第264回:「アルファ159」を勝手に断罪
もっと“マラドーナテイスト”を!?(小沢コージ)
2006.05.17
小沢コージの勢いまかせ!
第264回:「アルファ159」を勝手に断罪もっと“マラドーナテイスト”を!?
■リッパさには賞賛
ちょっと報告が遅いんだけどさ。先日初めて乗った「アルファ・ロメオ・アルファ159」。コイツを勝手に断罪させていただきますっ!
あのね。正直、素直にカッコいいとは思うのよ。ジウジアーロとチェントロ・スティーレの共作というデザイン。前回、マイナーチェンジ後のアルファ147で導入されたネコ目フロントマスク( >< みたいじゃない?)に合わせて仕立てられた新型ボディは驚くほどマッチョでカッコよく、特にフェンダーまわりのパワフルさにはびっくり。
インテリアも相変わらず、タンの厚手の革を使った本革シートはカッコいいし、全体の質感、精度が驚くほど上がった。トランクも405リッターと大きくなって、使い勝手も十分。
BMWのエンジニアが移籍したせいか、質が上がったっていう走りにも驚いた。特に発進直後に感じるスムーズさは凄いよね。今までみたいなギクシャク感はすくなく、ドライブトレインも含めて全体の剛性が上がった気がする。いやはや、リッパになっちゃったよなぁ、アルファ・ロメオ!
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■期待してたクルマと、ちと……
でもね。走ってると気づいちゃうのよ、心のどこかでガッカリしてる自分に。不思議なんだよなぁ。たしかによく出来てるし、ジウジアーロの力量もさすがって感じだけど、どっかひっかかる。「うーん???」……と考えてて、ふと気づきました。
そう、実は俺、最近のアルファ・ロメオに過剰に期待してたのだ。90年代の155から始まり156、147と続くモダンなラインに。それは言うなれば、BMWやメルセデス・ベンツとはまったく違う、ラテン系ならではの“野性的なクルマづくり!
具体例を挙げると、多少、ボディはユルくともそれを逆にスポーティに見せるハンドリングや足まわり。それほど精度は高くなかろうが、軽快にカッとぶように回るエンジン……そういう才能をもっと伸ばしてほしかったのだ。
■159よ、オマエもか?
なんつーかな。それっていわゆる“逆転の発想”じゃない。あくまでも機械的な精度を上げ、着実に品質を上げていくドイツ車や日本車とは違い、それらはほどほどで、もっと感性に訴えていくデザインなり、チューニングなりでクルマを魅力的にしていく。それどころか欠点を利点に変えてしまう、驚くべき着眼点。
俺はそこに、勝手に21世紀的なアルファ・ロメオの可能性を見出してたわけよ。
なんていうかな。ある意味、フランツ・ベッケンバウアーではなく、ディエゴ・マラドーナ的。または、ミハエル・シューマッハではなく、アイルトン・セナを追いかけた若きジャン・アレジ的な野生の魅力というか。俺はクルマ作りがどんどんマジメに、杓子定規になっていく世のなかにあって、アルファ・ロメオの五感に訴えるクルマ作りに感心してたのよ。こういう方向もあるんだなぁって。っていうか、フランスのプジョーにも、似たような凄さを感じてました。
その点、159はそれで、たしかに昔の魅力も残っているけど、単純に言うと“ドイツ車化”でしょ。なんだよぉ……アルファ・ロメオ、オマエもか? って感じ。時代的に仕方ないのかもしれないけど。
それと、最初に褒めててナンだけど、やっぱりスタイリングだよね。ジウジアーロ・テイストはたしかにカッコいいし、マッチョでステキだけど、正直、新鮮味はない。昔、「いすゞ・ピアッツァ」でみたようなイメージも入ってるし、なおかつアルファならではの“盾”みたいなデザインが、ちょっと古典的過ぎるような。ま、「ブレラ」がコンセプト段階から大評判で、147も156も“ブレラ顔”にしちゃったから、フロントマスクに慣れたのかも。もちろん、クルマ全体で「ブレラ」ぐらいまで突き抜けてるとカッコいいし、そう感じるのは俺だけかもしれないけどさ。
ってなわけで出来の良さのなかにも、ガッカリ感を味わってしまった俺。
やっぱコレって、わがままですか?
(文と写真=小沢コージ/2006年5月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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