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【スペック】全長×全幅×全高=4265×1780×1430mm/ホイールベース=2640mm/車重=1380kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ(145ps/6000rpm、18.9kgm/4500rpm)/価格=295万円(テスト車=353万7000円/スタイリングキット=16万5000円/17インチアルミホイールStyx=8万円/メタリックペイント=8万円/C30ナビゲーションシステム=23万7000円/ETC=2万5000円)

ボルボC30 2.0e Aktiv(FF/6AT)【試乗記】

北欧テイストさらに濃く 2010.04.15 試乗記 島下 泰久 ボルボC30 2.0e Aktiv(FF/6AT)
……353万7000円

シャープな顔立ちに生まれ変わったボルボのコンパクトカー「C30」。ベーシックグレードで、その走りを検証する。
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大胆だが子供っぽくない

デビューした時の姿でも十分魅力的に映っていただけに、フェイスリフトには当初、ちょっと抵抗があった。「S40/V50」似の穏やかな顔は、「C70」にはともかく「C30」にはマッチしていると思っていたからだが、遠目にも表情がハッキリした新しいマスクを得た姿を実際に眺めてみると、これも悪くない気がしてきた。こちらの方がハッチバックらしい軽快感があって、クルマが若返ったような感じがする。大体こんなに“バックシャン”なクルマなのだ。顔だって、このぐらい主張したっていいだろう。

一方、もともと主張の明快だったインテリアも、その度合いをますます深めている。意匠には変更は無いが、デザインのキーであるフリーフローティングセンタースタック、そしてシート地などにはたくさん、思わず目を引き付ける色合いのものが用意されている。試乗車のシート地は、ボディ色と合わせたオレンジを大胆に使った鮮やかなツートーン。そしてセンタースタックは、オイスターバーストと呼ばれる、1950年代のスウェーデン製エレクトリックギター“ハグストローム”をモチーフとしたものだ。内装にギターの柄を使ったクルマなんて今までにあっただろうか?

さすがボルボというべきか、内外装ともにこんなふうに大胆に仕立ててはいても、決して子供っぽくなっていない。白いホイールなんて普通はナシと思うところだが、それすらもいい感じだと思えてくる。これが北欧のセンスだと言われれば、たしかにそうなのだろう。

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すべてがホッとする

しかし、このC30でもっとも印象に残ったのは走りっぷりである。刺激的というわけではない。むしろ逆。とても穏やかな、ホッとする走りなのだ。

ステアリングの操舵(そうだ)力は、今の感覚からすれば重め。けれど、じわりと力を加えていけば、意図したとおり、それ以上でもそれ以下でもないレスポンスを返してくる。思ったように曲がらなかったり、逆に切れ過ぎたりということが無い。径の大きさも、そうした心地良い操舵感にひと役買っているのだろう。

ブレーキも、最初はやはり初期制動が甘めに感じられるが、慣れてくると同乗者の頭を揺さぶることなく止めるのも、楽にこなせるようになる。踏んだ途端にカツーンと効くブレーキでは、北欧の冬を安全には過ごせないだろうと考えれば、このタッチも納得。要するにクルマ全体に、そういう思想が貫かれている。

昨年から採用された直列4気筒2リッターエンジンと、パワーシフトと呼ばれるデュアルクラッチギアボックスを組み合わせたパワートレインもそう。パワー、トルクは目を見張るほどではなく、変速もたとえばフォルクスワーゲンのDSGのように素早くはないが、おかげで乗っていてクルマからせかされるようなことがなく、自分のリズムで気持ち良く走れる。ただし、その感覚は「トルコンATのよう」というのとは違う。うまい人が操っているMTのようだと表現した方が、むしろ正しい。そこはデュアルクラッチ、決してルーズなわけではないのだ。

日本車には無いセンス

さて、あまり穏やかという言葉を使うと、それは面白みが無いのかと取られてしまうかもしれないが、そういうことではない。前述のとおりステアリングレスポンスは鋭くはないが、そもそもサイズがコンパクトなだけに、街なかでも山道でも取り回しは軽快。絶対的なパワーはそこそこでも、右足と駆動力の関係がダイレクトだから、クルマとの一体感も高い。繰り返しになってしまうが、要するに意図したとおりに、まさにその言葉のとおりクルマが自分の手足になったように動くよろこびを味わえるのである。

あえて不満を言えば、エンジンを始動した時のブルンッという振動や、リバースギアに入れた時の若干のシャクリなどは、もう少し洗練させたい。せっかく乗れば気持ち良いのに、そんなことで購入を却下させるようなことがあっては惜しい。

しゃれっ気のある、けれどどこか落ち着いた内外装に、なにかを足したり引いたりしない実直な味。そこはかとなく、そういうことかと思わせる北欧テイスト。今回のフェイスリフトはC30のもともと持っていた魅力の輪郭を、よりクッキリさせたように思う。いかにも輸入車らしい、日本車には無いセンスに触れる楽しみを備えた1台が、一層その味わいを濃くしたわけだ。

(文=島下泰久/写真=郡大二郎)


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クリックするとシートアレンジによる荷室の変化が見られます。
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島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

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