ジープ・グランドチェロキー・リミテッド5.7(4WD/5AT)【海外試乗記(前編)】
「アメリカの味」が残ってる(前編) 2005.04.27 試乗記 ジープ・グランドチェロキー・リミテッド5.7(4WD/5AT) フルモデルチェンジを受けたクライスラーの本格SUV「ジープ・グランドチェロキー」は、「ヘミエンジン」の搭載が話題となっている。自動車ジャーナリストの笹目二朗と森口将之が、トスカーナで行われた海外試乗会から、新型グラチェロのオン/オフの実力を対談形式で報告する。
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気持ちいい「ヘミ」
森口:新しい「グランドチェロキー」には「ヘミエンジン」が搭載されました。最初は違和感があったんですが、乗るとストレートにアメ車っぽいサウンドが気持いいと思えてきました。
笹目:実はただのOHVエンジンでペントルーフ型燃焼室を持っているだけなんですが、それをあえて高性能イメージで売っているんですね。まあ、ユーザーにとっても「ヘミ」という名前はうれしいわけです。話題性もあるじゃないですか。
森口:今のエンジンですから、低回転から高回転までスムーズに力が出てくるので、リラックスして乗れるということはいえますね。
笹目:ヘミというのはツインカムの代わりみたいな高効率エンジンで、シングルカムではあるものの、両側からバルブを挟んでクロスフローにしているわけです。実際にはそんなに高回転まで回すわけではなくて、1000回転でも5速に入ってしまえば速すぎるくらいですけど。
森口:ちょっとエンジンを味わいたい時は深く踏んで、それ以外は1000回転くらいでとろとろ走れます。前に旧型チェロキーに乗っていた経験からいうと、アメリカ車というのは踏まないで走ると意外と燃費が伸びるんです。しかも、このエンジンは低速走行の時は片バンクだけの4気筒になる機構がついていますから、なおさらですね。
笹目:マニュアルモードを使うのは、エンジンブレーキが必要な時ぐらいですね。
森口:普通に走っていて、8気筒から4気筒になるのはほとんど体感しませんね。
笹目:意地悪に観察しようとすればわかる、という程度でしょう。
オンロード性能は劇的に向上
森口:旧型と比べると、やはりフロントがリジッドから独立懸架になった影響は大きいと思います。ステアリングをちょろちょろ修正せずに走れるようになりました。結構コーナーも安定しているし、オンロードの性能は劇的に上がったんじゃないでしょうか。
笹目:「ポルシェ・カイエン」とか「BMW X5」のようなSUVに対する対策ということがありますね。ただ、オンロードでキビキビ動くようにすれば、オフロードでは逆に走りにくくなるという面もあります。ステアリング形式がリサーキュレーティングボールからラック&ピニオンに変わりましたが、過敏な応答性があると走りにくい。いい意味でのゆるさが、オフロードではプラスに働くとも言えます。ラック&ピニオンのギア比に中央部をスローにするバリアブルレシオを採用しているのも、そうした違和感を少なくするための対策ですね。
森口:それでも、旧型に比べればヨーロッパ的なSUVにだいぶ近づきましたね。ステアリングの操舵感が乗用車ライクになったので、これだけ切ればこれだけ曲がるというのがわかるようになって、そういう意味での安心感はあります。前のは別のクルマと言ってもいいぐらいで、いい意味でも悪い意味でもルーズなクルマでした。僕自身はそういうのが好きだったんですが、今度のはステアリングもタイトなフィールですね。
足りない部分は電子制御
笹目:新型でオンロードを走ると、目地段差を越えた時のショックがビシビシくるようになりましたが、今まではあれが横に逃げていたんですね。今回の試乗コースぐらいだと、実は旧型もいいんですよ、のんびり走れて。でも、昔のようなルーズなフィールを求める人は少なくなってきたんでしょうね。どちらかというとオンロード寄りの性能が求められるんでしょう。
森口:フォードの「エスケープ」はFFベースのSUVですが、アメリカで結構売れているらしいです。アメリカ人でも、あまりハードなオフの性能は求めていないのかもしれません。旧型のフロントがリジッドだったことは、オフロードでは意味があったと思います。デモンストレーションを見ていたら、新型は車輪が簡単に浮いちゃっていました。オフロードのテストコースを新型と旧型が走っていると、車体の揺れはむしろ旧型のほうが少ない感じでした。
笹目:絶対的なストロークは、確実に今までのほうがありました。オフロードがダメになったということではなくて、オンもオフも両方よくしたんですが、どちらかというとオンのほうを重視するようになったんでしょう。
森口:足りない部分を、今までジープでは使っていなかった電子制御でアシストすることで、結果としては同程度かそれ以上の走破性を得ているんだと思います。今までジープはメカニカルな機構だけで走破性を高めていたわけで、そういうこだわりみたいなものを持っている人にとっては残念なのかもしれませんね。
(文=笹目二朗&森口将之/写真=ダイムラー・クライスラー/2005年4月)
・ジープ・グランドチェロキー・リミテッド5.7(4WD/5AT)【海外試乗記(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000016646.html

笹目 二朗
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