シトロエンC3 1.4(FF/2ペダル5MT)【試乗記】
小柄ながら長距離も疲れない 2006.03.28 試乗記 シトロエンC3 1.4(FF/2ペダル5MT) ……196.0万円 曲線を多用したかわいらしいデザインのコンパクトカー「シトロエンC3」がフェイスリフト。4ATからセンソドライブに変更され、若干のパワーアップを果たした1.4リッターモデルに試乗した。今もなおに新鮮
シトロエンC3が2002年の登場以来、初めてのフェイスリフトを受けた。外観上の変更点は、グリルの横バーが太い3本になり、ダブルシェブロンも大きくなったことだ。テールランプは中身の中央部がクリスタル調に変更されたが、どことなく往年の2馬力(2CV)を思わせる可愛らしい基本形は変わらない。
C4やC6の登場がバックアップしてくれていることもあり、シトロエンらしいユニークな造形は、流行を追うことなしに新鮮さを保っている。逆に言えばそれだけオリジナルデザインに先進性があり、よく練られた結果の独自性や完成度が認められるということだろうか。C3もまた長生きしそうな造形ではある。
フェイスリフトと同時にラインナップが整理され、1.4はセンソドライブ、1.6は4段ATとの組み合わせになる。1.4リッターユニットは今回ヘッドが改良され、DOHC16バルブとなり、75psから90psへとパワーアップを果たした。
高回転までスムーズに回る
一般的なトルコン式4段ATが、1.6リッター110psエンジンと組み合わされ、自重1160kgのボディを受け持つ。今回試乗した1.4リッターのほうは1080kgとより軽い。センソドライブは通常のマニュアルギアボックスのダイレクトさを感じさせるとともに、クラッチワークやシフト操作が油圧で自動化されて簡便さを両立させている。
このセンソドライブはアルファやフェラーリでもお馴染みの、セレスピードとかF-1システムと呼ばれるものと基本原理は同じものである。こちらはギアの慣性も小さく、いわゆる舟を漕ぐようなパワーの途切れと、クラッチミートのラグや繋がる時のショック感覚は少ない。もちろん手動で積極的にシフトすることも可能で、そのほうが変速リズムに乗りやすいが、エンジン回転の電子制御は巧妙で、シフトダウン時の回転合わせなどはダブルクラッチこそ踏まないものの、実にスムーズに執り行われる。よってトルコンATのスリップ感を嫌う人にはこちらがお薦め。
また左足ブレーキ等でAとBペダルを同時に踏むような状況でも、一部のドイツ流ATのように、エンジンがストールすることなく、危なげなくスムーズな運転が可能。手元で変速できるパドルシフトもパドル自体が固定された場所にあり、操舵中のシフトでも捜さずにすむ。6000rpmまで回した場合、1速=57、2速=92、3速=132km/hまで引っ張れる計算になり、特に3速のカバーする範囲は広く、上り坂での追い越しなどでも威力を発揮する。
1.4でもなかなか速い。最近は3000rpm以下で高速道路までカバーする大きめのエンジン排気量をもつものもあるが、このエンジンは高回転域までスムーズで気持ちよく回るし、ちゃんと上まで回してこそエンジンの良さを楽しめる。さらに回しても燃費を気にしなくてもいいのが1.4の存在価値だ。高回転まで回すと急激に燃費悪化する国産エンジンとの違いは大きい。
シートはケチっていない
サスペンションはフランス車に期待するフンワリとソフトな感触はなく、しっかりダンピングの効いた硬めのものである。が、目地段差などのショックもバネ下がよくストロークして吸収し、ボディの変位は少ないままフラットに通過する。バネ下重量の点で、1.4の装着タイヤは185/60R15と適切。1.6は195/50R16と大きく、やや重いと感じる。
日本車にはかなり大きなクルマでも、ブルブルした振動や姿勢変化を繰り返すものも多く、たとえば走行中に文字を書くのが震えて難しくもある。C3は身なりは小柄ながらそのあたりの挙動は安定しており、文字は普通に書くことができた。長時間のドライブでも、過去C3で東京と北海道の往復を果たしているが、不当に疲れることはなかった。それに4m以下の全長はフェリー料金も安いという美点もある。
また、なりは小柄でもシートをケチらないのがフランス車だ。座面の長さもちゃんとあり、角を丸めてあるデザインは乗り降りの際にも優しい。座ると沈むクッションストロークもたっぷりあり、硬いシートで身体をホールドするタイプとは根本が異なる。
新しいC3、価格は1.4が194.0万円、1.6が211.0万円。パーキングアシスタンスやクルーズコントロールなどの装備が上乗せされる1.6エクスクルーシブは224.0万円で、17.0万円でレザーパッケージオプションを追加可能。さらに長く大きなスカイルーフは全車に9.5万円で装着できる。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2006年3月)

笹目 二朗
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