メルセデス・ベンツCクラス・エステート【海外試乗記】
全部入りの力作ワゴン 2008.04.04 試乗記 メルセデス・ベンツCクラス・エステートメルセデス・ベンツCクラス「セダン」の登場から遅れること約8か月、2007年9月のフランクフルトショーで追加発売された「Cクラス エステート」。間もなく日本上陸となるスタイリッシュワゴンに『CG』八木亮祐が試乗した。
『NAVI』2008年1月号から転載。
形状のシフト
メルセデスは「我々の核心はコンフォートとセーフティ」と譲らない。しかし新型Cでは可変ダンパーを持ち出して、BMW3を喰いかねないスポーティなシャシーを作ってきた。そのセダンのデビューから半年、加えて荷室の弱点まで潰したステーションワゴンが届いた。
旧型の反省・反動から、まるで振り子のように新型のコンセプトがまったく異なる方向へ振れることは、モデルチェンジの法則のひとつである。新型Cクラス・ステーションワゴンはある意味、この一例と言えるだろう。
旧型の特徴をおさらいしておくと、ワゴンとしての核心、つまり積載性に関わるテールエンドの形状が、質実剛健なドイツ車にあって珍しいほどデザイン重視になっていたことが挙げられる。かなりシャープに切り落とされた様は、実用一辺倒の“真四角モデル”に比べて見栄えが良いのはたしかだったが、とにかく限界まで積みたいという場合には、「あとチョット」の高さが不足することも想像できた。まあデザイン重視といっても、アルファ156スポーツワゴン(当時の同カテゴリー・モデル)のような“筋金入りの伊達男”あたりと比べれば、まったくもって高い実用性を持ってはいた訳だけれど。
そんなこともあって、ドイツ国内で開発テストを繰り返すCクラス・ステーションワゴンのスクープ写真が出始めたとき、真っ先に確認したのはリアエンド・デザインだった。カムフラージュの上から見ただけでも、荷室容量重視の形状にシフトしていることが見て取れ、「やっぱり」と思ったものだ。意地悪く言えば凡庸になったとも表現できるのだが、こうして実際に偽装テープをすべて取り去った新型を目の前にすれば、新型Cクラスに特徴的なエッジの立ったデザイン・テイストが、案外このワゴンボディに似合っているな、とも感じられる。
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ドイツ製だなあ
新型のボディサイズは全長4596mm、全幅1770mm、全高1463mmであり、旧型とのディメンション差をみると、全高はほぼ変わらず、全長・全幅は約4cmプラスとなっている。ホイールベースも+45mmの2760mm。つまり体格は大きくは変えていないが、リアコンパートメントの余裕向上を主たる目的として、ホイールベースは延長したというところ。
その甲斐あってか荷室容量はシートを格納しない状態でも485リッター、後席を畳むと1500リッター(ともにVDA法)へと大きく拡大し、カテゴリー内で集団に埋もれていた旧型と違って、先頭集団に躍り出た。元々ラゲッジルームはカッチリと内張が貼られた几帳面な仕上げだったが、新型ではさらに整理整頓が行き届き、その広いスペースを自在に区切って使える“便利キット“のようなものまで付属している。
テールゲートには電動開閉式も選べ、まさに至れり尽くせりだ。余談だがこの便利キットの数々、なかなか作りがよろしく、レールにはめ込むときもガチリと固定されるなど、「ドイツ製だなあ」とうれしくなる剛性感がある。ダッシュボードの質感については、やや否定的な意見も聞かれるCクラスだが、このラゲッジルームの丁寧さに関しては異論は少ないことだろう。
日本上陸は2008年
新型Cクラスの美点は、可変減衰力ダンパーを標準装備して、乗り心地の快適性を犠牲にせずにハンドリングの気持ちよさを大きく進化させていることだ。これはもちろんステーションワゴンにも備わっており、フル荷重状態を想定して若干硬めのサスペンションを与えられているにも関わらず、無粋な突き上げ感など、軽薄なバイブレーションは皆無だ。
全体のテイストとしては、柔らかいというより肉厚なソリッド感の方が先立つものの、この日試乗したC350、C280(ともにドイツ仕様、左ハンドル)はアウトバーンで重厚な直進性としっとりとしたフラット感を提供し、特に文句を付ける要素はなかった。ちなみに新ステーションワゴンの生産工場は先代と同じくドイツ・ブレーメン工場である。
エンジンラインナップはセダンに準じる。1.8リッター直4スーパーチャージャーのC180K(156ps/23.5kgm)、C200K(チューニング違いで184ps/25.5kgm)、2.5リッターV6のC230(日本では混乱を避けるためかC250、204ps/25.0kgm)、3リッターV6のC280(同じくC300、231ps/30.6kgm)、そして3.5リッターV6のC350(272ps/35.7kgm)だ。
4気筒は5段AT、6気筒モデルには7段AT(7G-TRONIC)を組み合わせている。3.5リッターV6でも決してシャシーに対して過剰ではなく、また逆に直4モデルもスーパーチャージャー付きでトルクが厚いため、不足を感じない。トルク感を楽しむなら過給器付き4気筒モデル、回転によるパワーの伸びを喜ぶならV6NAモデル、その両方が欲しいならC350といったところだろうか。
欠点は直し、新たな提案も加え……と“全部入り”の力作モデルチェンジを遂げたCワゴン。早く日本でも乗りたいものだ。本国では価格はほぼ据え置きに近いが、昨今のユーロ高はどの程度影響するだろうか。
(文=CG八木亮祐/写真=メルセデス・ベンツ日本/『NAVI』2008年1月号)

八木 亮祐
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