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【スペック】GT2:全長×全幅×全高=4470×1850×1285mm/ホイールベース=2350mm/車重=1480kg/駆動方式=RR/3.6リッター水平対向6DOHC24バルブターボ・インタークーラー付き(530ps/6500rpm、69.3kgm/2200-4500rpm)/価格=2642万円(テスト車=2648万6000円/クレストエンボスヘッドレスト=3万4000円/フットレスト3万2000円)

ポルシェ911GT3RS(RR/6MT)/GT2(RR/6MT)【試乗記】

テイスト違いの最高峰 2008.10.09 試乗記 河村 康彦 ポルシェ911GT3RS(RR/6MT)/GT2(RR/6MT)
……2093万6000円/2648万6000円

生粋のスポーツカー、「ポルシェ911」。その頂点に君臨する2つのハイパフォーマー「GT3RS/GT2」に試乗した。さて、2台のキャラクターの違いとは……?
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鍛え抜かれたサラブレッド

40年を遥かに超える歴史を有しながら、今なお「最新のスポーツカー」として揺るぎないポジションを守り抜く「ポルシェ911」。そのラインナップの中の“さらに特別な1台”が欲しいという人は、いつの時代も必ず存在する。

例えば、「より速く、よりゴージャスに」というポテンシャルを追い求める人に対する回答が“ターボ”であり、「オープンエアの開放感とクーペ同様の耐候性が、同時に欲しい」というわがままな要求に対する回答が“タルガ”という具合。
そうした観点からすると、ポルシェ911ほどきめ細かくユーザーの声に応えるモデルをラインナップする例は、世界にも数少ないことがわかる。

現在の911シリーズの中で、特にサーキット指向の強いモデルには“GT”の名が与えられる。「GT2」「GT3RS」は、共に「特別なエンジン」を搭載して、911が備える高い運動性能をさらにブラッシュアップしたモデル。生粋のサラブレッドにさらなる特別な調教を施し、日々鍛錬を重ねた末に世に送り出されたアスリートがこのモデルたちだ。

「GT2」のインパネ。
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強心臓のウラがわ

GT3RSのエンジンは、水平対向6気筒という基本スペックはノーマル911と同じだが、「GT1」に積まれたレーシングユニットをベースとする。「GT1」とは、ルマン24時間レースを戦うための純レーシングカーとして開発され、実際に1998年に総合1-2フィニッシュを勝ち取ったマシンだ。

レッドライン8400rpmは、もちろんあらゆる911が搭載するエンジンの中でも圧倒的に高い回転数。415psの最高出力を発生するポイントも7600rpmと高い。すなわちこのモデルの主たる走りのキャラクターは、その大部分をこの高回転・高出力型のパワーユニットに依存していると言っても過言ではない。

可変バルブタイミングシステム“バリオカム”や、可変ジオメトリー・インテークマニホールドなどのデバイスの助けもあり、低中回転域でも実用的なトルクを発生するGT3RSの心臓。その真骨頂はタコメーターの針を高回転域に釘付けしたシーンにこそあるのは間違いない。
そして、わずかなアクセルワークに合わせてシャープな切れ味を演じるエンジンとマッチングをとるように、自在なハンドリング感覚を味わわせてくれるシャシーが、そんな珠玉の“GT3RSエンジン”の引き立て役だ。

一方のGT2は、その心臓に強力無比なターボ付きユニットを採用。このエンジンに採用された新技術が“エクスパンションインテークマニホールド”システム。ピークパワーの発生領域ではデトネーションを回避しながら高い圧縮比を実現するため、あえて吸気脈動圧が下がった瞬間のエアを吸入。これによって、吸気温度を最大20℃下げることが可能となり、体積あたりの酸素密度を増して燃焼効率をアップ。
エアボリュームの不足分は過給圧を高めて捕項するが、ターボチャージングが行われたエアは、後にインタークーラーを通過して冷却されるので、こちらを高圧化しても(酸素)密度の低下は避けられるという仕組み。GT2の心臓が発する530psという途方もない最高出力は、こうしたコロンブスの卵的発想によって支えられているのだ。

アウトバーンだからこそ

0→100km/h加速=4.3秒、最高速度=310km/hというGT3RSに対して、GT2のデータは、それぞれ3.7秒と329km/h。ちなみに、GT2のこの最高速データは「カレラGT」のそれに、あとほんの1km/hと迫るもの。こうして、“スーパーカー”であるカレラGTの面目を立てつつ、「史上最速・最強の911」というタイトルを獲得。そして実際、GT3RSとはまるで異なるテイストの走りを演じることになる。

また、シフトワークを駆使してタコメーターの針をレッドライン近辺にキープしてこそ本領を発揮するGT3RSに対し、ブースト圧を高めるため、いかに長い時間アクセルペダルを深く踏み込めるかで速さが決まるのがGT2。と言い換えることができそうだ。
そういった性格ゆえ、長いストレートが続くサーキットやアウトバーンではGT2の独壇場である。一方、タイトなワインディングロードやテクニカルなレイアウトを持つサーキットではGT3RSが精彩を放つ。
率直なところ、上限100km/hが“合法限界”の日本の高速道路では、GT2の美点を存分に堪能するのはなかなか難しい相談だ。原則速度無制限のアウトバーンをもつ国、ドイツだからこそ産まれ得たスポーツカーがGT2と言えるかも知れない。

それにしても、GT2の2642万円という高価格は、911ラインナップの中でも飛び抜けている。ベーシックな911カレラの軽く2倍以上だし、かのGT3との比較でも1000万円以上の大きな開きがある。

しかし、そうした値付けの理由は、「911シリーズ最強・最速!」というこの一文を手に入れるために、贅を尽くしてポルシェ社の持つあらゆるテクノロジーが投入されたゆえ。「金に糸目は付けないから最高の911に乗りたい!」。そう願う人が世界に少なからず存在することを証明してみせたのがこのモデルでもあるというわけだ。

(文=河村康彦/写真=高橋信宏)

「GT3RS」のインパネ。
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【スペック】GT3RS:全長×全幅×全高=4460×1852×1280mm/ホイールベース=2360mm/車重=1420kg/駆動方式=RR/3.6リッター水平対向6DOHC24バルブ(415ps/7600rpm、41.3kgm/5500rpm)/価格=1918万円(テスト車=2093万6000円/バイキセノンヘッドライト=18万7000円/PCCB=153万7000円/フットレスト=3万2000円)
【スペック】GT3RS:全長×全幅×全高=4460×1852×1280mm/ホイールベース=2360mm/車重=1420kg/駆動方式=RR/3.6リッター水平対向6DOHC24バルブ(415ps/7600rpm、41.3kgm/5500rpm)/価格=1918万円(テスト車=2093万6000円/バイキセノンヘッドライト=18万7000円/PCCB=153万7000円/フットレスト=3万2000円) 拡大
河村 康彦

河村 康彦

フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。

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