「エグゾーストマニホールドが後方にある意味は?」
2008.03.08 クルマ生活Q&A エンジン「エグゾーストマニホールドが後方にある意味は?」
「シビック・タイプR」とか「ランエボX」のエンジンルームを見ると、エグゾーストマニホールドが後方にあります。通常は横置きエンジンのクルマは逆のレイアウトだったと思うのですが、これは何か意味があるのでしょうか?
お答えします。たしかに、以前は横置きエンジンではエギゾーストマニホールドが前方にあるのが普通でした。
それには理由があって、排気をエンジンの後方にもってくると熱がこもってしまい、キャビンに熱が伝わってしまうのです。それを避けようとしたのでした。
しかし、今では逆に、排気の熱をなるべく迅速に伝える必要が生じているのです。排ガスの有害成分を除去する三元触媒は、ある程度温まらないと効果を発揮しません。そのため、排ガスの熱を速やかに触媒に伝えようとしているわけです。
また、遮熱の技術も進んできたので、キャビンへの熱の侵入を抑えることができるようになりました。それで、排気を後方に持ってくることが可能になったのです。
それに加え、スペースをとるエグゾーストマニホールドをエンジンとバルクヘッドの間にまとめてしまえばエンジンの前に空間ができ、クラッシャブルゾーンを確保することができるという利点もあります。
排気管をエンジンの下に通す必要がなくなったことで、エンジン位置を下げることができるのもメリットです。
このような理由から、これからのエンジン横置きFF車は、排気を後方にレイアウトする例が増えるはずです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。