ロータス・ヨーロッパ S(MR/6MT)【ブリーフテスト】
ロータス・ヨーロッパ S(MR/6MT) 2007.10.31 試乗記 ……697万6000円総合評価……★★★★★
ややGT的な性格を与えられた、ロータス第2のライトウェイトスポーツカー「ロータス・ヨーロッパ S」を試した。
少量生産の魅力
ロータス・ヨーロッパSの魅力は、1トンちょうどと軽い手作り感覚のボディ内外装、そしてスポーツカーの精神を知り尽くしたチューニング感覚だ。価格的には、ポルシェの「ボクスター」と「ボクスターS」の中間にあり、パッと見て、ポルシェよりイイと見るかポルシェの方がイイと見るか、そこでその人の評価は完全に分かれてしまう。
イメージの上で、量産車は製品の安定性に優れるが大衆相手ゆえに仕上げは大味、少量生産車は造りが華奢で壊れやすいけれども個性的で繊細、詰めは周到にして味を知り尽くした限界に迫る。さらに言えば、使い手のレベルがそのクルマの上にあるなら、チューニングを進めていく楽しみを見いだせる。量産車はそのまま乗るのが一番、手を入れ始めると広範囲に及ぶし際限がない。このロータスはエアコンも効くしトランクも使える。少量生産車だが量産車のコンポーネンツを使う安心感もある。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ヨーロッパ S」は、2006年のジュネーブショーでデビュー。エキサイティングな走りを実現しながら日常走行に適した実用性や乗り心地を追求した。より純粋なライトウェイトスポーツ「エリーゼ」シリーズよりボディを拡大。「ビジネスクラス by ロータス」とされるグランドツアラーである。
英国ノーフォーク州へセルのロータス本社にある、スペシャリストメーカー賞を受賞した工場で、2006年7月から生産されている。年産500台。
(グレード概要)
「ヨーロッパ S」にミドマウントされるGM製2リッター直4ターボエンジンは、200ps/5400rpmの最高出力と27.7kgm/5000rpmの最大トルクを発生。重量995kgの軽量ボディの恩恵で、パワー・トゥ・ウェイトレシオは4.975kg/psを達成。0-100km/h加速5.6秒、最高速度242km/hを謳う。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
GTカーの豪華さはないが、スポーツカーとしての機能を満足させる。いたずらにメーターをたくさん並べる趣味をもたず、ランプで代用したり切り替え表示したり、その辺は現代的。高価な価格に見合うものをココに求めるならば止めた方がいい。汎用品を利用しながら改善してほしいのは、体に近すぎるステアリング位置である。是非ともテレスコ/チルト機構を付けてほしい。ストレートアームとまではいかなくても、もう少し腕を延ばせた方が回しやすく、乗降性も助けるだろう。
(前席)……★★★★
ドアを開ければ手が路面に届く低いポジションは正にスポーツカー。前方の眺めも膨らんだフェンダーの谷間から路面を見る感覚で上々。サイドシルの幅は「エキシージ」より多少詰まったようだし、ルーフも高く採られたようで、乗降性はマシになった。シートに腰がスッポリ収まり固定される感覚は良好ながら、バックレストも一体ゆえ背面への依存は少ない。全体の角度調整ができれば腕も延ばせるというDIYの楽しみを残す。
(荷室)……★★★
「トヨタMR-S」のオーナーなどは顔色を失うだろう。設計者の意図(と能力)でこんなに違う好例。これだけあればコンビニの買い物はおろか小旅行用にも使える。マフラーの上なので熱の心配はあるが、遮熱も一応配慮されている。窪みの使い方もうまいし、マジックテープ付きの入れ物を用意し、フロアに貼り付ける方法はいいアイデアだ。横Gを想定している人にしか判らない感覚。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
オペル製エコテックエンジンはしっかりマウントされており安心して回せる感じ。なんといっても軽さは有利で発進も楽々。6段MTはギアレシオも適切。ギア比を低めに設定してエンジン回転で速度を上げていくスポーツカー感覚もほどほどにあり、ターボらしく小さなファイナルで高速の燃費を稼ぐ手法も取り入れ、実用域を高いギアで静かに走ることも可能。緩急自在にギアポジションを選べることから、スポーツ走行だけでなく普段のアシとしても使える。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
軽いボディながらバネ下も重過ぎる感覚はなく、タイヤは良く動いて路面に追従する。姿勢がフラットなのは下手なチューンの乗用車も及ばない。ノーズのナンバーを除けば、ロードクリアランスも十分、フラットなフロアは余計な突起物もなく路面干渉の心配は少ない。ミドシップらしいニュートラルな操縦安定性は、ノーズの軽いプッシュアンダー的な不安感を比較的少なくしている。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年8月7日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:9280km
タイヤ:(前)175/55R17(後)225/45R17(いずれも、ブリヂストン ポテンザRE040)
オプション装備:メタリックカラー(13万円)
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:509.7km
使用燃料:46.1リッター
参考燃費:11.05km/リッター

笹目 二朗
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD) 2026.8.22 DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。
-
NEW
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
NEW
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
NEW
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。 -
第343回:おやじ、涅槃で待つ
2026.8.31カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。ちまたでの評判がよく、売れ行き好調の新型「日産キックス」に試乗した。その出来はカーマニアをも満足させる評判どおりのもので、新車購入のきっかけにもなった。え? 購入したのはキックスではない? -
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.8.31試乗記フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。


