第237回:ええっ、来期はホンダとトヨタが優勝争い!?ブラボーニッポン! F1“夢の大予言”のナゾ
2005.11.11 小沢コージの勢いまかせ!第237回:ええっ、来期はホンダとトヨタが優勝争い!?ブラボーニッポン! F1“夢の大予言”のナゾ
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■CARTでV8エンジン
とうとう終わってしまいましたね。今季のF1。結局、アロンソが史上最年少チャンピオンになって、ライコネン惜しくて、我らが佐藤タクマ様はなんとも煮え切らない結果に。と思ったらそれを受けてか、「スーパーアグリ・フォーミュラワン」が誕生! なんてー、大波乱の予感ビシバシの来期F1ですが、先日、某所で聞き捨てならないことを聞きました。
「来年のホンダF1は結構イケるかも?」。
ホンダシンパの事情ツウが語ってた話なんで、多少マユツバネタとして、これがそれなりに説得力のある仮説なのだ。それは別にBARがホンダに吸収されて“オールホンダ”になるからではなく、もっと技術的でシンプルな理由。「ホンダは今、インディでV8回してるじゃないですか。フェラーリやルノーに比べて、圧倒的にノウハウあるんですよ。なにしろその前のCARTでは、2.65リッターV8ターボを1万7000回転まわしてましたから」
うーむ、ご説ごもっともと言えばごもっとも。事実、F1速報誌によれば、来期から採用されるV8エンジンの最大の問題は振動。「ドライバーがツラ過ぎて長時間乗ってられない」とか「コーナリング中に振動でペダルから足がズレた」なんて話まであり、ほとんどチェーンソーか電動アンマ機か? ってレベルなのだ。
その昔、「V8エンジンは理論的に完全バランスだ!」説をエンジニアから聞いていた俺は気づかなかったが、事情ツウによれば「V8 F1はVバンクが90度に限定されてるし、2気筒減ったぶん、特に横方向に振動が出る」んだそうな。
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■あまっちょろい世界ではないのだ!
で、その点ホンダはノウハウを沢山持っており、いっぽう、メルセデスにしても、前身のイルモア時代に、せいぜいV8を1万300回転程度まわしただけ。その“経験値”が差になるというのである。
「ただそれは同じくインディとCARTやってたトヨタさんにも言えるんですけどね。ハッハ〜」
ってなわけでコレが“来期はホンダVSトヨタの戦いに!?”説の基本線なわけだが、最後にホンダF1車体技術開発責任者の“ハシケン”こと橋本健さんに聞いたらあっさりひっくり返された。
「確かにV8は振動が増えるし、特にACGとかダイナモとかセンサーとか補機類が厳しいだろうね。きっと今と同じレベルのレブ2万回転弱の戦いになるはずだから。ただ、インディやCARTがアドバンテージになるなんて考えてたら、逆にヤラれるよ。F1はそんなに甘くない。V8は新素材制限とかも厳しいし、イチから横並びスタートのつもりでがんばらないと。死ぬ気でやらなきゃヤラれちゃうんだよ」。
うーむ、昨2004年こそ調子良かったが、ここ数年苦水飲まされてきたハシケンさんならではのお答え。“過去がアドバンテージになる”なんてあまっちょろい世界ではないのだ。F1!
でもさ。ちょっとはイケるんでないの……なーんて思いたいんだけどね。シロウト代表としては。
ってなわけでやっぱ俺は期待しちゃいますよ。来期のホンダ&トヨタ&スーパーアグリ!
(文=小沢コージ/写真=本田技研工業/2005年11月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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