第343回:東京モーターショー再訪もしやオロチはこういうデザインにしたかったのでは……マツダ大気!!
ジャパネスクデザインの当たり年!?
もう会期は終わっちゃったけど、先日とある取材があって、一般公開日にモーターショー行ってまいりましたっ! プレスデイしか行ってなかったから、ひょっとして人が全然来てなかったらどうしよう……と思っていたんだけど、その日の来場者数は6万人半ば。すごくはなかったけど、それなりの人ごみで安心しましたね。ふぅ〜。
それはさておき、改めて今回のモーターショーは何の年だったんだろうと考えてみた。一般的には、「日産GT-R」の年なんだろうけど、俺的には“ジャパネスクデザイン”の当たり年かもしれないなぁと思った。
その理由は「マツダ大気」&「ミツオカ・オロチ」にあり!
たしかにGT-Rもすごかったけど、業界人としては予想通りだったし、インパクトはなかったなぁ。
ところが一連のマツダのデザインコンセプト、「Nagare」シリーズの集大成だっつう「大気」を初めて見てビックリ! そして素直にカッコいいと思ったのだった。
全体の抑揚は昔のピニンファリーナの「ミトス」もかくやっつう大胆さで、それでいて確実に水や大気の流れをモチーフにしている。まさに水墨画や禅の境地にも通じる、世界に誇れるオリエンタルデザインであり、このテイストで次期型「マツダRX-7」が出たらさぞかしカッコいいだろうなぁと思った。
上手く表現できたら実際、「ホンダNSX」や「レクサスLF-A」より印象に残るでしょう。ちなみに今回、別件でアンケート取った時にとある女性客で「ベストは大気!」って言った人もいたので驚いた。たまたまなんだろうけどね。
しかも俺はこの大気に、今年発売されたミツオカ・オロチと共通するものを感じちゃったのだ。大気のフロントマスクのエグさはオロチに通じるものがあると思ったし、もしや「オロチの理想形は大気なんじゃあるまいか?」とすら思った。
イチローや松井と同じカッコよさ
ようするにだ。両方に通じるのは“ジャパネスクスーパーカーデザイン”というコンセプトだ。俺はフェラーリのカタチも好きだし、ポルシェのカタチも好きだけど、日本人の感覚からするとどうもマッチョでクドイ部分がある。だから長年「もっと日本的かつダイナミックなカタチはないのか?」と思っていた。そして、その回答のひとつがオロチであり、大気だと思うんだよね。
俺も会ったことのある光岡のボス、光岡進会長は、きっとそれを狙ってるはずだし、事実オロチはどうみても超ジャパニーズデザイン。ただし正直、ちょっと神社仏閣テイストが強すぎるけどね。というか、ほとんど“秘宝館”ノリ(笑)。だからこそオリジナリティあるんだけどさ。
ところが大気は日本車らしくオリエンタルなテイストをもちつつ、しかもインターナショナルにカッコよく、非常に素晴らしいデキ。ある意味、これぞイチローであり、松井的なカッコよさだと思うのだ。
で、実は日産GT-Rも似たような存在だとは思うんだよね。日産チーフクリエイティブオフィサーである中村史郎さんの、発表時のコメントを思い出す。
「GT-Rは単純なカッコよさでも美しさでもない。GT-Rでしかできないことを狙ったんですよ」と。
騒がれ過ぎてちょっと食傷気味だけど、GT-Rもまた西洋にはない今までにないカッコよさを狙い、実現してるわけで、そういう意味ではオロチ、大気に通じるジャパネスクスーパーカーデザインなのだ〜。
だからつまり今年のモーターショーはそういう年なのだ〜、って賛同した人は小沢までメールくださいませ! なのだ〜(笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。 -
第926回:フィアット初の電動三輪多目的車 その客を大切にせよ
2025.9.4マッキナ あらモーダ!ステランティスが新しい電動三輪車「フィアット・トリス」を発表。イタリアでデザインされ、モロッコで生産される新しいモビリティーが狙う、マーケットと顧客とは? イタリア在住の大矢アキオが、地中海の向こう側にある成長市場の重要性を語る。