メルセデス・ベンツ B200ターボ(FF/CVT)【試乗記】
オトーサンの実用的な夢 2006.02.28 試乗記 メルセデス・ベンツ B200ターボ(FF/CVT) ……473万250円 「Aクラス」と「Cクラス」しかなかったところに、ようやく隙間を埋めるモデルが登場した。若年層をターゲットにした「Bクラス」は、「メルセデス」らしさを継承しているだろうか。大きなAというべきモデル
「ダイムラー・クライスラー」前会長ユルゲン・シュレンプ氏の拡大路線の象徴のようなモデルが、「Bクラス」だ。急速にモデル数が増えたメルセデス・レンジの中で、その名の通り「Aクラス」と「Cクラス」との中間に位置づけられるわけだが、実際は大きなAというべきモデルといえる。従って、横置きエンジンによる前輪駆動システムをやや背の高いボディと組み合わせた、一種のピープルムーバーとなっているのだ。
駐車場から出ようとした瞬間に、メルセデスとしては小まわりがきかないと感じた。それは、言ってみれば、FWDゆえの必然ではある。
トップに位置するこのモデルには、ロングストローク型の2リッター4気筒エンジンにターボが備えられている。だから、中低回転域のトルクは充分にあるし、CVTの応答もいい。でもそのフィーリングはこれより上級のメルセデスとは完全に違う。きちんと回るし、緻密な機械感覚を持っているが、ステアリングホイールにいくらか伝わってくるトルクも含めて、何となく日本のよくできたクルマと印象が似ている。
徹底的に合理性を追求
ボディはとてもしっかりしているし、245/45の17インチタイヤにしては、乗りごこちも悪くない。でもこのクルマの最大のセリングポイントはパッケージだろう。FWDシステムと2780mmというCクラスよりも長いホイールベースに助けられて、室内空間や荷室はとても広い。特にリアのルームなど、「Eクラス」顔負けの広さがあるように感じたし、センタートンネルが低いのが良い。
というわけで、これはあくまでも徹底的に合理性を追求した実用車なのであり、それはメルセデス流にかなり煮つめられてはいる。でもスリーポインテッドスターがなければ、繰り返すが、よくできた日本車のようでもある。室内外の造形も、とてもプラグマティックに作られている。
メルセデスのセダンモデルほど妙に脂ぎった社会的存在を見せつけないのがいいし、小さな子供を持った若い家族には向いているだろう。でも、オトーサンはこの程度の小さな夢に満足していてはいけないとも思う。
(文=大川悠/写真=高橋信宏/2006年2月)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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