メルセデス・ベンツSLK200ブルーエフィシェンシー MT(FR/6MT)【試乗記】
そのひと手間がスパイス 2013.04.02 試乗記 メルセデス・ベンツSLK200ブルーエフィシェンシー MT(FR/6MT)…556万円
2シーターオープンカーの「SLKクラス」にMTモデルが追加された。日本で正規販売されるメルセデス・ベンツとしては21年ぶりとなるMT仕様の乗り味を、春の伊豆で確かめた。
スポーツカーくらいMTで……
「メルセデス・ベンツSLK」は、昨年の日本でいちばん売れた輸入オープンカーだったという。「今年もいちばんを取れ!」がSLKに課せられた至上命令なのかどうなのかはともかく、この2月に500万円を切るSLKが2台も発売された。すでに知っている人も多いと思うが、そのうちの1台はなんと3ペダルMTだ。
今回のMT追加は日本側からの要望によるものだそうだ。ただでさえ少なかったMTが、ツインクラッチ・トランスミッションの登場によって、(少なくとも日本では)いよいよ待ったなしの絶滅危惧種になったこと。そのわりに……というか、それによって「スポーツカーくらいMTで乗せろや!」というクルマ趣味的ニーズが意外に少なくないことがさらに浮き彫りになったこと……が、メルセデス・ベンツ日本の背中を押したのかもしれない。いずれにしても、これはMT派にとっては久々の、なんともめでたいニュースである。
日本で正規販売されるメルセデスのMT車としては「190Eアンファング」以来21年ぶりというマニュアルSLKのベースは、おなじみの「200ブルーエフィシェンシー」。アンダー500万円の戦略価格商品だが、「レーダーセーフティパッケージ」や「パークトロニック」などのハイテク装備が未設定となるくらいで、7インチディスプレイやナビを含む「COMANDシステム」、オートエアコンも17インチアルミホイールも標準装備。安全装備の省略も一切なく、客寄せパンダ的なショボさは皆無だ。
SLKをわざわざMTで乗るという心意気(?)を想定してか、同時発売の「SLK200ブルーエフィシェンシー トレンド」(AT)とは異なり、MTのみスポーツサスペンションも標準。タイヤがランフラットでなくなるのも、供給側にとってはコストダウン策の一環かもしれないが、「それは逆に好都合」と喜ぶ“心意気ユーザー”も多いはず。
このクルマは追加オプションなしのツルシ状態でも十分以上に小型高級スポーツカーなのは前記のとおりだが、今回の取材車には「AMGスポーツパッケージ」と「レザーパッケージ」が装着されていた。この状態だとそれなりに立派な価格(556万円)になる。