!
旬は過ぎたが、宮崎県に来たそのまんま東知事的というか、田舎に突如生まれた名物のようというか、クルマ好きとしてはレガシィにこそこういう、地味だが価値ある栄冠を勝ち取って欲しかった。これぞ神のお導き! って感じなわけですよ。
スバルならではの個性が安全につながった
しかも安全性能の高さはどれもレガシィならでは、つまりスバルならではの個性から発生してるからうれしい。無理やりボディをデカくしたとか、特殊なハイテクデバイスに頼った好結果ではなく、優れた素性あればこその“安全日本一”。実際、'07/'08年には、インプレッサがグランプリを取ってたりするんだもんね。
具体的にJNCAPは毎回複数項目の採点結果から導き出されるが、今回はそれが5項目から8項目に増え、レガシィはそのうち7項目でトップ(!)に輝き、しかも理由がどれも単純明快!
まずは、歩行者頭部保護性能だ。いわゆる、クルマと人の衝突、つまりボンネットまわりに歩行者が当たった場合の安全性能だが、水平対向エンジンを採用するスバル車は、この点で有利。なぜならエンジン高が低く、ボンネット下のクラッシャブルゾーンを広く取れるからだ。
さらに、前面衝突時の後席パッセンジャーはもちろん、前席への衝撃の少なさ。これまた得意の水平対向エンジンの重心の低さがゆえ。衝突時にエンジンを下側に滑り込ませることができ、エネルギーをうまく吸収できている。
アクティブセーフティの部分でも、スバル特有のシンメトリカルAWDレイアウトゆえ、左右タイヤに車重がほぼ均等に配分され、緊急時のハンドリングが良くなってることも見逃せない。
なによりも驚いたのはブレーキ性能。レガシィは車重1.5トンクラスながら、制動距離が1トンクラスなみに短いのだが、特別太いタイヤを履いてるからとか、すごいブレーキを着けているからではない。これまたスバルの誇るフルタイム4WDのおかげで、エンブレが常時4輪に効率よく働き、制動距離が短く済むという、聞けば納得な理由なのだ。
つまりこういった素性のよさが、8項目の好評価に結びつき、グランプリを獲得できたというわけ。
でもホント、レガシィ独自のファン・トゥ・ドライブ性能が安全性にもつながるなんて、す〜ばらしいストーリーではないですか。カーリングみたいな、地味な努力を続けたシブい種目の選手が金メダルを取ったようなうれしさですよ。
日本もまだまだ捨てたもんじゃないよね。よかったよかった!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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