「リーンバーンエンジンはどこへいった?」
2005.10.15 クルマ生活Q&A エンジン「リーンバーンエンジンはどこへいった?」
いつも楽しく拝見させていただいております。当方、低回転時のみリーンバーン制御となるエンジンのクルマに乗っております。今や、直噴エンジンにおされあまり見かけなくなったリーンバーンではありますが、登場当初、リーンバーンはドライバビリティが悪いとか、扱いに難ありといった記事を雑誌等で読んだ記憶があります。この機会にリーンバーンという表現を見かけなくなった理由をお教えいただきたくペンを取りました。
また、リーンバーンならではの整備ポイントや上手な使い方等ございましたら併せて教えていただければ幸いです。(兵庫県TKさん)
お答えします。リーンバーンは通常より薄い混合気を燃焼させ、燃費の向上を図った技術ですが、これは過渡期的なものにすぎませんでした。さらに薄い燃料ですからトルクが不安定になり、ドライバビリティの悪さも問題になりました。
以前は、リーンバーン技術を使った量産車を作るのは不可能といわれていたため、成功した自動車メーカーは技術力の高さを示すために宣伝文句の一つとして使っていたのではないでしょうか。
現在はこれにかわって、直噴エンジンが主流になっています。リーンバーンと同じような低燃費が実現でき、しかもトルクの不安定さもなくなったため、問題点が解消されました。よって、リーンバーンエンジンはラインナップから消えていったと考えられます。
さて、リーンバーンエンジンのメンテナンスですが、燃焼が重要な要素であるため、スパークプラグを良好な状態に保つようにしてください。さらに、インテークバルブや燃焼室の汚れにも気をつけて下さい。ブローバイガスを減らすことも重要です。定期的なオイル交換と、点火系の点検を忘れずにして下さい。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。