クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

メルセデス・ベンツB200d(FF/8AT)

これが定番の頼もしさ 2023.04.14 試乗記 生方 聡 マイナーチェンジしたメルセデス・ベンツのCセグメントMPV「Bクラス」に試乗。ブラッシュアップされた内外装デザインや「Sクラス」譲りの最新デジタルデバイスなどによって、ファミリー向けといわれるコンパクトハッチはいかなる進化を遂げたのか。

過去には「Aクラス」以上に売れた時期も

メルセデス・ベンツのエントリーモデルといえば、25年以上の歴史を持つ「Aクラス」であるが、これをベースにさらに余裕あるスペースを有するちょっとぜいたくなモデルがBクラスだ。2代目Aクラスの時代に登場した初代Bクラスは、Aクラスより長いホイールベースや高めの全高のおかげでより広い室内スペースを確保。日本でもファミリー層からの支持を集め、Aクラスの2倍のセールスを誇った時期もあったという。

2代目以降のBクラスは、全高が高めという特徴を受け継ぎながらも、ホイールベースはAクラスと同一になり、さらに現行の3代目では全長がハッチバックのAクラスとほぼ同じになった。

そんなBクラスが、基本設計を共有するAクラスとともにマイナーチェンジされた。Aクラス同様、1.3リッター直4ガソリンターボの「B180」と2リッター直4ディーゼルターボの「B200d」をラインナップする。

今回、プレス向け試乗会でステアリング握ったB200dの車両本体価格は573万円で、これは「A200d」の558万円や「A200dセダン」の570万円より、少し高めの設定である。さらにその試乗車両には、39万2000円のメーカーオプション「AMGラインパッケージ」が装着されていた。「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」や「アドバンスドパッケージ」といったその他オプションを含む車両価格は、実に695万4000円である。

2023年2月に上陸した最新の「メルセデス・ベンツBクラス」は、2019年6月に発売されたW247と呼ばれる3代目のマイナーチェンジモデル。パワートレインに大きな変更はないが、内外装のデザイン変更や最新のデジタルデバイスによる進化がうたわれる。
2023年2月に上陸した最新の「メルセデス・ベンツBクラス」は、2019年6月に発売されたW247と呼ばれる3代目のマイナーチェンジモデル。パワートレインに大きな変更はないが、内外装のデザイン変更や最新のデジタルデバイスによる進化がうたわれる。拡大
「Bクラス」のマイナーチェンジモデルは、1.3リッター直4ガソリンターボエンジンを搭載する「B180」と、2リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載する「B200d」の2車種がラインナップされる。今回試乗したのは後者で、車両本体価格は573万円。
「Bクラス」のマイナーチェンジモデルは、1.3リッター直4ガソリンターボエンジンを搭載する「B180」と、2リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載する「B200d」の2車種がラインナップされる。今回試乗したのは後者で、車両本体価格は573万円。拡大
「AMGラインパッケージ」が装着された「B200d」のリアビュー。新デザインのリアディフューザーとLEDリアコンビランプで、ワイド感とダイナミックさを演出したという。LEDリアコンビランプは外形をそのままに、内部のランプレイアウトが変更されている。
「AMGラインパッケージ」が装着された「B200d」のリアビュー。新デザインのリアディフューザーとLEDリアコンビランプで、ワイド感とダイナミックさを演出したという。LEDリアコンビランプは外形をそのままに、内部のランプレイアウトが変更されている。拡大
メルセデス・ベンツ Bクラス の中古車webCG中古車検索

さまざまな装備がアップグレード

フロントグリルにはシルバーに輝く無数の点が配置されているが、マイナーチェンジ前はこれが単なるドット状だった。一方、この最新版ではその一つひとつがスリーポンテッドスターの形状になるというこだわりようだ。メルセデスではこれを「スターパターンフロントグリル」と呼んでいるが、こうしたディテールがファンの心をくすぐるのかもしれない。

マイナーチェンジだけに、フロントバンパーやテールランプ、リアディフューザー、アルミホイールなどのデザインがリニューアルされているものの、全体的な印象は大きくは変わっていない。これまでのオーナーが新しいデザインを見ても、きっと心穏やかでいられるに違いない。

エクステリアの変更に比べると、インテリアのアップデートはわりとわかりやすい。真っ先に気づくのはステアリングホイールが最新のデザインに変わったこと。3本ツインスポークデザインのステアリングホイールは、タッチスイッチのデザインが変更されたことで、これまで以上に操作しやすくなった。センターコンソールにあったタッチパッドが廃止され、コックピットまわりがすっきりしたのもマイナーチェンジ後の特徴である。

対話型インフォテインメントシステムの「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」が、最新世代にバージョンアップされたのも見逃せない。たとえば、地図の画面上に、オーディオやスマートフォンなどの情報が重ねて表示される「ゼロレイヤー」を採用。地図表示のままでオーディオの操作ができるのは楽である。カメラ画像にルート案内を重ね合わせて表示する「ARナビゲーション」を搭載したのも話題のひとつで、これまで以上に案内がわかりやすく、曲がるべき交差点を通過してしまったというミスが減りそうだ。

今回試乗した「B200d」は、オプションとして設定される「AMGラインパッケージ」装着車。ボディーサイズは全長が標準モデルよりも5mm長く、全高が15mm低い全長×全幅×全高=4430×1795×1550mm、ホイールベースは2730mmとなる。
今回試乗した「B200d」は、オプションとして設定される「AMGラインパッケージ」装着車。ボディーサイズは全長が標準モデルよりも5mm長く、全高が15mm低い全長×全幅×全高=4430×1795×1550mm、ホイールベースは2730mmとなる。拡大
「AMGラインパッケージ」装着車のフロントグリル。マットクローム仕上げの小さなスリーポインテッドスターが無数にちりばめられた、シングルルーバータイプの「スターパターンフロントグリル」が採用されている。
「AMGラインパッケージ」装着車のフロントグリル。マットクローム仕上げの小さなスリーポインテッドスターが無数にちりばめられた、シングルルーバータイプの「スターパターンフロントグリル」が採用されている。拡大
カーボン調のダッシュボードインレイや、センターコンソールに配されたシルバーの加飾が「Aクラス」と異なる雰囲気を演出。ドアの内張りも「Bクラス」専用のデザインが採用されている。
カーボン調のダッシュボードインレイや、センターコンソールに配されたシルバーの加飾が「Aクラス」と異なる雰囲気を演出。ドアの内張りも「Bクラス」専用のデザインが採用されている。拡大
従来型でセンターコンソールに配置されていたインフォテインメントシステム「MBUX」の操作用タッチバッドを廃止。空いたスペースにはドライビングモード切り替えスイッチとオーディオのボリュームコントローラー、小物入れが並ぶ。
従来型でセンターコンソールに配置されていたインフォテインメントシステム「MBUX」の操作用タッチバッドを廃止。空いたスペースにはドライビングモード切り替えスイッチとオーディオのボリュームコントローラー、小物入れが並ぶ。拡大

力強い2リッターのディーゼルターボ

今回のマイナーチェンジでは、ガソリン/ディーゼルともに従来と同じエンジンが搭載されている。B200dの2リッター直4ディーゼルターボ「OM654q」は、最高出力150PS(110kW)/3400-4400rpm、320N・m(32.6kgf・m)/1400-3200rpmを発生する実力の持ち主で、8段デュアルクラッチトランスミッションとの組み合わせによりWLTCモードで18.8km/リッターの低燃費を誇る。

運転席からの眺めは、同じ日に試乗したAクラスに比べて、明らかにぜいたく。ダッシュボードやドアトリムにはコントラストステッチ入りのソフトパッドが用いられ、助手席前方にはつやのあるカーボン調のパネルが配置されている。さらに、「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」がおごられた試乗車は、前後シートがレッドとブラックのレザーで彩られ、まさに小さな高級車という雰囲気だ。ちなみにこの試乗車には「アドバンスドパッケージ」とメタリックペイントといったオプションも組み合わされ、それらを含む車両価格は695万4000円と、価格もぜいたくである。

さっそく「Comfort」モードで走りだすと、低回転ではスロットルレスポンスは穏やかだが動きだしは素早く、ディーゼルターボエンジンの魅力をすぐに感じ取ることができる。常用する2000rpm以下でも不満のない加速を見せるが、さらにアクセルペダルを踏み込むと2500rpmあたりから勢いを増し、3000rpmを超えるとさらに力強い加速が手に入る。「Sport」モードに切り替えればスロットルレスポンスが向上し、ディーゼルとはいえスポーティーな加速を楽しめるのがうれしいところだ。低速で走行しているときにはエンジンのノイズが耳につくこともあるが、速度が上がればそれも気にならなくなる。

「OM654q」と呼ばれる2リッター直4ディーゼルターボエンジンは、最高出力150PS/3400-4400rpm、最大トルク320N・m/1400-3200rpmを発生。ガソリンエンジン車には7段デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされるの対して、こちらは8段になっている。
「OM654q」と呼ばれる2リッター直4ディーゼルターボエンジンは、最高出力150PS/3400-4400rpm、最大トルク320N・m/1400-3200rpmを発生。ガソリンエンジン車には7段デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされるの対して、こちらは8段になっている。拡大
23万2000円の有償オプションとなる「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」が選択された今回の試乗車には、クラシックレッドとブラックのコンビネーション表皮による本革シートが装備されていた。シート表皮色はブラック単色も選択できる。
23万2000円の有償オプションとなる「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」が選択された今回の試乗車には、クラシックレッドとブラックのコンビネーション表皮による本革シートが装備されていた。シート表皮色はブラック単色も選択できる。拡大
前席と同じカラーコンビネーションの本革で仕立てられた「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」装着車の後席。足もとスペースは「Aクラス」と変わらないが、高い車高の恩恵で、頭上の余裕は申し分ない。
前席と同じカラーコンビネーションの本革で仕立てられた「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」装着車の後席。足もとスペースは「Aクラス」と変わらないが、高い車高の恩恵で、頭上の余裕は申し分ない。拡大
走行モードの選択画面。「Comfort」「Eco」「Sport」そして「Individual」の4種類から任意に選択できる。センターコンソールパネルに備わるスイッチのほか、画面に直接タッチすることでも走行モードの切り替えが行える。
走行モードの選択画面。「Comfort」「Eco」「Sport」そして「Individual」の4種類から任意に選択できる。センターコンソールパネルに備わるスイッチのほか、画面に直接タッチすることでも走行モードの切り替えが行える。拡大

全高を抑えた影響も

B200dには標準で205/55R17サイズのタイヤが装着されるが、オプションのAMGラインパッケージが装着される試乗車ではサイズが225/45R18に変更されている。さらに、標準より地上高を15mm低めた「ローワードコンフォートサスペンション」が組み合わされるおかげで、全高が1550mmに収まるのは見逃せない。一方、タイヤのインチアップとローダウンの影響なのか、低速でややゴツゴツと硬めの乗り心地を示すのが惜しいところ。速度が上がるにつれてショックは目立たなくなり、高速走行時のフラット感もまずますで、ロングドライブ向きのセッティングといえる。

試乗時には運悪く事故渋滞に巻き込まれてしまったが、「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」と呼ばれるアダプティブクルーズコントロールや、「アクティブレーンキーピングアシスト」は動作がスムーズ。渋滞中の疲労やストレスも最小限で済んだ。また、今回のマイナーチェンジでステアリングリムのセンサーが静電容量式に変更されたため、軽く握っているときでもハンズオフの警告が出ないので助かる。

Bクラス自慢の広い室内スペースはこれまでどおり。Aクラスよりも高い全高のおかげでヘッドスペースに余裕があるうえ、楽に足が組めるほど足もとは広い。荷室は奥行きこそAクラスと同等だが、A200dの荷室容量が345〜1185リッターなのに対してB200dは同445〜1530リッターと広く、ファミリーで使うには頼もしい。

現在、メルセデスのFF系モデルには、AクラスとBクラスに加えて、「CLA」「GLA」「GLB」とさまざまな選択肢がある。ファミリー向けにはSUVが好まれる傾向があるものの、流行のSUVとはまた異なる魅力的な選択肢が用意されるのは、個人的には大歓迎である。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

オプションの「AMGラインパッケージ」を選択すると225/45R18サイズのタイヤと18インチの「AMG 5ツインスポークアルミホイール」が採用される。今回の試乗車は「ブリヂストン・トランザT005」タイヤをセットしていた。
オプションの「AMGラインパッケージ」を選択すると225/45R18サイズのタイヤと18インチの「AMG 5ツインスポークアルミホイール」が採用される。今回の試乗車は「ブリヂストン・トランザT005」タイヤをセットしていた。拡大
3本ツインスポークステアリングホイールは、オプションの「AMGラインパッケージ」に含まれるアイテム。リムには静電容量式センサーが新たに組み込まれている。ハンズオフ検知機能の精度が向上したことにより、「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」の作動時などでは軽く握っているときでもハンズオフの警告が出ないので、従来型よりもストレスを感じる場面が少なかった。
3本ツインスポークステアリングホイールは、オプションの「AMGラインパッケージ」に含まれるアイテム。リムには静電容量式センサーが新たに組み込まれている。ハンズオフ検知機能の精度が向上したことにより、「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」の作動時などでは軽く握っているときでもハンズオフの警告が出ないので、従来型よりもストレスを感じる場面が少なかった。拡大
荷室床面は2段階の高さ調整式で、容量は445~1540リッター(写真は床面を下段にセットした様子)。バンパー下に足先をかざすだけでリアゲートの開閉ができるフットトランクオープナーが標準装備される。
荷室床面は2段階の高さ調整式で、容量は445~1540リッター(写真は床面を下段にセットした様子)。バンパー下に足先をかざすだけでリアゲートの開閉ができるフットトランクオープナーが標準装備される。拡大
「Bクラス」の外板色は、今回の試乗車がまとっていた13万円の有償色「パタゴニアレッド」のほか、「ポーラーホワイト」や「コスモスブラック」など、全8色から選択できる。
「Bクラス」の外板色は、今回の試乗車がまとっていた13万円の有償色「パタゴニアレッド」のほか、「ポーラーホワイト」や「コスモスブラック」など、全8色から選択できる。拡大

テスト車のデータ

メルセデス・ベンツB200d

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4430×1795×1550mm
ホイールベース:2730mm
車重:1590kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:150PS(110kW)/3400-4400rpm
最大トルク:320N・m(32.6kgf・m)/1400-3200rpm
タイヤ:(前)225/45R18 91W/(後)225/45R18 91W(ブリヂストン・トランザT005)
燃費:18.8km/リッター(WLTCモード)
価格:573万円/テスト車=695万4000円
オプション装備:メタリックペイント<パタゴニアレッド>(13万円)/AMGラインパッケージ(39万8000円)/AMGレザーエクスクルーシブパッケージ(23万2000円)/アドバンスドパッケージ(46万4000円)

テスト車の年式:2023年型
テスト開始時の走行距離:307km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

メルセデス・ベンツB200d
メルセデス・ベンツB200d拡大
 
メルセデス・ベンツB200d(FF/8AT)【試乗記】の画像拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

メルセデス・ベンツ Bクラス の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
関連記事
関連サービス(価格.com)

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。