BMWウィンターエクスペリエンス2005【試乗記】
放っておくのはもったいない 2005.04.09 試乗記 BMW 120i(6AT) ……366万5000円 FRレイアウト以外つくらず、前後重量配分を50:50に採り、優れたハンドリングを個性の一つとするBMWが、長く雪に覆われる北海道は旭川で、雪上ドライビングイベントを開催した。クワトロに完敗?
FRレイアウトが基本、スポーティなハンドリングをもつBMW。一部4WDモデルもあるとはいえFFはつくらず、「MINI」は完全にブランドを分けるほど、徹底してFRにこだわっている。
販売も好調、2005年度は5万台超の販売台数を目指すBMWだが、全国的に売れているワケじゃなかった。“雪に弱い”とされるFRだけに、降雪地域はセールスがキビシイのである。たとえば、北海道での年間販売台数はたったの100台あまり。スポーティを標榜するプレミアムブランドのライバル、「クワトロ」こと4WDが武器のアウディに、大きく水をあけられているという。
その状況をなんとかしたい……ということで企画されたのが、今回の「BMWウィンターエクスペリエンス2005」。雪と氷に覆われた、北海道士別のブリヂストンテストコースで「1シリーズ」に乗り、“FRは雪に弱くない”ことを体験してもらおうという企画である。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
50:50と電子デバイス
イベント本番の前夜、雪上におけるFRのメリット、デメリットを解説する講義が、BMWドライビングレッスンで講師を務めるこもだきよし先生によって行われた。雪でもアスファルトでも、タイヤがグリップしていれば安定して走れるのは当然のこと。先生によれば、BMWは全車、エンジンをフロントミドにマウントするなどして、前後重量配分をほぼ50:50とするため、あらゆる状況でタイヤを有効に利用できるという。1シリーズの前後重量配分は、ややフロントが重いが、多くのFFは重量の6〜7割がフロントにかかるから、かなり性格は違うといえる。
これに加えて雪上で威力を発揮するのが、輸入車の多くが標準搭載する、いわゆるアクティブセーフティデバイスである。1シリーズは、アンダー&オーバーステアを防止する「DSC」(ダイナミックスタビリティコントロール)を装備し、常にクルマの挙動を監視。スロットル&4輪独立ブレーキ制御によって、ホイールスピンやアンダー&オーバーステアを防いでくれる。
ただし、氷のようなツルツル路面では、DSCが効き過ぎて発進すらままならないこともある。そんなときは、センターコンソール上のスイッチで、ある程度まで挙動の乱れを許す「DTC」(ダイナミックトラクションコントロール)モードに変更すればいい。
BMWらしいトコロが、スイッチを3秒以上長押しすると、ABS以外の制御をオフできることだ。クルマづくりの考え方の違いから、メルセデスベンツやトヨタなどは、基本的に完全オフすることはできないが、BMWは完全なドライバー任せを許してくれる。サーキットなど使える場所は限定される(というか公道で使っても、ウデ自慢にはならないでしょう)とはいえ、“駆けぬける歓び”を標榜するメーカーならではの特徴である。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
巧みで嬉しいセッティング
頭に入れるだけで走れるなら、誰でもシューマッハやソルベルグ。理屈どおりにいくのかしら? と思いつつ乗ってみると、意外にも(?)結構走れてしまった。
最初に試した定常円旋回では、DSCをオンにしているかぎり、クルマの動きはステアリングホイールの動きどおり。限界に達すると「ゴゴッ……」と、自動的にブレーキをかける音が響き、クルマが元のラインに引き戻してくれるので、無茶をしないかぎりなにも起こらない。
DTCモードは、雪道に慣れたヒトや腕に覚えのあるドライバーには、かなり楽しいモードだと思った。DSCはちょっとしたアンダー、オーバーステアも修正するため、運転者の意図とズレも生じるし、動きはゆっくり歯がゆい。一方、DTCは一般的なドライバーが“ドリフト”を十分意識できる程度まで、クルマをダイナミックに走らせることができるし、「ヤバいかな!?」と思ったときには「ゴゴッ……」と、ちゃんと修正してくれるから安心。アクセルオフとステアリング操作でクルマの向きが自由に変わる、BMWのハンドリングをドライバーに感じさせながら最後は守ってくれる、巧みで嬉しいセッティングだ。
もちろん、これだけで「FRバンザイ!」なんて言うつもりはない。でも、「BMWに乗りたいなぁ……」と願っているのに、雪だけを理由に踏みとどまってしまうのは、ちょっともったいないと思う。ドイツにも雪は降り、路面はツルツルになるのに、FRだけを作り続けるメーカーがあるという事実も、“FRは雪に弱くない”ことを示すには十分、合理的な理由たりえるのではないだろうか。
(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2005年5月)
【DSCとDTC】
BMW1シリーズが登載するアンチスピンデバイス「DSC」は、低ミュー路面でどう働くのか? 実際の動きを、動画でご覧ください。DSCの場合は作動時の変化がわかりやすいように、意図的に無理なスロットル操作をしています。
【ミラーバーンにおける発進と停止と雪上パイロンスラローム】
定常円旋回に加えて用意されていた、ミラーバーンにおける発進と停止と雪上パイロンスラローム。トラクションコントロールとDSC(DTCの人もいた)、雪上で1シリーズが「どう走るのか?」をご覧ください。
【スタッドレス・ランフラットタイヤの威力】
パンクしても、一定速度である程度走れる「ランフラットタイヤ」。BMWはスタッドレスもランフラットを装着する。「5シリーズサルーン」に装着した。
(動画撮影&編集=カネヨシ)

大澤 俊博
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。





























