三菱ギャランフォルティス スポーツバック スポーツ/デリカD:5 G-Powerパッケージ【試乗記】
いいクルマって何だ? 2012.01.25 試乗記 三菱ギャランフォルティス スポーツバック スポーツ(FF/CVT)/デリカD:5 G-Powerパッケージ(7人乗り)(FF/CVT)269万3250円/314万4000円
新エンジンとアイドリングストップ機能を採用し、小変更を受けた「ギャランフォルティス スポーツバック」と「デリカD:5」。個性ある2つのモデルにあらためて試乗し、三菱自動車について考えた。
がんばれ、スリーダイヤ!
マイナーチェンジを受けた「三菱ギャランフォルティス スポーツバック」と「三菱デリカD:5」を撮影しながらムムムと思ったのは、取材スタッフが異口同音に「意外とカッコいい」という感想を述べたからだ。
確かに、ギャランフォルティス スポーツバックみたいな国産4ドアモデルは見たことがない。デリカD:5にはかつての「デリカ スペースギア」が持っていた月面車テイストが残っていて、これまたよそのファミリー向けミニバンとは別路線を突っ走っている。
だからどちらもスタイリングに特徴があるクルマで、しかもなかなかカッコいい。それなのに全員がアタマに「意外と」と付けてしまうのは、この2台への注目度が低いことの表れだろう。でも、それももったいない話だ。この2台に限らず、「RVR」だって「i」だって、いいデザインだと思う。
2台を試乗しながら、なんとか三菱車が輝く道はないものか、ということを考える。
ここまでお読みになって、「なんか三菱の肩を持ってるな」「エコヒイキじゃないか」と思われる方もいるかもしれない。それは正解で、三菱自動車のことを考えると少し体温が上がる。なんとなれば、自分は20年来の浦和レッズサポーターであるからだ。先日も、ここ数年のレッズの迷走に嫌気がさして解約しようと思っていたシーズンチケットを「これで最後、きっと更生してくれる」と信じて更新してしまった……。
というわけでレッズの筆頭株主である三菱自動車にはバンバン稼いでもらいたいし、レッズ期待の若手、MF山田直輝選手にはすてきな三菱車に乗ってもらいたいのである。
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さわやかでイヤミはないけれど……
まずはギャランフォルティス スポーツバックから。マイナーチェンジの眼目は、1.8リッター直列4気筒エンジンが新しくなったこと。従来の「4B10」型エンジンは同じ1.8リッターでもDOHC16バルブだったけれど、新しい「4J10」型ユニットはSOHC16バルブになる。シンプルなSOHCにすることで軽量、コンパクトになっているという。SOHCとはいえ、後述する連続可変バルブタイミング機構の刷新などにより、従来型DOHCユニットとパワー、トルクは変わらない。
街中での試乗だったけれど、市街地を走らせるぶんにはさわやかでイヤミのない好エンジンだ。CVTもいい仕事をしていて、踏めば素直に反応し、不満はない。知らないうちにエンジンが止まり、始動してほしいときにすっとスタートするアイドリングストップ機構の作動もナチュラルだ。ただし今の世の中、このくらいだと「よくできていますね〜」で終わってしまうのも事実。
低回転域でのトルクがもう少し濃ゆいほうがクルマにコクが出るだろうし、レスポンスなのかいい音なのか、あるいはさらなる省燃費なのか、なんでもいいからこのエンジンだけにしかできない特技を期待したくなる。
乗り心地がしなやかでハンドリングも軽快だから、もう少し特徴がはっきりすればオシャレ派スポーティーセダンとして売り出せそうな気がする。
燃費といえば連続可変バルブタイミング機構「MIVEC」も一新され、よりシンプルな構造でより効率的なものとなった。具体的には、吸入時の損失(ポンピングロス)を減らすこと(=燃費向上)に成功しているという。ちなみに新しい「MIVEC」は、SOHCエンジンに対応できるように開発したとのこと。
新たに加わったアイドリングストップ機構(AS&G=オートストップ&ゴー)との合わせ技で、マイチェン前に比べて10・15モード燃費は1.8〜2.0km/リッター向上しており、FFモデルの燃費は17.0km/リッター。エコカー減税の対象となる。
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燃費は同じ土俵で戦える
続いてデリカD:5。冒頭で「意外とカッコいい」と記したけれど、カッコよさはデリカD:5の販売実績にも表れている。FF車と四駆車の販売比率は2:8で、この手の他社製品とはまったく逆の比率になっているのだ。ゴツいのにちょっと未来的という個性的な外観から入るから、みなさん四駆モデルを選ばれるのだと思う。
ただし、今回マイチェンを受けたのは2リッターのFFモデル。内容はギャランフォルティスにほぼ準じるもので、2リッターのMIVEC新エンジンとアイドリングストップ機構の組み合わせで、燃費が従来型比で約14%向上。10・15モード燃費で15.0km/リッターとなり、同クラスのライバルたちとの燃費スペック合戦への参加資格を得た。
排気量に200ccの余裕があるせいか、ギャランフォルティスの1.8リッターユニットと違って、停止状態からアクセルを踏む場面でじわじわとトルクが湧き出るようなフィーリングがある。2.4リッターエンジンも四駆モデル向けに残されるけれど、2リッターエンジンで足りないと思える場面はなかった。
久しぶりにデリカD:5にじっくり乗って感じたのは、3列目シートの出来のよさ。無理やりとってつけたような安普請ではなく、大人の長距離移動に耐えうるようにできている。その分、3列目シートのアレンジにかなりの腕力とコツが要るけれど、ミニバンのライバルを見渡すと、3列目の快適さはD:5の個性だ。まろやかな乗り心地も、3列目シートのゆったり感とマッチしている。
四駆モデルに注目が集まりがちだけれど、外観デザイン、3列目シート、そして乗り心地と、FFモデルでもデリカD:5はほかのミニバンとは明らかに異なる個性がある。
トルキーなエンジン、懐の深い乗り心地、しっかりした3列目シートなどがあいまって、温かみがあって頼れるミニバンになっている。昔、何かの雑誌で「まいうー」の石ちゃん(石塚英彦)がデリカ スペースギアに乗っているのを見て、人とクルマのキャラが一体化していると思った記憶がある。石ちゃんは、D:5にもフィットしそうだ。
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外と中ではキャラが違う
ギャランフォルティス スポーツバックとデリカD:5の弱点は共通している。それは、インテリアが味気ないということ。どちらも外観はおもしろくて「おおっ!」と盛り上がるのに、車内に入った瞬間に冷めてしまう。なんというか、外観をデザインしてインテリアに移るところで、気力か体力かお金が枯れてしまった感じ。
まったく同じようにしてほしいわけではないけれど、インテリアの造形にしても触った感じにしても、アウディやボルボぐらいの気配りがあるとおもしろいクルマになるのではないか。いまのままだと、外見と中身と走らせたフィーリングで、キャラが別々だ。
と、ここまで書いて、三菱自動車へのモヤモヤした気持ちが何か、はっきりした。要は、どういう自動車メーカーを目指すのかをはっきりしてほしいのだ。
三菱自動車の肩を持てば、欧州仕様のRVRに積まれるディーゼルエンジンが高く評価されていたり、ノルウェーで「i-MiEV」がコンパクトクラスの売り上げナンバーワンに輝いていたりするわけで、エコな自動車メーカーという方向もあるはず。個性的なデザインを推し進める方法もあるだろうし、昨年始めた「最長10年10万km特別保証」をもっとアピールして、長く付き合える自動車メーカーになるのもいい。
少しぐらい負けがこんだって、進むべき道がはっきりしていて、ちょっとずつでも前に向かっているのであれば、自動車ファンや三菱サポーターは応援するはず。僭越(せんえつ)ながら、三菱自動車(と浦和レッズ)にはそのようにお伝えしたいのです。
(文=サトータケシ/写真=小河原認)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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