ボルボC30 2.4i Aktiv(FF/5AT)/T-5(FF/5AT)【試乗速報(後編)】
若年寄り!?(後編) 2007.07.07 試乗記 ボルボC30 2.4i Aktiv(FF/5AT)/T-5(FF/5AT)……355万7000円/387万円
ボルボの新型4シーター2ドアクーペ「C30」に試乗。NA、ターボモデルそれぞれの乗り心地は?
穏やかなクーペ
リアの黒いグラスハッチが特徴的な「ボルボC30」。NAモデル「2.4i Aktiv」と「2.4i SE」は、同社のファミリーユニット、直列5気筒を横置きに搭載する。2434ccの排気量から、最高出力170ps/6000rpm、最大トルク23.5kgm/4400rpmを発生。1430kgの車重に不満ないアウトプットだ。
C30の革巻きのステアリングホイールを握って走っていると、S40/V50と同意匠のインテリアの影響か、当たり前というべきか、「ボルボだ」。ステアリングフィールは少々ダルで、切った際の反応も“敏”か“鈍”かと問われれば、“鈍”寄り。おおらかに、せき立てられることなくドライブできるボルボの美点が、「若者を呼び込みたい3ドアハッチとしてどうなのか!?」というのは、また別の問題である。
感銘を受けたのが優しい乗り心地。ボルボ車には、基本的に「コンフォート」「ダイナミック」「スポーツ」と3段階のセッティングがある。日本市場では、S40/V50は「コンフォート」、C30にはNA、ターボともひとつ硬い「ダイナミック」が標準で設定される。
S40/V50より一段階ハードとはいえ、それでもC30 2.4i Aktivはソフトといってよい足まわりで、街なかでは快適至極。ややスローなステアリングが、穏やかな性格に輪をかける。うーん、ボルボだ。
拡大
|
拡大
|
ちょっと無理?
乗り替えたターボC30「T-5」は、吸排気双方に可変バルブタイミング機構を備えた2.5リッター「デュアルCVVT」エンジンを搭載。最高出力は、同門「フォード・フォーカスST」の225psを上まわる230ps/5000rpmにして、32.6kgmの最大トルクを1500-5000rpmにわたってフラットに発生し続ける。
ボルボのハイプレッシャーターボモデルといえば、エンジンそのものより、加速にしたがって暴れ出しそうなステアリングにエキサイトメントを感じたりしたものだった。ところがC30 T-5は、あえて乱暴にスロットルを開けても、急激なアウトプットの上昇と比例してきっちり加速する一方、フロントタイヤが暴れる一歩手前でグッと踏ん張る感がある。リポーターの意地の悪い期待は裏切られた。
アシは明らかに硬い。今回のテスト車、先行輸入されたC30 T-5の足まわりには、標準の「ダイナミック」よりさらにハードな「スポーツ・スプリング・キット」が組まれていた。おとなしいボルボを乗り継いできた人は驚いてしまうかもしれないが、C30のオーナーにとっては“初めてのボルボ”だから問題なかろう、というのは冗談。相対的に硬いとはいえ、不快なほどではない。
タイヤサイズは、本来NA、ターボ、どちらも「205/55R16」だが、T-5には「205/50R17」が装着されていた。
ひさしぶりのハッチバックモデルで、ターゲットユーザーを若年層にふり、大成功を収めた「MINI」の“ちょっと上級”といったカテゴリーを狙う。ポップでクールなマーケティングでまったく新しい顧客を獲得しようとする。そうした戦略はよく理解できるけれど、C30に“ちょい乗り”したかぎり、「ちょっと無理があるんじゃないかなぁ」というのが正直なところだ。
ボルボC30は、ことに革内装のNAモデルは「意外と『大型車はもうけっこう』と感じている年輩の方に合っている」と思った。あるていど余裕がある、第2の人生を歩んでいる人にとって、「C30は値段も手頃だし、サイズも適当。それにボルボだし……」ということになったら、ボルボにとって、痛し痒し。
(文=webCGアオキ/写真=峰昌宏、ボルボ・カーズ・ジャパン)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.9.1 2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
NEW
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
NEW
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。





