アウディTTクーペ1.8T(5MT)【ブリーフテスト】
アウディTTクーペ1.8T(5MT) 2001.01.22 試乗記 ……390.0万円 総合評価……★★★着やすいディフュージョンライン
クワトロモデルに遅れること約3カ月。新たに日本に導入されたFF版TTクーペは、4WDモデルより45psパワーダウンして180psになり、リアサスペンションはダブルウィッシュボーンから簡便なトーションビーム式に変更された……、てなことは外観からはわからないから、クルマにもスタイルを求めるオシャレさんには、90万円安の車両本体価格390.0万円也は、グッドニュース。ギアが1枚減って5段になったことは? シフトミスしにくくなって、いいじゃないですか。
アルカンタラのシートに座れば、グラスエリア少なく、閉所感高し。車両感覚の掴みにくさは、伊達のやせ我慢で目をつぶろう。目をつぶったままだと、走れませんが。
タービンが小径化された5バルブユニットは、自然に吹け上がり、それでも軽い過給感あり。パワーにも操縦性にも、クワトロモデルの「油断ならない」ところはなくなったが、じゅぶん速い。尖ったところがなくなって、着やすくなったディフュージョンラインとでもいいましょうか。MTモデルしかないのも、やたらと数が増えなくていいかもしれない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
アウディTTは、1998年9月にデビューした、A3ベースのスペシャルティモデル。フリーマン・トーマスの手になる斬新なボディスタイルが話題になった。翌年、ロードスターが市販化。搭載される1.8リッター5バルブターボは、180psと225ps、2種類のチューンがある。トランスミッションは、前者が5MT、後者が6MTである。駆動方式は、「クワトロ」こと4WDのほか、FFもある。
(グレード概要)
TTクーペのFFモデルは、欧州ではデビュー当初から用意されていたが、日本では、2001年1月10日から発売が開始された。1.8リッターターボは過給タービンを小径化、225psから180psにデチューンされる。組み合わされるギアボックスも、コンベンショナルな5段MTと、ギアが1枚少ない。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
上下で濃淡に分けられたインテリア。全体に、樹脂類の質感がいまひとつ。特に薄いグレーの部分。スケッチから抜け出たかのような「リング」に執着したインパネまわりは、わかりやすいデザインコンシャス。エアコン吹き出し口の開閉を、シルバーのリングを回して行うなど、機能との融合も図られる。
(前席)……★★★
アルカンタラを使った凝ったシート。たっぶりした座面長をもち、適度に硬い座り心地。調整はすべて手動。ハイトコントロールも備わるが、ヒザ裏付近を支点に座面が動くので、ヒザ下が短いドライバーは、なかなか好みのポジションが見つけられない。ドライバーにも、クルマに見合ったプロポーションが要求される。
(後席)……★
いうまでもなく、エマージェンシーまたは小さな子供用。前席バックレストを倒した狭い開口部から乗り込むので、大人は必ず天井に頭をブツける。3点式シートベルトは、拷問の具。
(荷室)……★★★★
スタイル優先の「遊びグルマ」との先入観があったせいか、床面幅93cm、奥行き85cmと予想外に広いラゲッジルームに驚く。プロペラシャフト、デファレンシャルといった4WDシステムが床下にないため、パーセルシェルフまでの高さが50cmと、天地もじゅうぶん。TTクワトロよりグッと実用的。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
クワトロモデルの225psから、180psにデチューンされた5バルブターボ。離陸するか、と思うばかりの圧倒的な加速感は失われたが、タコメーターの上昇は段付きなくスムーズ。それでいてターボの過給感があって、3000rpm以上に保って走ると、わずかなスロットル操作でも吸い込まれるかのように前進する。ヨンクより140kg軽いのもウレシイ。
コンベンショナルな5段MTは、テスト車の走行距離が短いためか、ややシブい。1速で約60km/h、2速で約100km/hまでをカバー、5速での100km/h巡航のエンジン回転数は約2750rpm。4WDモデルより大きくパフォーマンスを落とさない配慮か、エンジン出力のわりに低く設定されたギア比だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
デビュー当初のハンドリング問題に対処したためだろう、足まわりは硬く、ゴツゴツする。継ぎ目の多い道路では、路面からの突き上げに、少々辟易する。速度を上げると若干緩和されるが、総じて乗り心地は悪い。ハンドリングは、クワトロ版より「わかりやすく」なったが、運転操作に対するボディの挙動が鈍い、大味なところはよく似ている。
(写真=阿部ちひろ)
【テストデータ】
報告者:web CG 青木禎之
テスト日:2001年1月18日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1678km
タイヤ:(前)225/45R17 91Y/(後)同じ(いずれもMichelin Pilot SX)
オプション装備:鍛造アルミホイール(タイヤサイズは225/45R17)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:348.8km
使用燃料:43.3リッター
参考燃費:8.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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