第340回:“アジアのための新Cクラス”に追加バージョン
ギター侍!? オザワの感想「なんか残念……」
2007.10.30
小沢コージの勢いまかせ!
第340回:“アジアのための新Cクラス”に追加バージョンギター侍!? オザワの感想「なんか残念……」
つくづくメルセデスも変わったよなぁ……
今年リリースされた新型「メルセデス・ベンツCクラス」の追加バージョン、2.5リッターV6搭載の「C250エレガンス」に乗ってまいりました。
改めてCに対して思ったのは「つくづくクルマって生き物だなぁ」&「メルセデスも変わるもんだなぁ」ってこと。まさしくいい意味でも悪い意味でもフツーのクルマになってしまっているのだ。
最大のポイントはステアリングフィール。俺は勝手に思い込んでいるんだけど、メルセデスのコンパクトセダンというのは、1982年発表の「190E」の時代から「ボディは小さいけど、乗るとサイズ以上の安定感」がひとつのウリ、いや最大のウリだった。
ところが今回はそれをアッサリ捨て去ってしまって、新しいキャッチフレーズのひとつである「アジリティコントロール」という言葉とともに、流行りのスポーティな特性のハンドリングを導入。190E&歴代Cクラスが持っていた、ある意味重厚な、ある意味ダルくもっさりしたステアリングフィールをなくしてしまった。
これはまさに賛否両論で、俺みたいに「なんか残念……」というギター侍(!?)みたいな時代遅れもいれば、「やっとBMWに追いついた」あるいは「ステアリングが軽くラクになった」という率直な意見もある。
なりふりかまっていられない
でもねぇ。90年代後半のAクラス導入から始まった、古典的メルセデス・ベンツ価値観の崩壊は、ここに来てまたひとつのピークを迎えてる気がするんだよねぇ。
その昔、メルセデスは絶対に人マネなんかしなかった。90年代もそれは同じで、Aクラスにしろ、フツーにコンパクトカー作っときゃいいのに、フロアは個性的なサンドイッチ構造だし、ハンドリングは剛性感タップリだし、なんだかんだでメルセデスっぽかった。
しかし、今回のCクラスはさらに皮が一枚むけている。もはや無用なプライドなんかなく、なりふりかまってられないって感じで、スタイリング以外は一見本当に普通なクルマになってしまった。
ステアリングは軽いし、エンジンフィールもシャープで気持ちいいし、実際俺がCクラスに乗って最初に感じたのは「マツダ・ロードスターみたいだなぁ」ってこと。そのステアリングからくるノーズの軽さはほぼロードスターのソレに近い。ま、この意見に同意する人はほとんどいないんだけどね(笑)。
アジア全域でバカ売れの予感
とはいえ長く乗ってると、やっぱりメルセデス・ベンツならではの味は感じられる。それは高いボディの剛性感だったり、しっかりしたブレーキのタッチだったり、背筋がピンと伸びるようなシートだったり。
だから俺は新型Cクラスが出た時から言ってたけど、これはまさしく“アジアにとっての最良のメルセデス”だと思うのだ。ボディは全長が5cm、全幅が4cm伸びて、道の狭い日本ではイバりと扱いやすさがほどほどのベストバランスになり、ハンドリングは低速コース向きの俊敏なものになり、それでいて基本はしっかりしていて、なによりデザインが超わかりやすい!
個人的には要素を盛り込み過ぎて、やや下品な気さえするけど、フロントマスク、特にアバンギャルド系は超わかりやすい“メルセデス顔”でリアビューはSクラスみたいだし、狭い国土でメルセデスの威光を響かせたい人にはもってこいなんじゃないだろうか。
というかおそらくコレ、中国をはじめアジア全域でバカ売れするんじゃないだろうか。特にこの過剰に豪華でわかりやすいメルセデスデザインはドンピシャ!
ついでに新型C250の感想を言っちゃうと、たしかにC200KにはないV6自然吸気エンジンの気持ちよさがあり、かつC300ほど高くなくってお買い得。それでも558万円もするけどね。
というわけで“一度はメルセデス”って人にはオススメですよ、新型Cクラス!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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