ホンダ・クロスロード 20X(4WD/5AT)/ホンダ・クロスロード 18L Xパッケージ(FF/5AT)【試乗記】
好感がもてる 2007.03.06 試乗記 ホンダ・クロスロード 20X(4WD/5AT)/ホンダ・クロスロード 18L Xパッケージ(FF/5AT)……305万5500円
「ストリーム」をベースに、7人乗りの新型コンパクトSUV「クロスロード」がデビュー。タフネス感あふれるデザインに秘められた走りを、笹目二朗が検証する。
どこでもなじむ秀作デザイン
「クロスロード」は最近のホンダ・デザインの中でも秀逸。いわゆるインダストリアル・デザインの主流的手法である、定規とコンパスで創り出される造形は、ときに無機質で冷たいが、クロスロードは徹底してカドを落として四角い箱デザインながら丸さ=温か味を感じさせる。これこそ接面処理を上手にこなした工業製品の秀作である。
一筆描き的な芸術風流線形ものはうまく行けば当たるが失敗作も多く、総じて線や面の末端処理ができていない。だからココをもう少し、アソコを何とか……と未消化な部分が気になってしまう。
クロスロードのスカルプチュアル・フォルムは単純な面構成ではあるが、大自然の中にあっても都会の雑踏の中にあっても、カタログ写真にあるような奇妙な異次元空間にあってさえ、どこにでも融合してしまい無理がない。これぞ職人的デザイナーの仕事である。
だから老若男女を問わず誰でも素直に受け入れられるし、時が経っても新しさを失わない普遍性をもつ。ただし強烈な個性には乏しく、好き嫌いは個人の趣味に委ねられる。
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1.8リッターのFFでキマリ
サイズは全長4.3メートル未満と小振りにもかかわらず、中に3列のシートを納めたのは立派。常用ではないにしても、いざという時に可能な定員7名は価値あり。
横幅1755mmは3ナンバ−となるも、今ではさして広いとは言えず、無理矢理1.7メートル以内におさめる意味も薄いから、取りまわし性も含めて視点の高さで補える範囲にある。
搭載されるエンジンは1.8リッター=140ps/17.7mkg と2リッター=150ps/19.4mkg の2種。変速機はインパネ・シフトの5ATのみ。インパネ・シフトは左右にウォ−クスルーできる足元のスペ−スを稼げるし、ハンドルから近いので操作性も良好。
車両重量は概略20kg程度しか変わらず、1.8リッターで十分なパワーを感じる。排気量差はボアを同じくしストロークで変えているので、当然ながら1.8の方がコンロッドは長く、首振り角度が小さいゆえによりスムーズに回る。
2リッターオーバーで余裕を求めた時代は去り、小排気量で効率良く運ぶ時代が到来しつつある今、燃費も含めて知的な1.8リッターがおすすめ。
駆動方式はFFと4WDがあるが、4WDは前後輪の回転差依存のポンプ式簡便型ゆえ、この手の例に洩れずスタックしそうな時の緊急脱出用といえ、操縦安定性にはまったく貢献しないから、僻地の住人など特殊な例を除いてお勧めはしない。FFで十分。
「ヒョコヒョコ」で「チョロチョロ」
背が高く見える外観から想像するよりフロアは低くしかもフラットで、乗降性は上々。外見同様スクエアな形状のシートは、一見平板であるし後傾角も少なく見える。しかしクッションの硬さ配分が適切で、座ると腰が前にずれる傾向は少なく、ちゃんとシートバックに押さえつけられ、背面依存度もクリアしている。
この手の車はチョイ乗りの安易な座り具合を求めるあまり、腰かけ的なベンチ型でヨシとする例もあるがこれは長時間でも行けそうな感じがする。
通常の乗り心地は、1名乗車ではヒョコヒョコした上下動を伴い、やや落ち着きに欠ける。やはり7人乗ることも想定した硬さがあり、軽荷重時の前後バランスは完璧とは言いがたい。
リアは姿勢変化の少ない範囲でも、荷重許容量の大きなものが望まれるが、ここではややピッチング傾向がみられ不快。軽荷重時の特性を優先させる必要もないが、硬さは許容するとしてももう少し姿勢変化をおさえたフラット感の演出が欲しい。
一方目地段差などの小突起に対する処理はうまい。
ステアリングの操舵力は軽く、実舵角もよく切れ小回り性は十分。
気になるのは、ここでも1名乗車などの軽荷重ではしっとりした落ち着きが感じられないことで、低速でもチョロチョロと進路を乱され直進性は良好とは言いがたい。首都高のランプ付近でちょっとした横風があったとき、「車体にふらつきがみられます……」とクルマからアナウンスされてしまった。
まだすこしチュ−ニングの余地を残すものの、クロスロ−ドはいろいろな使い途があり、なかなか好感のもてるクルマだ。
(文=笹目二朗/写真=菊池貴之/2007月3月)

笹目 二朗
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