第348回:コージの勝手に2007年クルマ発明大賞は……
日産エルグランド初装着の「アラウンドビューモニター」だっ!!
2007.12.29
小沢コージの勢いまかせ!
第348回:コージの勝手に2007年クルマ発明大賞は…… 日産エルグランド初装着の「アラウンドビューモニター」だっ!!
バックモニター装着を法制化するべし
前々から思っていたことだが、俺は現代における最もやるせない悲劇の一つに、駐車場事故があると思う。もちろん普通の自動車事故や事件も十分に悲しくてツライが、それ以上におじいちゃんがバック時に誤って自分の孫を轢いたりとか、狭い道でダンボールの中で遊んでいた自分の子供を跳ねたとか、これほど日常的に起こり得て、かつ痛ましい事故もないんじゃないだろうか。とくに歳を取るごとにその確率は高まるわけで。
自分自身が最も愛する人を、自分自身の不注意であやめる……。ドライバーならば誰にでもあり得ることで、誰でも起こしうる悲劇だと思うのだ。なにしろ感情をどこにも持っていきようがないんだから。
「自分はそんなこと絶対起こさない」などと言わずにちょっと想像してみてほしい。いざそうなったら、残された方法は自分を責める続けることだけだろう。
極端な話、スピード違反や駐車禁止の取り締まり以上に、国が真剣に取り組むべきことではないかとも思ったりするのだ。
だからこそ思う。ここ最近の日本車最大の発明っていうのはハイブリッドカーや、ランエボのTC-SSTのようなハイテクではなく、普及しまくっているバックモニターじゃないのかと。
最近でこそ高級輸入車、特に輸入大型SUVでもバックモニターやバックソナーを備えるケースが増えたが、ここ数年、これを当たり前のように普及させたのは圧倒的に日本車だ。しかも、高級車のみならずミニバン、最近では軽自動車にも当たり前に付いている。なんと素晴らしいことか。
こんなのいらない……なんていう人は稀。明らかにバックがラク、かつ安全になったのだ。
もちろんバックモニターには死角もあるし、雨の日をはじめ見えにくい時もあって、目視も絶対必要。だけど、俺に言わせると法制化してもいいくらいであり、シートベルト、バックミラーなどと同列に扱ってもいいくらいの重要な部品ではないかと思う。
ハイブリッドだけがお家芸じゃない
ってなわけで前置きが長くなったが、だから今年、実際に触ってみて最も感動したハイテク商品は、実はコレ。先日、日産のミニバン「エルグランド」にオプション装着された「アラウンドビューモニター」だ。実際に試したのは、日産のテストコースで、しかもクルマは次にオプション設定されたセレナだったけど、とにかく感動した。
コイツは、一見わかりにくいが、実物に触れてみればすごさはすぐにわかる。ようするに自分が乗っているクルマの映像が俯瞰で、それも実像で見れるのだ。バック時はもちろん、駐車するぐらいの速度なら、前後左右の移動がすべてモニターで確認できる。
リクツ的にはボディ前後左右に4コ付けられた小型カメラの映像を、コンピュータで補正処理して、一枚の俯瞰画像にするというもの。バックモニターにありがちな死角がほぼなく、前後左右、すべてが見れ、感覚的にもわかりやすい。あえて死角を探せばボディ下で、転がって入り込んだボールなどが見えないが、それが問題になるのは稀だろう。
マジメな話、これがあれば駐車場事故は相当減ると思う。もちろん目視も必要だけど、これとバックモニターがあれば、ほぼ視覚的な障害はほぼなくなり、駐車もスムーズ。いいことづくめなのだ。
唯一の欠点といえば、今のところ値段が高いこと(ナビとセットで45万円以上)と、選べる車種が少ない(エルグランドとセレナ)ことだが、便利さが認められれば日産ラインナップにどんどん展開するだろうし、普及すれば安くなる。
というかそれ以上に、こういう技術に関しては日本、いや世界中のクルマに公開し、装着できるようにすべきだと思うのだ。
あるいは日本人が日本国内でいち早く法制化、義務化して「クルマ安全ハイテク大国」ということを世界に見せつけてもいい。“安全は自己責任のドイツ”同様、“ハイテククルマ安全のニッポン”も十分すごいじゃないか。誇れるじゃないか。
マジメな話、日本の自動車業界には、お宝はまだまだ眠っている。ハイブリッドだけがお家芸じゃない。つくづくもったいない。
そして日産さん、本当にいいもの作ってくださいましたね。
ということで、2007年のクルマ発明大賞は「アラウンドビューモニター」に決定!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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