クライスラー・クロスファイアロードスター(5AT)【海外試乗記】
それなりにいい 2004.06.29 試乗記 クライスラー・クロスファイアロードスター(5AT) クライスラーのデザインとメルセデスのコンポーネンツが合体したスポーツカー「クロスファイア」。そのオープンモデルに、『webCG』エグゼクティブディレクターの大川悠が、フランスで乗った。新しいアメリカンスポーツカー
だいぶ前、「クライスラー・クロスファイア」のプロトタイプを2001年のデトロイトショーで見たときは、すごくカッコイイと思ったが、まさか生産にまで持ち込むとは考えていなかった。
結局、パートナーのメルセデスから(先代)「SLK」の中身を借りて、それはものになった。その過程で特徴的なセンターワイパーやヘッドライト・デザイン、巨大なホイール径などは消えたが、それでも1台、魅力的なスポーツカーが生まれたことは間違いない。
このクロスファイア、クーペには日本で乗り、最近フランスで新しいスパイダーにも乗ってきた。
何といってもこのクルマはカッコ勝負。妙にセンターの分割線にこだわったり、ロングノーズ、ほとんどないようなリアオーバーハングのプロファイルを重視しているから、ブガッティの「アトランティーク」のような、1930年代のフランスの高級パーソナルカーのイメージを追ったものだと考えていた。
それを今回フランスでデザイナーに聞いたら、「たしかにそれは否定できないけれど、いかにも新しいアメリカンスポーツカーの世界を開きたかったのです」ということだった。
ともかくとても派手で人目を惹くが、室内は正直言ってちょっと仕上げが安っぽい。ここをもうすこし頑張ってくれればよかったのにと思う。
納得できないところ
「クロスファイアロードスター」は、上げたときも、とてもきれいなルックスを保つソフトトップを備え、ちょうど22秒で開閉する。オープンボディの常として、クロスファイアロードスターは下半分が強化されたが、それでも重量増は、クーペに比べて36kgだけという。
走ってみると、屋根を開けたときのロードスターが一番(?)乗り心地がよく思った。変につっぱることなく、適度にしなうのがいいのかも知れない。3.2リッターの排気量をもつエンジンはメルセデスのそれだから、そんなに面白くないけれど、きちんとパワーをフィードする。
でもクーペもそうだったが、前225/40ZR18、後ろ255/35ZR19などという径が大きくサイドウォールが薄いタイヤの特性と、メルセデスのリサーキュレーティング・ボール式ステアリングとの相性が悪い感じだけは、どうしても納得できなかった。タイヤに対してステアリングが多少鈍感なのだ。
細かいことさえ目をつぶれば、ともかく迫力があるし個性にも富む。それにロードスターの幌をしまっても、それなりに荷室も確保されている。
スポーツカーとしてはほどほどに実用性が高いし、見栄も満たされる。メルセデスの新型SLKが、相当ドイツ的な“威張り顔”になってしまったいま、ちょっと外して乗るには、クロスファイアロードスター、それなりにいいかも知れない。
(文=webCG大川悠/写真=ダイムラークライスラー/2004年6月)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。









