「デュアルクラッチ車は停止からの出足が遅い?」

2009.11.28 クルマ生活Q&A 松本 英雄 トランスミッション

「デュアルクラッチ車は停止からの出足が遅い?」

デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を搭載したクルマに乗っていますが、トルクコンバーターの増幅作用がないせいか、停止状態からの出足が悪く感じられます。そこで発進時のみ2000〜3000rpmまでエンジンの回転を上げて、その後すぐにアクセルペダルをゆるめ、通常は1500から2000rpmで走行しています。すると出足は良くなり、心配された燃費の悪化もないようです。DCT車の乗り方はこれでいいのでしょうか? また、クラッチの寿命を縮めてはいないでしょうか?

お答えします。たしかにDCTには、トルクコンバーター式ATのようなトルク増幅作用はありません。しかしそれを補うように、DCT車には、アクセルを踏みこむと低回転から一気にトルクが立ち上がるようなエンジン特性が与えられていることが多いと思います。少なくとも私がこれまでに体験したDCT車では、発進時に痛痒を感じたことはありませんでした。

発進時に2000〜3000rpmまで回転を上げるとのことですが、私の感覚ではそこまで上げる必要はないと思います。回転を上げて発進すれば、当然ながらクラッチには負担がかかりますし、いったん回転を上げてから下げると、スムーズさを欠いた走りになりがちだからです。また、回転を上げれば燃費は確実に悪化します。
どうしても回転を上げないとかったるくてしょうがない、というなら仕方がありませんが、回転を上げずにスムーズに走る方法を今一度試してみてはいかがでしょうか。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。