クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】SV8:全長×全幅×全高=4961×1877×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1749kg/駆動方式=FR/4.2リッターV8DOHC32バルブスーパーチャージャー(416ps/6250rpm、57.1kgm/3500rpm)(欧州仕様車)/(価格=995.0万円)

ジャガーXF(FR/6AT)【海外試乗記】

誕生の瞬間 2008.02.29 試乗記 河村 康彦 ジャガーXF(FR/6AT)

2007年フランクフルトショーでデビューした「ジャガーXF」。間もなく日本発売となる、新世代のスポーツサルーンをモナコで試乗した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

気合いが入る

ついに路上に出た「ジャガーXF」。2006年にデビューした新しい「XKシリーズ」同様「“目玉”の表情がちょっと……」という人はいるかも知れない。エンジンフードへと食い込んだやや上目遣いのヘッドライトは、すべてがエレガントでかつダイナミックな「XF」のルックスの中にあって少々違和感がある。けれども、いまだ個人的にもちょっとばかり馴染めてないその一点を除いて、XFのエクステリアデザインはパーフェクトだと思う。美しい……。

全高が45mm低かったコンセプトモデルの「C−XF」と見較べれば、「クーペのような流麗さ」が多少後退したことは間違いないが、しかし、ここに手を入れなかったなら後席頭上空間は「フル4シーターと呼ぶためには完全に不足した」であろうことは、“量産型”に乗ってみればすぐに理解ができる。

インテリアデザインにも当然気合いが入っている。レザー、ウッド、そしてアルミニウムを贅沢に用いた各部分は、いかにも上質で隙のないジャガー流儀の仕上がり。それでいながら、これまでのジャガー車たちとは一線を画すのが、やや低めのダッシュボード位置やアルミニウム素材の大面積での採用。むしろこれまでジャガーとしては禁じ手とも思えた手法に積極的に取り組んだことだ。

ドアロックを解除すると、まずはエンジンスタートボタンが心臓の鼓動のごとくリズムをとって赤く点滅。そして、イグニッションONでセンターコンソール上から「シフトダイヤル」がせり上がる。と同時に、空調ベントがゆっくりと回転しながらリッドを開いて、スタート準備が整ったことを視覚的にもアピールする。
ちなみに、グローブボックスリッドのオープンやマップランプの点灯はいずれもフェザータッチ式のスイッチ。これらも、これまでの“ジャガーの常識”では考えられなかったギミックだ。

ジャガー XF の中古車webCG中古車検索

目からウロコ

目の前には巨大クルーザーが並ぶハーバー。背後にはグランプリコースの一部分……と、そんな夢のようなロケーションのホテルをベースに開催されたモナコでの国際試乗会。テストドライブしたのは、最高416psを発生するスーパーチャージャー付きと、298psの自然吸気という2種の4.2リッターV型8気筒エンジン搭載モデル。これに組み合わされる6段ATを含め、XFは、ランニングコンポーネンツの多くを「XKシリーズ」から譲り受けている。
一方で、ボディシェルがXKのアルミに対してオーソドックスなスチールとされたのは、やはりコスト面からの事情が大きいのだろう。

まずは電子制御式の可変減衰力ダンパー「CATS」を標準とするスーパーチャージャー付きモデルでスタート。と、ものの数十メートルも進まないうちにまさに「目からウロコ」がポロポロと落ちた。フロントに255/35、リアに285/30というファットで異サイズの20インチシューズを履くにも関わらず、そのフットワークの何としなやかなことよ!
「Pゼロ」というピレリ社のフラッグシップ・タイヤがかなり“いい仕事”をしているのもさることながら、決して小さくはないはずの路面からの入力を強靭なボディが難なく受け止めているのを実感できる。

スーパーチャージャー付きモデルのボディは、自然吸気モデルにはない補強バーがトランクフロア中央下部を横切る。そんな手当てもしっかりと功を奏しているのだろう。で、そんなしなやかに動く脚は予想通りに優れたハンドリングも実現していた。望外なほどに「人車一体感に溢れたフットワーク」を実感させてくれた。

一方、4輪に245/40サイズの19インチシューズ(テスト車はダンロップSPスポーツ01)を履く自然吸気モデルも、基本的にはそうした好印象は変わらない。ただし、低速時の突き上げ感はわずかに強く、ときにばね下の動きがより重々しく感じられた。こちらが「CATS」を採用しないことや、先に紹介したボディ補強の有無などが要因として考えられる。

それでも、端的に言って1か月ほど前にテストドライブをした「レクサスIS F」の終始強い上下Gが消えない乗り味よりは遥かに快適。試しに、後席での印象もチェックすると、むしろ前席以上のフラット感が得られることに驚いた。

「SV8」の4.2リッターV8スーパーチャージャー付きエンジン。416ps、57.1kgmを発生する。
「SV8」の4.2リッターV8スーパーチャージャー付きエンジン。416ps、57.1kgmを発生する。 拡大

ジャガーXF(FR/6AT)【海外試乗記】の画像 拡大

ジャガーXF(FR/6AT)【海外試乗記】の画像 拡大
【スペック】4.2 Premium Luxury:全長×全幅×全高=4961×1877×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1749kg/駆動方式=FR/4.2リッターV8DOHC32バルブ(298ps/6000rpm、41.9kgm/4100rpm)(欧州仕様車)/(価格=870.0万円)
【スペック】4.2 Premium Luxury:全長×全幅×全高=4961×1877×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1749kg/駆動方式=FR/4.2リッターV8DOHC32バルブ(298ps/6000rpm、41.9kgm/4100rpm)(欧州仕様車)/(価格=870.0万円) 拡大

シャシー性能の高さ

そんな第一印象のXF。パワーユニットは、やはり一度その実力を知ってしまうとスーパーチャージャー付きがより魅力的だった。むろん、「0-100km/h=6.5秒」という自然吸気モデルでも相当なる俊足ぶりながら、低回転域から力強いトルクをフラットに発し続け、「0-100km/h=5.4秒」という本格スポーツカーばりの絶対的なスピード性能を有するこちらが、世界一級のスポーツサルーンたるXFというモデルにはお似合いと思える。

そんな感想を抱くことができたのは、XFのシャシー性能がXKに勝るとも劣らぬ高さであったから。「タッチスクリーン式のマルチメディアコントロールの使い勝手がどうにも優れない」「燃料計の針の動きを見ていると、ジャガーのV8エンジンは相変わらずネンピが心配」……と、手放しで喜べない部分はもちろんある。が、なにはともあれ、ボクは遥々日本から1万km以上も離れた異国の地で、「見ても乗っても想像を超えた!」新世代ジャガーの誕生の瞬間に立ち会ったのである。

(文=河村康彦/写真=ジャガー・ジャパン)

河村 康彦

河村 康彦

フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。

試乗記の新着記事
  • ランボルギーニ・ウルスSE(4WD/8AT)【試乗記】 2025.9.3 ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」が「ウルスSE」へと進化。お化粧直しされたボディーの内部には、新設計のプラグインハイブリッドパワートレインが積まれているのだ。システム最高出力800PSの一端を味わってみた。
  • ダイハツ・ムーヴX(FF/CVT)【試乗記】 2025.9.2 ダイハツ伝統の軽ハイトワゴン「ムーヴ」が、およそ10年ぶりにフルモデルチェンジ。スライドドアの採用が話題となっている新型だが、魅力はそれだけではなかった。約2年の空白期間を経て、全く新しいコンセプトのもとに登場した7代目の仕上がりを報告する。
  • BMW M5ツーリング(4WD/8AT)【試乗記】 2025.9.1 プラグインハイブリッド車に生まれ変わってスーパーカーもかくやのパワーを手にした新型「BMW M5」には、ステーションワゴン版の「M5ツーリング」もラインナップされている。やはりアウトバーンを擁する国はひと味違う。日本の公道で能力の一端を味わってみた。
  • ホンダ・シビック タイプRレーシングブラックパッケージ(FF/6MT)【試乗記】 2025.8.30 いまだ根強い人気を誇る「ホンダ・シビック タイプR」に追加された、「レーシングブラックパッケージ」。待望の黒内装の登場に、かつてタイプRを買いかけたという筆者は何を思うのか? ホンダが誇る、今や希少な“ピュアスポーツ”への複雑な思いを吐露する。
  • BMW 120d Mスポーツ(FF/7AT)【試乗記】 2025.8.29 「BMW 1シリーズ」のラインナップに追加設定された48Vマイルドハイブリッドシステム搭載の「120d Mスポーツ」に試乗。電動化技術をプラスしたディーゼルエンジンと最新のBMWデザインによって、1シリーズはいかなる進化を遂げたのか。
試乗記の記事をもっとみる
ジャガー XF の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。