第140回:決着! 失敗続きのタイヤ選び
2019.08.20 カーマニア人間国宝への道ミシュランの“全額返金”は本当か!?
愛車のタイヤ選びで大失敗! という話を、小出しで延々と書かせていただいております。
「BMW 320d」のタイヤを、純正の「ポテンザS001ランフラット」から「ミシュラン・プライマシー3ランフラット」に交換したところ、ふにゃふにゃの寒天ゼリーみたいなフィーリングで真っすぐすら走らなくなっちゃった! でも、同じ銘柄を履く「メルセデス・ベンツE200カブリオレ」はまったくそんなことはなく、結局原因は謎のまま! というところまで進みました。
で、その後どうしたかというと、実は寒天ゼリーショックに見舞われた当日、「ミシュランは気に入らなければ全額返金してくれるみたいですよ」という情報を得ました。
調べてみると確かにその通り。“性能にご満足いただけなければ全額返金”と銘打った、ミシュランの『全額返金保証プログラム』というステキなシステムが存在したのです!
これはもう早速申し込もう! と、タイヤを交換した3日後に早速ネットで手続き完了。メールの返信を待ちましたが、これがなかなか来ない。どーなってんだ! と思った約1カ月後にようやく返信が到着。同じサイズ&種類(つまりランフラット)の他銘柄タイヤに履き替えて、外したミシュランタイヤを送り返せば、後日全額返金してくれるとの由でした。
エリートな走り、ふたたび
その1カ月間、私はずっと寒天ゼリーに不愉快な思いを抱きつつ、約2000kmを走破しておりましたので、返信を確認するやソッコーで純正と同じポテンザを注文、翌日交換を完了セリ。
で、新品のポテンザの感触はというと、
「これやこれや、これやがな!」
あの先代「3シリーズ」の、重厚にして軽快なエリート感あふれるステアリングフィールが帰ってきた! 厳密には、ポテンザの末期(約5万km走行)よりちょいソフトな感触だけど、ほぼそのまんまや! あたりまえか!
メルセデスでは問題なく走るプライマシー3ランフラットが、BMWだとなぜこんなにメロメロになるのかは、「少なくとも相性はメチャメチャ悪いらしい」と推測する以外なく、とにかく元に戻ったんだからいーや! ということで原因究明は放棄。別に事故起こしたわけじゃないし。
タイヤショップの担当さん(たまたま私同様「フェラーリ328」オーナー)によれば、私と同じく先代BMW 3シリーズでプライマシー3ランフラットに交換して、「乗り心地がソフトになってよかった」と満足している方もいるということですので。まあ好みの問題ですかね。
それにしても、真っすぐすら走らなくなるとは、いまだに信じられん……。
しかも、2000km走ってもまだタイヤの皮むきが終わってないみたいな感じで、フィーリングが日々変化しているようなフワフワした状態だったので、局所的な欠陥品だったのではという疑いも、かすかに抱いたままでいます。
返金請求に成功!
一応ミシュランの返金保証事務局には、その旨メールで訴えてみましたが、何の返答もありません。まぁ調べるなんてムリだよね。そんなクレームにいちいち厳密に対応してたら身がもたんだろ。
BMWも純正でミシュランタイヤをいっぱい採用しているので(ただしプライマシー3ランフラットはナシ)、一応BMW広報関係者様に「ミシュランでそういうことってありますか?」とも聞いてみましたが、「ミシュランが真っすぐ走らないとか、タイヤの皮むきに2000kmなんて、聞いたこともありません。皮むきはせいぜい50kmとか100kmとかですし、それも一般道だったらかすかに違う程度ですよ」とのことでした。
そりゃそーだよな。そんなこと聞くほうがおかしいべ。私自身、ミシュランには絶大な信頼を置いてたし。
BMWの前に乗ってた「ランチア・デルタ」(ディーゼル)には、ミシュランのスタッドレスを履かせてたけど、高速で〇〇〇km/h出しても矢のように直進しましたです。
実は、返金手続きはそこから先も大変時間がかかりまして、タイヤ返送キットが届くまで1カ月。それ使ってタイヤをソッコーで返送したものの、そこから郵便為替が届くまでに2カ月。最初にネットで申し込んでから返金が実現するまで、合計4カ月かかったのでございます。
本当に返してくれるんだろうかと、何度疑念を抱いたことか。でもまあ返金する側としちゃ、ホイホイ簡単に返してたらシメシがつかんみたいな部分もあるだろうし、とにかく返してくれたので、こうして経緯を書くこともできているわけでございます。ありがとうミシュラン返金保証プログラム!
ちなみに、ホントに返金を請求する人って、メッチャ少ないらしいですわ。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。