クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=5145×2005×1755mm/ホイールベース=3080mm/車重=2090kg/駆動方式=FF/3.8リッターV6OHV12バルブ(193ps/5200rpm、31.1kgm/4000rpm)/価格=546.0万円(テスト車=同じ)

クライスラー・グランドボイジャー リミテッド(FF/6AT)【試乗記】

ミニバンの生みの親 2008.06.24 試乗記 生方 聡 クライスラー・グランドボイジャー リミテッド(FF/6AT)
……546.0万円

2007年の東京モーターショーで日本初披露された「クライスラー・グランドボイジャー」。7年ぶりにフルモデルチェンジを果たした、アメリカ生まれの3列シート7人乗りミニバンを試す。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

「300C」を彷彿とさせるデザイン

いまやミニバンとコンパクトカーばかりがもてはやされる日本市場に、ミニバンの生みの親であるクライスラーが最新モデルを送り込んできた。1983年登場の初代から数えて5代目にあたる「グランドボイジャー」だ。

先代では、標準の「ボイジャー」とロングホイールベース版のグランドボイジャーのふたつが用意されていたが、5代目はロングホイールベース版のみのラインナップ。

スリーサイズが全長5145×全幅2005×全高1755mmのグランドボイジャーは、“ミニ”バンというのがはばかられるほど立派なサイズである。ボディ全体が丸みを帯びていた旧型に対して、新型は「クライスラー300C」を担当したデザイナーが手がけただけに、スクエアなフォルムが印象的。そのせいでサイズアップはわずかであるにかかわらず、実物を目の当たりにすると数字以上に大きくなったように思えるのだろう。
特に、ルーフに向かってすぼんでいたデザインをやめたのが効いているに違いない。おかげで、日本車っぽいというか、個性が薄れたようにも思えるが、装備や機能といった部分にはグランドボイジャーらしさを色濃く残しているのはいうまでもない。

自慢の「Stow'n Go」も進化

最近では日本のミニバンでも常識だが、かつてクライスラーが“ミニバン初”の機能として紹介した両側電動スライドドアや電動リフトゲートは、このグランドボイジャーでも標準装着。サードシートだけでなく、セカンドシートまで床下に収納できる「Stow'n Go」は、この新型ではサードシートの操作が電動化(リミテッドに標準)されている。
さらに、サードシートバックとクッションを後方に90度回転させると、リヤゲートから外が眺められる“スタジアムポジション”が実現するなど、細かい進化も見せているのだ。

ラゲッジスペースも広大だ。3列をすべて使う状況でも、残された収納スペースには60cmほどの奥行きがあり、フロアが深くえぐれていることもあって収納能力は非常に高い、セカンドシートを収めるために用意される床下のスペースも、通常は収納スペースとして使えるから、小物の収納には困らない。

その一方で、セカンドシート、サードシートとも、巨大なボディサイズから期待されるほどには足もとの余裕がない。もちろん、大人が乗れるだけのスペースは確保されているのだが、もう少し座面が高ければ自然な姿勢が取れそうなだけに、詰めの甘さが惜しまれる。

2列目の足元の床下には、収納スペースがあり、荷物のほか2列目シートを畳んで格納することもできる。
2列目の足元の床下には、収納スペースがあり、荷物のほか2列目シートを畳んで格納することもできる。 拡大
3列目はリクライニング機能が付いた電動床下格納シート。ボタン操作で電動で床下に収まる。また、後ろ向きに倒せば、スタジアムポジションとして使える。
3列目はリクライニング機能が付いた電動床下格納シート。ボタン操作で電動で床下に収まる。また、後ろ向きに倒せば、スタジアムポジションとして使える。 拡大
荷室容量は、定員乗車時の638リッターから2、3列目シートを格納した状態の3296リッターまで、広大なスペースが確保される。
荷室容量は、定員乗車時の638リッターから2、3列目シートを格納した状態の3296リッターまで、広大なスペースが確保される。
拡大

扱いやすいエンジン

エンジンは旧型の3.3リッターV6OHVを3.8リッターに排気量アップ。最高出力193ps/5200rpm、最大トルク31.1kgm/4000rpmを誇る。組み合わされるトランスミッションはオートスティック機構付の6段オートマチック。日本仕様はインパネシフトではなく、フロアシフトが採用されるが、シフトレバーが遠いのがすこし不便である。

しかし、いざ走り始めると、エンジンの扱いやすさに思わず笑みがこぼれる。決して高回転が得意でない一方、常用する低回転域では排気量の大きさを活かした豊かなトルクを発生して、2トン強のボディを不満なく加速させるからだ。

一方、グランドボイジャーの走りっぷりは、低速でこそやや硬さが気になるものの、スピードが上がれば落ち着いた動きを見せ、不快なロールやピッチングもよく抑えられている。静粛性、とくにセカンドシートに陣取ったときの静粛性が高いのもうれしい点だ。

日本のライバルたちが実力を上げるなか、着実に進化を遂げているグランドボイジャー。ラージサイズのミニバンを求める人には、まさに待望の新型といえる。だが、10・15モードで6.8km/リッターという燃費は頭が痛いところ。どれだけの人がその余裕と引き替えにこの燃費を受け入れられるのか、気になるところではある。

(文=生方聡/写真=峰昌宏)

これがスタジアムポジション。
これがスタジアムポジション。 拡大

クライスラー・グランドボイジャー リミテッド(FF/6AT)【試乗記】の画像 拡大

クライスラー・グランドボイジャー リミテッド(FF/6AT)【試乗記】の画像 拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

試乗記の新着記事
  • 日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
  • アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
  • ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
  • ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
  • アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
試乗記の記事をもっとみる
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。