三菱 i MiEV(MR)【試乗記】
乗れば思わず欲しくなる 2008.02.05 試乗記 三菱 i MiEV(MR)2009年の発売が期待される三菱自動車の電気自動車「iMiEV」に試乗した。電気自動車ならではの魅力とは? ソフト/ハードの両面から探ってみる。
1回の充電で100キロ以上は走れる
三菱自動車の「i MiEV」という、実証走行実験車に公道で乗るチャンスが与えられた。この新世代電気自動車は、今まで乗った電気自動車の中で一番洗練されており、電気スタンドなどインフラが整備され、価格に納得できれば、今すぐ実用に供されるレベルにある。
地球の温暖化防止、環境汚染の防止は急務となっている。その対策としてバイオ燃料車やクリーンディーゼル、そして電気とのハイブリッド化などいろいろな方式が試され、すでに一部は市販されている。その流れが少し見えつつあり、大型車は燃料電池、中型車はハイブリッド、小型車は電気が主流になりそうな気配である。
電気自動車の歴史は古く、ガソリンエンジンとほぼ同じぐらい昔からあるが、発展を阻んできた要因はひとえに、バッテリーの低能率にあった。ここに至って三菱自動車と電力会社との共同研究で、大容量リチウムイオン電池が開発されたので、一気に電化は促進されるだろう。この大容量で高性能なリチウムイオン電池の製造は、GSユアサコ−ポレ−ション、三菱商事、三菱自動車と3社で新会社を設立して行われる。
このリチウムイオン電池は総電圧330Vで総電力量は16kWhである。i MiEVに搭載した場合の性能は、1回の充電で約160km(10・15モ−ド走行)の走行が可能。最高速度は130km/h。走行費用は夜間電力を使えば同クラス・ガソリン車に比べ1/9、昼間の電力でも1/3。加速性能は40-60km/hの追い越し加速で31%タイム短縮。静粛性でも50km/hからの全開加速で5dBの低減を果している。肝心のCO2削減のデ−タとしては、走行時はもちろん発生しないが、発電に要する量を引いて72%の削減ということになる。
走行費用はガソリン車より圧倒的に安価。しかもクリーン
最大の関心事である充電に関しては、3つの方法があり、家庭の100Vで約14時間、普及しつつある200Vで7時間、充電用施設への設置が予定される急速充電器を使えば約30分(80%充電)で済む。今後のインフラ整備をイメージすると、タイムパ−キングでコインを入れて、商用を済ませる間にチャージするとか、コンビニやスーパーで買い物するついでにチャージするとか、ガソリンスタンドほどの大規模な施設を必要としないことから、簡単で気軽に充電できることになりそうではある。
現状ではリッター10km走る車で1kmあたりの費用は15円ほどかかるが、電気代は1kmあたり1円2円の世界であるから、走行経費が大幅に安くなることは明白。
電気自動車の走行感覚については、通勤電車であるとか、遊園地の遊具を思い浮かべる人も多いと思う。スイッチを入れるとやや唐突に発進し、加速が終わると惰性で転がっていく、というようなものだ。しかし、そんな段階的な走行感覚は払拭され、iMiEVの動きは実にスムーズで活発。それはエンジン付きオートマチック車よりもスム−ズで、さらにレスポンスに優れ走行騒音も静かである。比較のために用意されていた現行軽自動車の「i」にも試乗したが、その走行感覚ははっきり言って、i MiEVの方が数ランク上級だった。
電動ならではのレスポンスの良さ
次に電気自動車は、乗って面白くないんじゃないか、という問いに答えよう。スイッチ・ポンで速度上昇を待ったり、オン・オフする感覚はもはや過去のものとなった。従来通りスロットル・ペダルを加減する要領で加速減速は思いのまま、それも660ccのガソリンエンジンより強力でさえある。そして段差のない加速は、CVTよりスム−ズで音も低い。要は意のままになる、という意味においてまったく不満は感じられない。
さらに、シフトレバーを操作すれば、エコノミーで緩加速も選べるし、Bレンジではさらに強力な回生ブレ−キも効かせることができるから、ATの「+」「−」をスイッチする感覚も味わえる。しかも操作に対する音色の変化やGの遅れが少ないから、「意のまま感」はいっそう増幅される。
普段は「E」レンジで走り、瞬発加速を求めるならば「D」にして、緩制動は「E」に戻し、さらに「B」へと、この繰り返しを操作するだけでも、ATのシフトレバーをマニュアル操作する感覚はある。それ以上に良好なのはダイレクト感だ。トルコンのスリップやクラッチの断続などの間接的なものを介さないから、モ−タ−とタイヤの一体感がある。電気モ−タ−独特のトルク感は、ピストンの上下動による力の方向が変わる感覚とは大きく違う。直接グンッとタイヤが回るレスポンスは快感でもある。それぞれに味はあるものの、4気筒と12気筒の違いにも似ている。
冒頭にも記したように、電気スタンドが一般化すれば、ウチに1台あってもイイなと思う。価格の件も今なら国や県が補助金を出している優遇制度もあり、急速に電化は早まる様相を呈してきた。個人的な希望を言えば、古い車の救済と、時間借りできるリースやレンタルなどの分野も期待したいところだ。
(文=笹目二朗/写真=webCG)

笹目 二朗
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