メルセデス・ベンツSLK200コンプレッサー(FR/5AT)/SLK350(FR/7AT)【試乗記】
悩ましい価格差 2008.07.18 試乗記 メルセデス・ベンツSLK200コンプレッサー(FR/5AT)/SLK350(FR/7AT) ……605万円/743万円4年ぶりのフェイスリフトとはいえ、外観のデザイン変更のほか、内装、エンジンにいたるまで手が加えられた「SLK」。エンジン違いの2台に試乗。その印象は。
進化するR171型SLK
メルセデス・ベンツのフラッグシップロードスター「SL」と同時期にマイナーチェンジを実施した「SLK」が、早くも日本に上陸した。デビュー7年目にしてフルモデルチェンジ級の変身を遂げたSLに比べると、SLKの変貌はずいぶんとおとなしいものだ。それでも、「ハ」の字型のフロントスカートやディフューザーデザインのリアスカートなど、スパイスの利いたモディファイによって精悍さがグッとアップしたのは、写真から想像する以上。
一方、インテリアは、ステアリングホイールのデザインが変更されたほか、速度計と回転計、そして燃料計やアナログ時計にクロームの太いリングが施されるなど、さりげなくスポーティさを増している。カーナビが地デジ対応のHDDタイプにグレードアップされたのは、日本市場への対応が早いメルセデスらしい。
新たに導入された機構としては、ダイレクトステアリングが挙げられる。これは、舵角に応じてステアリングギア比を変える、いわゆる可変ギアレシオ機構で、中立付近はスローとする一方、舵角が増えると2段階にギア比をクイックにするというものだ。これに車速感応式パワーステアリングを組み合わせることで、高速走行時の安定性と、ワインディングロードでのレスポンス、車庫入れ時の容易さを両立させている。BMWのアクティブステアリングやアウディのダイナミックステアリングなどとは別の機構で、自然なフィーリングが魅力である。
ラインナップは「SLK200コンプレッサー」と「SLK350」。これに「SLK55AMG」のあわせて計3モデルが用意される。
気軽に楽しい「SLK200コンプレッサー」
今回、試乗が叶ったのはSLK200KとSLK350。搭載されるパワーユニットは、SLK200Kがスーパーチャージャー付き1.8リッターの直列4気筒、SLK350が3.5リッターV6で、マイナーチェンジ前とタイプは同じだが、ともにパワーアップが図られている。
前者はプラス21psの184ps/5500rpm、25.5kgm/2800-5000rpm、後者は32psアップの305ps/6500rpm、36.7kgm/4900rpmの実力を手に入れているのだ。
そんな2台のなかから、まず試したのがSLK200K。
運転席に収まるやいなやバリオルーフを全開。日差しはあるが、ひんやりとした空気がオープンエアモータリングには打ってつけだ。コクピットは適度にタイトな印象で、ボディの四隅に手が届きそうな(実際に届くわけではない)ジャストサイズが心地よい。最小回転半径が4.9mと小さく、取り回しに優れるのもうれしいところ。おしゃれで上質な雰囲気もあり、女性ファンが多いのにも納得がいく。
さっそく走り出すと、現行「Cクラス」と同じスペックを持つエンジンは、「C200K」セダンより60kg、ステーションワゴンより120kg軽いSLK200Kを走らせるには十分な性能。1500rpm以下でこそ多少線の細さを感じるものの、2000rpmを超えたあたりからグングン力強さを増していき、実に頼もしい性格なのだ。反面、あまりに実用的で、面白みにやや欠けると思う私は贅沢だろうか?
断然スポーティなSLK350
その点、SLK350はスポーティさが光っている。7Gトロニック(電子制御7AT)と組み合わされた3.5リッターV6は、低回転域でもトルク豊かで実用性に文句がないうえに、回したときの楽しさはなかなかのもの。抜けのいいサウンドを放ちながらスムーズに回転を上げるエンジンは、3500rpmを過ぎるとさらに澄んだ音質に変わり、レブリミットの7500rpm目指して爽快に吹け上がっていく。このフィーリングがたまらない!
SLK200Kに比べるとエンジンは段違いに逞しいが、シャシーがそれを持て余す様子はなく、パワーとシャシーのバランスの良さもSLK350の魅力。7Gトロニックには新たにシフトダウン時のブリッピング機能が備わり、マニュアルモードでパドルを操ればワインディングロードが楽しい。そういった場面では、もう少しスポーティなタイヤがほしくなるが、それでも軽快さを楽しむには十分だ。
2台を乗り較べると、同じSLKでも、エンジンによってずいぶん印象が違う。街を颯爽と駆け抜けるならSLK200Kでもいいが、運転の楽しさを求めるなら断然SLK350だ。その価格差は180万円。悩ましい選択である。
(文=生方聡/写真=亀山ののこ)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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