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【スペック】全長×全幅×全高=4625×1855×1375mm/ホイールベース=2750mm/車重=1930kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(265ps/6500rpm、33.7kgm/3000-5000rpm)/価格=784.0万円(テスト車=859.0万円/バング&オルフセンサウンドシステム=15.0万円/アウディドライブセレクト=32.0万円/アダプティブクルーズコントロール+アウディサイドアシスト=28.0万円)

アウディA5カブリオレ 3.2FSIクワトロ(4WD/7AT)【試乗速報】

希望の星 2009.09.08 試乗記 生方 聡 アウディA5カブリオレ 3.2FSIクワトロ(4WD/7AT)
……859.0万円

オープンカーにメタルルーフ化の波が押し寄せる昨今、ソフトトップを組み合わせてデビューした「アウディA5カブリオレ」。クルマ選びはスタイル優先という人にとっても、要チェックの一台だ。
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ソフトトップの逆襲

ソフトトップのオープンカーなんて時代遅れ……ユーザーや自動車メーカーの多くがそう思っている今の時代に、ソフトトップ派を元気づけてくれそうなのが、ニューカマーの「アウディA5カブリオレ」だ。

いわゆる「クーペカブリオレ」は初めから予定していなかったというアウディ。その理由が、オープンカーらしい美しいデザインにこだわったからというのは、実車を目の当たりにすればよくわかる。ソフトトップを下ろしたときの佇まい、なかでも真横や斜め後ろから見たときの、トランク付近のすっきり感はたまらない。クーペカブリオレだとどうしてもこのへんが間延びしがちなのだ。

さらに、デザインだけで勝負しないのもA5カブリオレの頼もしいところ。スタイルはクラシックながら、その中身はなかなか新鮮だ。駐車場でスタンバイしているA5カブリオレに近づき、リモコンキーの解錠ボタンをひと押し。間を置かず同じボタンを押し続けると、あれよあれよといううちにソフトトップは後席背後に収納されて、フルオープンに変身した。ルーフの開閉なんて、運転席で操作してると退屈以外の何物でもないが、外から眺めれば何度見ても飽きないし、初めて見る人にはウケること間違いない。乗る前から気分が高まるA5カブリオレなのである。

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クーペ並みの快適性

日本で販売されているのは、3.2リッターV6直噴ガソリンを積むA5カブリオレ3.2FSIクワトロの1グレードだけで、名前からもわかるように駆動方式はフルタイム4WDの「クワトロ」である。

注目したいのは、ヨーロッパではオプションの「アコースティックソフトトップ」が、日本では標準装着される点だ。遮音性や断熱性に優れるアコースティックソフトトップがクーペ並みの快適性をもたらすとメーカー側は主張するが、果たしてその効果は?
というわけで、せっかく下ろしたソフトトップを再び閉めて走り出すと、なるほど、ソフトトップのカブリオレにありがちな、窓を閉めているのにどこか開いているような感じがこのA5カブリオレにはなく、遮音も良好。外の世界からきっちり隔絶させているのがわかる。これにはソフトトップの素材に加えて、剛性の高い幌のフレームも効いているのだろう。そのおかげで、50km/h以下なら走行中の開閉が可能というのも便利な機能だ。

ソフトトップを下ろすと、ほどよい開放感に気分がなごむ。サイドウィンドウを上げておくと、60km/hくらいまでならキャビンへの風の巻き込みは少ない。風を楽しみたいときは、サイドウィンドウを下げてやればいい。一方、70km/hを超えたあたりからは、サイドウィンドウを上げていても風の巻き込みが目立ってくる。寒い時期にオープンのまま高速を走るのは、つらいかもしれない。後席に取り付けて風の巻き込みを防ぐ「ウインドディフレクター」は、ぜひオプションに用意してほしいものだ。

重くて軽い!?

オープンカーということでボディ剛性が気になるが、A5カブリオレの場合は、ソフトトップを開けた状態でもボディ剛性はまずまずの高さで、ソフトトップを閉めれば、さらにしっかりとした印象となる。クーペに比べるとフロアに伝わる振動が目立つ場面もあるが、合格ラインはクリアしている。ただ、ボディの補強に力を入れすぎたのか(!?)、車両重量はクーペに比べて200kg以上増え、1930kgに達していた。この重量増に加えて、搭載されるトランスミッションがトルコン式ATからデュアルクラッチ式の「Sトロニック」に変わったことにより、A5クーペ3.2FSIクワトロと比べると、多少出足が鈍くなったように思えた。しかし、走り出してしまえば低速から豊かなトルクを湧き出す3.2リッターV6エンジンが、ゆとりの走りをもたらしてくれる。その気になれば、3000rpm手前から勢いづくスポーティさも、このエンジンの魅力である。

重量が増えたせいか、A5カブリオレの乗り心地には重厚感があり、それでいて、ワインディングロードなどでは、A5クーペ譲りの優れた回頭性を見せてくれるから、スポーティな走行を好むドライバーにも受け入れられるはずだ。

走り以外の部分では、余裕があるとはいえないまでも必要十分なスペースを確保したラゲッジスペースに、いざとなれば長尺物が積める分割可倒式リアシートなど、ふたり乗りなら高い実用性を誇るのもうれしい点だ。784万円という価格は決して手頃とはいえないが、その性能や仕上がりを考えると満足度はとても高い。ソフトトップ派にとって、まさにこのA5カブリオレは希望の星なのだ。

(文=生方聡/写真=郡大二郎)

 
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後部座席背後には、横転を検知した際に飛び出すポップアップ式ロールオーバーバーが格納される。
後部座席背後には、横転を検知した際に飛び出すポップアップ式ロールオーバーバーが格納される。 拡大
リアシートは5:5の分割可倒式で、荷室は最大750リッター(VDA法)まで拡大する。
リアシートは5:5の分割可倒式で、荷室は最大750リッター(VDA法)まで拡大する。 拡大
ルーフクローズ時の荷室は380リッター。オープントップとし、ルーフがトランクルーム内に格納されると320リッターとなる。
クリックするとオープン時の様子がごらんいただけます。
ルーフクローズ時の荷室は380リッター。オープントップとし、ルーフがトランクルーム内に格納されると320リッターとなる。
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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