トヨタ・ハイラックスサーフ V6 4000ガソリン 4WD SSR-G (5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ハイラックスサーフ V6 4000ガソリン 4WD SSR-G (5AT) 2005.11.19 試乗記 ……434万9100円 総合評価……★★ トヨタのSUV「ハイラックスサーフ」がマイナーチェンジで内外装を一新し、都会的な雰囲気を得た。4リッターエンジンを搭載する上級グレードに試乗した。
|
洗練されたゆえに、ギャップが……
一見して、都会的になった、と感じる。マイナーチェンジの前にはどちらかというともっさりした雰囲気だったが、シャープで精悍なフォルムに生まれ変わった。フロントグリルやバンパー、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプに変更が施された程度なのだが、格段に洗練された印象を受ける。
2002年のデビュー当時と比べると、SUVの置かれる環境は相当に変化している。マーケットが緩やかに縮小している中、いわゆる「プレミアムSUV」のセグメントが成長してきた。その結果、全体的にSUVから「ワイルドさ」が徐々に減少していく傾向にある。ピックアップトラックに出自を持つハイラックスサーフも、この流れに乗っていかなくてはならないのだろう。
しかし、乗ってみると最近のオンロード指向のSUVとは、はっきりと異なる乗り味に戸惑うことになる。ラダーフレームにリアリジッドのサスペンションというのは変わらないのだから当然なのだが、外見が洗練されたせいでギャップを感じてしまうのだ。
兄弟車の「ランドクルーザー・プラド」に比べ、どちらかというと若い人向けのブランドという位置づけのハイラックスサーフだが、時代の流れの中でなかなか難しい場面を迎えているのかもしれない。ワイルドさをスタイルとして正面から打ち出すことが、商品力とはなりにくい状況なのだ。動力性能の向上などもあって魅力を増したように見えるけれど、マイルドのほうが好まれるマーケットにアピールするためには、何かもうひとつ新しい要素を付け加える必要があるだろう。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ランドクルーザー プラド」と、エンジンやフレームなどを共用する兄弟車。2002年10月7日にフルモデルチェンジを受けた4代目が、2005年8月にマイナーチェンジを受けた。高級&上質指向のプラド、若者向けのサーフとキャラクターが分けられる。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはリジッド式だ。
エンジンは、2.7リッター直4DOHC16バルブ(163ps/5200rpm、25.1kgm/3800rpm)と、4.0リッターV6DOHC24バルブ(248ps/5200rpm、38.8kgm/3800rpm)のガソリンエンジンにの2種。連続可変バルブタイミング機構などを採用し、またどちらも「平成17年基準排出ガス50%低減レベル」を取得している。トランスミッションは、2.7リッターモデルに4段AT、4リッターモデルに5段ATが与えられる。
グレードは上級版の「SSR-G」と標準グレード「SSR-X」に分けられ、内外装が異なるほかに走行安定機構の「X-REAS」が「SSR-G」のみに与えられるなどの違いがある。
(グレード概要)
2.7リッターモデルには2WDも用意されるが、4リッターモデルは4WDのみの設定。SSR-Gは17インチアルミホイールが標準となり、フロントグリルがメッキとなる。また、ステアリングホイールやシフトノブが本革巻きの豪華仕様。本革内装をオプションで選べるのはSSR-Gだけだ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
がっちりしたリングに囲まれた3連のオプティトロンメーターは視認性良好。少々無骨ながら、センターコンソールの意匠もいつものトヨタ、と思いきや、真ん中に陣取るエアコンスイッチが存在感を主張する。「ジョイカップ式ヒーターコントロールパネル」と名付けられた3つの円形スイッチは、操作部が大きくて扱いやすい。ステアリングホイールにオーディオなどのスイッチが付けられたのは朗報。シルバーのパネルはちょっとばかりまわりから浮いている印象を持った。
(前席)……★★★
乗り込む時は、どうしてもAピラーに備えられたグリップをつかんで運転席に登る感じになる。ちなみにグリップは全部で7か所に備えられていて、万全の構えだ。本革シートは電動のアジャスタブル機構がついていて、シートポジションを調整するのは容易。カップホルダーがボトルの大きさに合わせて3段階に調節できるようになっているのは親切だ。
(後席)……★★
外見の大きさからすると、後席の空間は思ったほどの広さはない。実用上困るほど狭いわけではないが、最近のスペース効率のいいミニバンなどに慣れてしまうと、もう少しガンバってもらえないかと贅沢な欲が生まれる。せっかくの本革シートなのだが、なんとなく事務家具っぽい質感に思えてしまうのが残念。横揺れ縦揺れともに大きく感じられ、前席に比べ乗り心地の面ではあまり歓迎できない環境だった。
(荷室)……★★★★
そのままで何の文句もない広大なスペースが提供されている。後席を倒せば、一人暮らしの引っ越しぐらいはこなせそうだ。上下2段に空間を分ける「ダブルデッキ」は造りもがっしりとしていて、使い勝手がいい。小物入れやトレーも充実している。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
4リッターに拡大されたエンジンは、巨体を元気に走らせるのに十分なパワーを発揮する。しかも5段となったATの恩恵で、変速ショックで前後に揺さぶられるようなことも少なくなった。二駆・四駆の切り替えスイッチはセンターコンソールにあってダイヤルを回すだけ。ちょっとした悪路に乗り入れた時、通常モードの「H2」では後輪がスリップしたが、ダイヤルをプッシュしながら「L4」に替えることで、容易に脱出することができた。リッター7.0キロという燃費は、フル加速を繰り返していたことを考えると、悪くない数値だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
高速道路でも「H2」モードで走っていて、何ら違和感を持つことはない。コーナリングでのロールも抑えられていて、怖さを覚える場面は訪れなかった。しかし、ちょっとした路面の荒れに遭遇すると、なんだかクルマの上半分と下半分で別々の動きを示すように感じられる。縦方向の入力を横に逃がしている動きが、やはり乗用車とはかなり異なる感覚をもたらしている。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:NAVI編集委員鈴木真人
テスト日:2005年9月2〜4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:754km
タイヤ:(前)265/65R17 112S(後)同じ(ブリヂストンDUELER H/T840)
オプション装備:オプション装備:JBL SYNTHESIS プレミアムサウンドシステム(41万6850円)/本革シート&7ウェイアジャスタブル機構付き本革パワーシート&合皮ドアトリム(27万8250円)/前席SRSサイドエアバッグ&前後席SRSカーテンシールドエアバッグ&スライド機構付きサンバイザー(8万4000円)/ルーフレール(3万1500円)/リアLSD(3万1500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:323km
使用燃料:46リッター
参考燃費:7.0km/リッター

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。




































