フォルクスワーゲン・ジェッタTSIコンフォートライン(FF/2ペダル6MT)【試乗速報】
ついにジェッタも 2007.10.17 試乗記 フォルクスワーゲン・ジェッタTSIコンフォートライン(FF/2ペダル6MT)……293.0万円
直噴ツインチャージャーエンジンを搭載したモデルがセダンにも登場。4車種目となる「ジェッタTSIコンフォートライン」に試乗した。
ラインナップも変更
2006年末、とある自動車メディアの取材で「2007年の注目は?」と聞かれ、私は「フォルクスワーゲンの“ツインチャージャー”かなぁ」と期待を込めて答えたことがあった。
そして、蓋を開けたら、第1弾の「ゴルフGT TSI」は、日本向けの生産割当が需要に追いつかないほどの大人気。第2弾の「ゴルフトゥーラン」には2種類のツインチャージャーエンジンが用意され、こちらも予想以上に好調な販売だという。第3弾の「ゴルフヴァリアント」は、ツインチャージャーエンジンの「TSIコンフォートライン」と2リッター直噴ターボの「2.0 TSIスポーツライン」の2タイプのうち、初期の受注の7割がTSIコンフォートラインだというから、ツインチャージャー人気は勢いを増す一方だ。
そんなツインチャージャー旋風を“ジェット気流”でさらに加速させようというのが、「ジェッタTSIコンフォートライン」である。
これまでは、2リッターの自然吸気直噴エンジンを搭載する「2.0」と、そのターボ版の「2.0T」の2モデルがラインアップされていたジェッタは、他のモデル同様、2リッターNAが1.4リッターのツインチャージャーに置き換わって「ジェッタTSIコンフォートライン」を名のり、これに合わせるように、2リッターターボが「ジェッタ2.0TSIスポーツライン」になった。価格は前者が2万円アップの293万円、後者は据え置きの362万円である。
170ps仕様のツインチャージャーを搭載
ジェッタTSIコンフォートラインには、ゴルフGT TSIやゴルフヴァリアントTSIコンフォートライン同様、最高出力170ps版のツインチャージャーエンジンが搭載される。組み合わされるトランスミッションはもちろん2ペダル式6MT「DSG」で、これにより、10・15モード燃費は、ジェッタ2.0の12.0km/リッターと比較して、17%向上の14.0km/リッターをマーク。数字を見るかぎり、パワーアップと低燃費をこのジェッタでも見事に両立した格好だ。
さっそく試乗車のコクピットに収まると、メーターやステアリングホイールなどは、フロントマスクが瓜ふたつのゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインに準じている。それは、ゴルフGT TSIのようなブースト計やパドルシフトが備わらないということでもある。ブースト計はなくても構わないが、便利なパドルシフトが付かないのは残念だ。
そんなことを考えながらエンジンを始動し、シフトレバーをDレンジに送り、ブレーキペダルから足を離すと、ジェッタはゆっくりを動き出した。一般的なトルコン式のオートマチックに比べると“クリープ”は弱めで、そのままではちょっとした勾配でも発進で下がったりもするが、幸い“ヒルホルダー”が坂道発進を助けてくれるので、さほど気を遣う必要はない。
優しく
ゆるゆると走り始めたところで、アクセルペダルに載せた右足に軽く力を入れると、それから一呼吸分くらい、ちょうど回転計の針が1500rpmに達するまでの間はちょっぴりのんびりした印象だが、そこさえ乗り越えてしまえば、豊かなトルクでクルマはスピードを上げる。2000rpmを超えたあたりからは、俄然力強さを増し、1.4リッターという排気量を疑いたくなるほどだ。
気になるのは、巡航している状態から深くアクセルペダルを踏むと、DSGは瞬時にシフトダウンし、エンジンは一気にトルクを吐き出し、あたかもドカンとターボが効いたような状態に陥ること。これを「扱いにくい」と思う人は多いだろう。反面、アクセルを優しく踏んでいるかぎりはいたってマナーのいいツインチャージャー、燃費のためにもジェントルな運転を心がけたいものだ。
もちろん、ここ一発というときには4000rpmを超えてからレブリミットの7000rpmまで見事に吹け上がるエンジンは、不満のない加速を見せる。2.0TSIスポーツラインの2リッターターボには及ばないものの、これで十分と思わせるだけのパフォーマンスの持ち主であるのは間違いない。
暫定トップ!?
ジェッタTSIコンフォートラインの走りは、その名のとおりコンフォートだ。もともとジェッタのサスペンションはゴルフよりも少し硬めにセッティングされているのだが、スポーツサスペンションや17インチホイールを押しつけられずに済んだジェッタTSIコンフォートラインは、適度に締まった足まわりがフラット感と快適さを上手く両立させる仕上がりになっている。ワインディングロードに連れ出すと、スポーツサスが与えられたゴルフGT TSIなどに比べて多少ロールは大きくなるが、軽快なハンドリングは十分に楽しむことができた。
個人的には、これまで投入されたツインチャージャーエンジン搭載モデルのなかでは、このジェッタの足まわりが一番の好バランスだと思う。今後、スーパチャージャーなしのシングルチャージャーエンジンが投入されるという話もあり、まだまだ目が離せないフォルクスワーゲンのTSI(過給器付き直噴ガソリンエンジン)。ボディタイプの好みをひとまず忘れれば、現時点で最も魅力的なモデルはこのジェッタTSIコンフォートラインではないだろうか?
(文=生方聡/写真=高橋信宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。









