クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=4520×1797×1499mm/ホイールベース=2700mm/車重=1320kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブ・ターボ(150ps/5500rpm、21.0kgm/2250rpm)(欧州仕様車)

ランチア・デルタ(FF/6MT)【海外試乗記】

インテグラーレを忘れて 2008.08.19 試乗記 島下 泰久 ランチア・デルタ(FF/6MT)


現代ランチアのアイデンティティに則り、エレガントなデザインに生まれ変わった「デルタ」。コンパクトカーというよりワゴンともいえるたたずまいの新型に、イタリアで試乗した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

鮮烈なスタイリング

新しい「ランチア・デルタ」について考える際には、WRCで大活躍した、あの「デルタ・インテグラーレ」の話は忘れた方がいい。敢えてそんなことを言わなくとも、この姿を見れば、誰もそこを強引に結びつけようとはしないとは思うが、特にここ日本では、デルタと言えばイコール、インテグラーレなのは事実である。

しかし本来デルタは、ランチアらしい上質な仕立てのコンパクトな5ドアサルーンであったはず。新型ランチア・デルタは、精神的にはその後継車と言うべきだ。

それにしても鮮烈なのは、そのスタイリングである。フロントマスクはイプシロンなどにも通じる現代のランチアそのもの。しかしサイドビューは、ハッチバックというよりワゴンと呼びたくなる雰囲気だ。サイドウィンドウとリアゲート、Cピラー、そしてテールランプあたりの処理も、とても個性的。最初の印象はちょっと、いやかなりヘンと感じる。しかし、見慣れてくるとエレガントとすら思えてくる不思議な魅力が、そこには備わっている。

ランチア デルタ の中古車webCG中古車検索

セグメントを超えた快適性

ボディサイズは全長4520mm×全幅1797mm×全高1499mmと、ハッチバックとしては前後に長く、ほぼBMW3シリーズ並みの大きさである。実はこのC/Dセグメントの狭間に位置する絶妙なサイズこそ、新型デルタの狙いが端的に表れているところで、要するにCセグメントからの上級移行を狙うユーザーも、あるいはD以上のセグメント、あるいはミニバンやワゴンからのダウンサイジング派までも取り込んでしまおうというのが、そのコンセプトなのである。

実際、室内はCセグメントのライバルを寄せ付けない広さを誇る。前席シートはたっぷりとしたサイズを誇り、また後席も、2700mmのロングホイールベースを活かして、座面の前後長も足元スペースも驚くほどの余裕を堪能させてくれる。当然、ランチアらしく仕立ても豪華。オプションのポルトローナフラウ社製レザーシートはもちろん、標準のシート地も、あるいはインストルメンツパネルやトリムの素材も、よく吟味されている。ただし個人的には、ダッシュボード周辺のデザインは、悪くはないものの類型的と思え、たとえばイプシロンのような感動は覚えなかった。

しかし、そのステアリングホイールを握って走り出すと、やはりさすがだなと唸らされる。もっとも印象的なのは快適性。具体的に言えば、速度を上げるにつれて際立つフラットでしなやかな乗り心地と、圧倒的な静粛性である。前者については電子制御式減衰力可変ダンパーの威力が大きいに違いなく、また後者についてはルーフなどに配されたという特殊な吸音素材が効果を発揮しているのだろう。いずれにしても、一般的なCセグメントカーの水準をはるかに凌駕する快適性が実現されているの間違いない。


ランチア・デルタ(FF/6MT)【海外試乗記】の画像 拡大

ランチア・デルタ(FF/6MT)【海外試乗記】の画像 拡大
後席は6:4で分割し、それぞれが独立してスライド/リクライニングする。
後席は6:4で分割し、それぞれが独立してスライド/リクライニングする。 拡大

垂涎の足さばき

フットワークも、まさに絶品だ。電動パワーステアリングは中立位置でほんのわずかに不自然な感覚を残すものの、その先は至極滑らかな手応えで、心地良く切り込んでいける。その後のロールは特に小さくはないのだが、その進行がきわめてリニアなため不安感は皆無で、本当に気持ち良くコーナーワークをこなすことができるのだ。上質な走りとはこういうことを言うんだと、誰をも納得させるに違いない垂涎の足さばきである。

エンジンは、試乗車は最高出力150psの1.4リッター直列4気筒DOHCターボに6段MTの組み合わせだった。これでも1.3トン超と軽量な車重には十分ではあったが、日本向けは最高出力200psを発生する1.8リッター直噴ターボの6段AT仕様となるという。パフォーマンスには期待できるはずだ。

日本向けは……とアッサリ書いたが、その通り、実はこのデルタ、日本にも久々に正規輸入される予定となっている。しかも右ハンドルでの投入となるというから意気込みは十分。価格は、上記の仕様でざっとゴルフとアウディA3の中間くらいになるだろうという。

課題は周辺環境だ。それこそインテグラーレのイメージしかないランチアというブランドを、プレミアムな存在として日本市場にどう認知させていくか。いくらニッチ狙いだろうと、それができない限りは成功は難しい。クルマの出来映えは上々なだけに、前向きに期待したいところ。今のところの予定としては、2009年後半にもデルタを導入し、続いてはイプシロンなどもラインナップに加えていくつもりだということだ。

(文=島下泰久/写真=フィアット・オート・ジャパン)

島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

試乗記の新着記事
  • ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.18 2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。
  • ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250リミテッド(6MT)【レビュー】 2026.4.17 アメリカの大地が鍛えたアドベンチャーモデル「ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250」に、充実装備の上級モデル「リミテッド」が登場! 試乗して感じられた、日欧のライバルに勝るとも劣らない魅力と、どうしても気になるポイントを報告する。
  • レクサスIS300h“Fスポーツ”(FR/CVT)【試乗記】 2026.4.15 「レクサスIS」のビッグマイナーチェンジモデルが登場。もはや何度目か分からないほどの改良だが、長年にわたってコツコツとネガをつぶし続けてきただけあって、スポーツセダンとしてひとつの完成形といえるレベルに達している。“Fスポーツ”の仕上がりをリポートする。
  • モーガン・スーパースポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2026.4.14 職人の手になるスポーツカーづくりを今に伝える、英国の老舗モーガン。その最新モデルがこの「スーパースポーツ」だ。モダンながらひと目でモーガンとわかる造形に、最新のシャシーがかなえるハイレベルな走り。粋人の要望に応える英国製ロードスターを試す。
  • ボルボV60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.13 1990年代のステーションワゴンブームでトップランナーであったボルボ。その伝統を受け継ぐモデルが「V60」だ。現行型の登場は2018年とベテランの域に達しようとしているが、アップデートされた最新プラグインハイブリッドモデルの印象やいかに。
試乗記の記事をもっとみる
ランチア デルタ の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。