三菱パジェロミニ・ナビエディションVR(4WD/4AT)【試乗記】
ベンツが羨ましく感じない 2008.11.14 試乗記 三菱パジェロミニ・ナビエディションVR(4WD/4AT)……173万3550円
マイナーチェンジを受けた三菱パジェロミニに試乗。子育てが終わったら、この手の“ミニ四駆”と過ごすのも楽しいかもしれない。
“兄貴” に近くなった外観
たぶん15年後ぐらいには、自分はかなりの確率でこの手の小型4WDに乗っていると想像するわけです。いまのタイミングだと荷物だとか親の務めだとか、いろんなモノをクルマに積まなきゃならない。けど、ふたりの豚児が手から離れればクルマは純粋に趣味の対象、人生の相棒だ。
ここで有力な候補となるのが「三菱パジェロミニ」や「スズキ・ジムニー」に代表される“ミニ四駆”と、「マツダ・ロードスター」や「ダイハツ・コペン」などのオープン2シーター。なんというか、ほいほいと出かける腰の軽いオジサンに私はなりたい。
ミニ四駆とオープン2シーター、ホントは両方あるのが理想的だけど、腰だけでなく財布も軽くなりそうなので1台所有が現実的だ。となると、趣味の釣りに連れて行くことを考えるとちょっとしたオフロードでも頼りになりそうなミニ四駆が優勢。
そんなこんなで、いますぐ買うわけではないにしてもミニ四駆にはひとかたならぬ興味アリ。次に逢う買える時まで、世界中のどんな車種よりもミニ四駆には進化してもらいたい。
そんな折り、この9月に未来の愛車になるかもしれない「三菱パジェロミニ」がマイナーチェンジ。早速、広報車をお借りして乗ってみました。
マイナーチェンジのポイントをざっくりと説明すると、まずヘッドランプやバンパー、ラジエターグリルなどの外観が変更された。ありていに言うと、兄貴分の「三菱パジェロ」のイメージに近くなった。そのほか、カップホルダーの新設、小物収納スペースの拡大、燃費性能の改善など、ジミながらユーザーには嬉しい変更が施されている。
コンパクトカーって楽しいぜ
今回試乗したのは「イージーセレクト4WD」という四駆システムと64psを発生するインタークーラーターボ付き4気筒エンジン、それに4段のオートマチックトランスミッションを組み合わせた仕様。「イージーセレクト4WD」とは普段はFR(後輪駆動)で走り、必要に応じてセレクターレバー操作で四輪駆動にシフトできるシステムだ。
まずはFRの状態で市街地を走る。980kgの車重に64psは十分で、発進加速は軽快、交通の流れをリードできる。交差点を曲がる時や車線変更時の身のこなしも軽やかで、コンパクトカーって楽しいぜ、とあらためて思う。
4気筒のターボエンジンは力不足を感じさせないうえに、「軽自動車」という言葉から連想する安っぽさもない。振動はよく抑えられているし、エンジンもそこそこウルサイけれど音質が耳障りなものでないから気にならない。飾り気はないけれど活気はある、下町の居酒屋さんみたいなエンジンだ。
4ATの変速もスムーズで、加速が必要な時にアクセルペダルを踏み込むと素早くギアを落としてダッシュする。エンジンとトランスミッションの組み合わせは、実用車のパワートレーンとして満足できる。
いっぽう、「むむむ」と思うのが乗り心地。街中では路面からのショックがかなり直接的で、道路の凸凹を通過するたびに体が上下に揺すぶられる。「かわいい!」とこのクルマに飛びついた方は少し驚くかもしれない。
高速道路に入っても、動力性能は「○」で乗り心地には「?」という構図は変わらない。車速は100km/hを超えても伸びようとするものの、そうした速度域ではクルマの上下動が収まらなくなることも気になる。東京から静岡ぐらいなら何の問題もないけれど、名古屋まで行くとなると腰が張って肩が凝りそうだ。
オジサンの良き相棒
ちなみに、「FRモード」→「ハイスピード4WDモード」の変更は80km/h以下なら切替可能。アクセルを戻した状態でセレクターを操作すると四駆になり、インパネに4輪に駆動力が分配されていることを示すアイコンがポッと灯る。そして、ステアリングホイールの手応えが少ししっかりする。
クルマを停めてじっくり観察すれば、インパネはシンプルながらも飽きがきそうもない造形だし、スイッチ類の操作感や樹脂類の手触りも悪くない。簡単操作で後席シートを倒せば、ラゲッジスペースはかなり使えそうな広さになる。
1時間も座っていると腰に鈍い疲れを感じる運転席シートは不満。だけど、乗り心地とシートの掛け心地以外は、オジサンの相棒としてなかなかだ。クラスレスな雰囲気とペット的な魅力を備えたこのクルマに乗っていると、隣のベンツが羨ましく感じない。いいキャラしてます。
ま、運転席シートだけをいいヤツに交換するという手もあるから、あとは乗り心地だけ、もう少し優しくしてほしい。15年後、いまより確実に腰は弱っているはずなので。15年後にはエンジンではなく電気モーターになっている可能性も高い。すると、エンジンの音と振動は気にならなくなっているはずだ。
てなことを考えながらカタログを眺める。お借りしたのは2トーンカラーのものだったけれど、意外と単色のブルーや白がカッコいい。
(文=サトータケシ/写真=高橋信宏)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。

































