シトロエンC3 1.4iエクスクルーシブ(4AT)【海外試乗記】
足とギアに見るシトロエン 2002.05.03 試乗記 シトロエンC3 1.4iエクスクルーシブ(4AT) プジョーと部品を共用しながら、独自の味付けが施されたシトロエンC3。207の先行モデルとしても興味深いダブルシェブロンの末っ子を、自動車ジャーナリストの笹目二朗が解説する。日本仕様は1.4リッター
シトロエンC3は、同社新世代モデルの表記方法、つまり「C+数字」になってからはC5に続くもので、PSA(プジョーシトロエングループ)としては、プジョー206に対応するレンジである。ちなみに次期モデルからは、「サクソ」にあたるクルマがC2、「クサラ」はC4、そして「XM」はC6となる。さらにC1として、ベーシックな廉価車が予定されている。なお、シトロエン車の日本への輸入販売は、これまで新西武自動車が行ってきたが、2002年4月から新たに設立されたシトロエン・ジャポンが扱うことになった。
C3の、どことなく往年の2CVを思わせるスタイリングは、可愛らしくもあり、背の高さゆえにパッケージングにも優れる。ニュービートルやミニほど、ディテールに面影を再現する手法を用いなくても、十分に雰囲気を伝えるあたりがデザイナーの手腕といえるだろう。寸法は、車幅を除けばまったく2CVのサイズで、全長で4mを切り、コンパクトにしてルーミー。今のところボディは5ドア・ハッチバック1種である。
搭載されるエンジンは、1.1、1.4、1.6のガソリン。本国には、1.4リッターの「HDi」ディーゼルもある。変速機は5MTが標準だが、ルノーとの共同開発になる「AL4」オートマチックも、1.4リッター・ガソリン(75ps、12.0kgm)に用意され、これをベースに日本仕様が造られるようだ。
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シトロエンチューンの足まわり
サスペンションはプジョー206のものを踏襲するが、C3は次世代「207」の先行モデル的な立場にあり、リアサスペンションは伝統的なトレーリングアーム/トーションバーを廃して、プジョー307のようなトーションビーム形式を採る。307との違いは、左右のトレーリングアームをつなぐクロスビームが、溶接ではなくボルト止めされる点で、どうやら異なる材質のものを組み合わせてあるようだ。
C3の開発責任者ヴィンセント・ベッソン氏によれば、「シトロエンもプジョーも同じ場所で同じ人間によって開発されているから、基本的には違いはない」ということだ。しかし、実際に乗ると、性格の違いは明確にある。シトロエンはプジョーほどニュートラルステアにはこだわらずに、直進性や安定性を重視している。つまりアンダーステアもプジョーより強めの“シトロエンのレベル”にあり、コーナリングの途中でスロットルを緩めれば、ちゃんとノーズがインに回り込むタックインもある。だから現場サイドのチューニングは、今でもシトロエンとプジョーは別々で、互いに個性を尊重しているのだと想像できる。
トーションビームのチューンにしても然り。下向きU字断面の鋼材をトレーリングアームにボルト止めしており、その位置はアームの支点と作用点のほぼ中間にある。つまり、ビームを積極的に捩じらせて使うタイプだ。チューンの差別化をはかるためにも、トーションビームを溶接ではなく、ボルト止めにしたのだろう。
乗り心地から見ると、この手のリアサスをもつクルマのなかでは、左右輪別々にストロークする感じが強い。どちらかというと、左右リアタイヤのバウンド量が異なる、位相差のある速い動きには素早く追従し、右と左の後輪が一緒にハウンドするような同相で動く時にはゆったりとした動きに転じる。単純にスタビライザーを太くするのではなく、しなやかな動きのなかで巧妙にロールをチェックしている感が強い。
コーナリングの途中で段差などを通過すると、左右が結ばれている固定軸感、もしくはスタビライザーを強化した感触はプジョー307より強いが、接地性がいいので軌跡を乱されるほどではない。国産車の同形式のクルマのように、ポンと横っ飛びしたり、“離陸”することはない。ブッシュ類のコンプライアンスの取り方については、ドイツ車ほど逃げ分はなく、ゆえにハーシュネスはそれなりにある。
ギア比にもひと工夫
パワーステアリングは電動式が採用されている。これはパーキングスピードでは「オヤッ」と思うほど軽い。しかしATの3速に入る速度に達するころには、そんなことは忘れてしまって、むしろダイレクトなフィールとなる。これは電子制御の賜物で、アシスト量の強弱はまったくなくスムーズに繋げてあるから、操舵力の変化に対する違和感はまったくない。ちなみにオーバーオールのギア比は17.8:1で、特別速くも遅くもない。残念なのは、装着タイヤによってラック・ストロークが異なり、切れ角が規制されてしまことで、廉価版やディーゼルモデルなどの「165/70R14」装着車は、回転半径5.1mと小さい。ところが、「185/60R15」になると5.6mに増える。
1.4リッターユニットは、プジョー206でもお馴染みの「TU3JP」型だ。3000rpm以下の実用域でも十分なパワー感があり、空車重量1039kgのボディを重く感じることはない。ちなみに手元の資料によれば、対応する206と比べると、重量は約10kgほど軽い。一方、5000rpm以上では「クォーン」と硬質な快音を発して回り、気持ちいいだけでなく、活発さも味わえる。だからキチンと回せば回しただけの楽しさはある。
オートマチックは、ティプトロタイプのマニュアルシフトも可能だ。「D」のままでも特別不満はないが、どちらかというと上限までひっぱり上げてからシフトアップするタイプだから、学習機能を利用して、自分なりのパターンを教え込むと良い。このギア比も、実は206とは異なる。全体にAT側の比率を速めにしてあり、逆にファイナルは落とし気味にして、オーバーオールではプジョーより速い。このように動力性能面でも、パーツの共通化を計りながら、シロエン流の独自の設定がなされている。
シトロエンC3は、秋頃から日本に上陸しそうだ。便利な5ドアハッチのボディと、サクソ以上の可愛らしさを武器にして、シトロエン・ジャポンでは、販売が軌道に乗ってくれば、2006年までに年間8000台を販売するのが目標だという。
(文=笹目二朗/写真=シトロエン・ジャポン/2002年4月)

笹目 二朗
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