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第398回:久々、「ゴルフ」&「ゴルフGTI」に乗って一句……『ワーゲン味とは、肉の味と言うべきかな』

2009.11.11 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第398回:久々、「ゴルフ」&「ゴルフGTI」に乗って一句……『ワーゲン味とは、肉の味と言うべきかな』

クルマのすべてに旨味が

最近、ひょんなことからフォルクスワーゲン(VW)車乗りまくり状態が続きました。最初はちょっと懐かしい「パサートCC」、お次に「ポロ」を……と思ったんだけど、人気があってタイミングがあわず、デビューしてしばらく経つ「ゴルフ」のコンフォートラインとスポーツバージョンのGTIに連続で乗りました。すると、不肖小沢の頭に勝手に一句、浮かんで来てしまったんですな。それは……

『ワーゲン味とは、肉の味と言うべきかな』

いやー、毎日乗ると走りの良さ、味の良さがジーンと身体に染みてくるんですよ。中でも新型ゴルフ、メチャクチャいいです。毎日、毎朝、クルマに乗るのが楽しくなる。パワー的にはコンフォートラインの1.4リッターターボでわずか(?)122ps、GTIの2リッターターボは211psでなかなかとはいえ、クラストップってわけでもない。それなのに、いったいなにがいいのか?
ボディも剛性感たっぷりとはいえ、アルミが使われてるわけでもカーボンが使われてるわけでもない。極々オーソドックスな鉄ボディです。でも、いい。クセの無い味ながらもシミジミと滋味が伝わってきます。

で、「ハッ」と気づいたわけですよ。たとえるならこれは「肉」の味、そう「ミート」の味だと! それは運転がドライバーにもたらす、噛み応えのある反応に他ならない。そのしっかり感、中身の詰まった感じ、決してカサカサではない、カタチだけのどこかのクルマとは違い、ステアリングからエンジンからブレーキからボディまで旨味が詰まっているんです!

特にステアリングフィール、最高ですわ。しかもこの点に関してはコンフォートラインもGTIも全く同じ。むしろ街中のスッキリ感では、コンフォートラインのほうが上と言ってもいいくらい。
というか、これだけとるともっと高いポルシェやメルセデスにも匹敵する濃厚かつ雑味のない味わい。いわば上質なTボーンステーキの手応えなんですな。

具体的には、特にクルマの止まり際がたまりませんですよ。スピードにして5km/hか10km/h、止まるか止まらないかといった速度域でも自然なタイヤからのフィードバックがある。「トレッドが、おお、ゆっくりと路面を触っておる!!」そんな感じが伝わってくるわけです。今どきこんな感じ、ノンパワステのクルマでもない限り味わえないんじゃなかろか。

日本車は霜降り肉をめざせ!

さらにゴルフがすごいのは、スピードを上げてもその手応えが自然なこと。アクセルを踏み増すと当然、手応えはどんどん増すわけですが、それだけダイレクトだと、上にくると味が強過ぎたり、逆にオブラートかけ過ぎて手応えが足りなかったり、いまいち繋がり悪かったりするもんだけど、それがない。

高速道路でも、路面のデコボコとか轍とか、不純なレスポンスは適度に抑えられ、それでいてVWらしいダイレクト感もありーの、いやはや素晴らしい出来ですよ。VWグループ社長のヴィンターコーンさんが、「史上最強のゴルフ」と自画自賛するだけのことはある。

理由を探っていくとシンプル。要するに、運転好きな人がマジメに作ったクルマってことでしょう。運転を作業と考えてない、運転の楽しさを諦めてない人が、しかも最新技術を駆使して作り、味付けしてる。それだけなんですね、きっと。それがちゃんとした運転感のあるフィーリング、つまり「肉の味」のもとになっている。

一方、残念ながら国産同クラスには、それがあまりない。味をスッキリさせることばかりに重きを置きすぎて、雑味と一緒に旨味までなくなってる感じ。いわば本物のビールと発泡酒の違い、本物の牛肉と大豆ベースの“牛肉もどき”の違いか。ま、お客さんのオーダーなんで、しかたのない部分もありますがね。それに、発泡酒は発泡酒で旨くなってる部分もあるし。

ってなわけで改めてドイツ流物作りと、日本の物作りの違いを認識した次第。その差はだんだん縮まってる気がしてたけど、実は変わってない! それどころか、一部差が開いてる部分もある。
でも日本のビール界に某プレミアムモルツがあり、食肉界に独自の霜降り肉があるように、本物の味が作れないわけがない。というか、新型「クラウン・マジェスタ」なんて結構感心しました。アレはアレで、日本車が持つ、独自の走りの味を築いてるわけではないかと。今後はコンパクトカーでも、ドイツやフランスに負けない独自の味を目指してほしい。そう思った限りです。

とまあ、新型ゴルフ、ホントいいクルマです。フツーに地味マジメにね。

(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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